「バラック」と余談

バラック」とは英語で「barrack」ですが、ほとんど日本語になってます。昭和にはよく使われた言葉です。
 掘っ立て小屋 粗末な小屋 とか、急ごしらえ にわかづくり 
 というような意味で使われています。
 自作ラジオの世界でもたまに聞くことのあった言葉です。
 このほかには「かまぼこ板ラジオ」なんて物もありました。私など、かまぼこ板で作ることに妙に惹かれて、正月になると、かまぼこがスーパーに並ぶので、何種類もかまぼこを買いました。板が欲しかったのです。

 でまあ、要するにバラックのラジオとは 急ごしらえで、キチンとしておらず、テキトーに作った物で、 思いついたアイディアや実験をパパッと実現した物です。
 ま、それでも、それが面白く、魅力的なんですね。細かいことにはこだわらないので気楽な遊びです。
 大概、一日か半日で何か作り上げます。何かを作っている間はー心不乱、あるいは無心の境地ですね。
 そして夕方ころ、ラジオが鳴ったり、何かに成功すると、「やった一」と叫んで、飲み屋に行って祝杯を挙げます。飲み屋の女将に、ラジオや電気の話をしてもしょうがないので、黙って一人でニコニコ美酒を酌みます。

 私が中学生の、1970年代はじめころは、田舎にはラジオのパーツなどないので、ガラク真空管ラジオをバラして、他の物に作り変えて遊んでいました。
 一つの5球スーパーのシャーシで、アンプや低周波発振機やAMワイヤレスマイクなど、作っては壊ししていました。ですから、パーツはいつも汚れたつかいまわしの物ばかりでした。
 
 以前は秋葉原には、ジャンク屋と呼ばれたパーツ屋さんが多くありました。
 ニューアキハバラセンター とか、鈴商 とか、ありました。ラジオデパート内にも二三軒入っていました。が、今はなくなりました。
 こういう店を覗いては、ついつい、何かしら買ってました。

 バラックラジオ作りは楽しいものです。ゲルマニウムラジオでさえ、何度作っても、ダイヤルを回して耳にラジオ放送が聞こえて来ると、「お、聞こえる」と、小さく叫ぶのです。
 

ミュー同調ラジオ 2


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 スピーカーを替えました。100均で買った物入れの浅い木の箱。スピーカーユニットは 8cm x 12cm の楕円。カーラジオのジャンクです。黒い紗が元々スピーカー前面についていました。

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 後ろはふさぎません。この方が、音がすっきり軽々と耳へ届くのです。これでも低音に不足を感じません。

 トランスの1次側の 0.05u コンデンサを0.1uFに換えました。今まで、高音が少し出すぎていたからです。

 音がとても良くなってAM放送とは思えません。

 中波放送で、クラシックやジャズを流してくれたらどんなにか良いでしょう。仕方ないので、AFNの放送をよく聞いています。

 

 少し立派になって、満足している一方、バラック風味が減ってしまったかなと思っています。

 

ミュー同調ラジオ

 これはミュー同調式ラジオです。普通、選局の同調回路にはコイルと可変コンデンサ(バリコン)を使いますが、これは、コンデンサの容量は固定で、コイルのインダクタンスを変化させます。
 つまり、コイルの芯になっているフェライトコアの棒を出したり入れたりして放送局を選びます。
原始的で面白いですよ。

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 ラジオの心臓部には、三端子ラジオICの LA1050 を使い、音声増幅はトランジスター 2SC1815 1石です。ラジオICだけではクリスタルイヤホンしか鳴りませんが、トランスを使った1石アンプでスピーカーを鳴らしています。
 単三電池1本でスピーカーが鳴り、電池は相当長保ちします。数日鳴らしっぱなしでもOKです。音量に不足は感じません。
 アンテナ線は不要で、コンクリートの住宅でも入感します。
音量のVRはなし。もし、うるさいと思う時は、ラジオの向き(フェライトコアの向き)を変えて感度を下げます。
 関東エリアの6局は混信もなく、受信できました。ミュー同調で、これだけ受信できるとは驚きです。

 写真に見える、紙に手書きの「NNATQF」はNHK第1、NHK第2、AFN、TBS、文化放送(JOQR)、ニッポン放送(JOLF) のことで、この表示のし方は新発明かと、気にいっています。
 電池ホルダーはレバー式のスイッチ付きで、小学生の教材みたいですが、これもお気に入りです。

 スーパーヘテロダインでも再生式でもない、ストレートラジオです。言わば、ゲルマニウムラジオに高周波増幅と、低周波数増幅を付けただけのものです。
しかし、作ってみれば、いろいろ研究できて面白かったですよ。
 IFTを使わないので高音が出て、音質も良いいです。


      回路図
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 アンテナコイルがコアの中心にあるとき、同調周波数が一番低い。コアを抜いていくと、高くなります。ただし、コアは電波を拾う役めもあるので、抜ききってしまっては感度がかなり落ちます。

 回路図中の、アンテナコイル1次側の基板アース (赤い線)は不要です。アースすると、感度は上がりますが、混信します。

 アンテナコイルの巻数。
1cm径、18cm長のコアに、ゆるめに紙の筒の作り、0.3mmくらいのリッツ線を巻きました。
1次側は110回、2次側は40回くらい巻きました。
 巻数は並列のコンデンサの容量やコアの長さなどによって要調整。

 アンテナコイルの2次側巻数は1次側の、3分の1くらい。
 コアを抜いていっても、最後まで1次と2次コイル両方にコアがかかわるように、2次側は1次コイルの端の上に重ねて巻きます。

 出力トランスは、1.2K : 8 オーム の、サンスイST-32と同等品という物を使っています。

ラジオICは発振しやすいので、配線など注意。コイルのリード線を逆に接続し直すと発振が止まることもある。又、このICをフェライトコアの正面に置くと発振します。

 写真、スピーカーが2つ付いてますが、並列のモノラルです。
 三端子ラジオICは LMF501 LA1050 など。通販なら、今でも入手可能。
 リッツ線は 秋葉原オヤイデ電気にあり、通販もあるでしょう。