Win Me ノートPC 大格闘 その1

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 私はPCには素人です。23年前、Windows98が出たとき、初めてディスクトップPCを買い、使い始めました。その後ちょっと改造したり、別のPC をちょっと作っただけです。

 それはマザーボードや、HDD、格パーツをつなぎ合わせただけの自作PCでした。このブログでは、2019年9月に一体型PC の電池交換をしたという記事を載せました。PCとはその程度の付き合いでした。

 それが今回 (2021年 正月) 冒頭の写真のように、ノートPCを大分解、2台分を大合体して、1台のまともなPCを作ったという、大格闘の記録です。長編になるので、2回の記事に分けます。

 

 最近Win98時代のファイルが出てきて、それが98かMeでなければ開けないとわかりました。で、ディスクトップ自作PC、WinMe を出して、十数年ぶりにON。モニターが死んでいてブラック画面。PC のCDドライブも死んでいて、NG。このPCは廃棄することにしました。

 そこで、ノートPCで、同シリーズの型番の近い物、ジャンクを2台入手しました。なんとかなるだろうと思ったのです。

 

 PC、Aの方は結構まとも、と思いきや、OSが壊れているのか、マザーボードの熱関係が壊れているのか、起動するものの、ファンがフル回転で、うるさく、「システムリソースがビジー」とかいう窓が出て、フリーズ。

 何度強制終了、再起動しても、ちょっと何かやると、くだんのごとし。

 ドライブは、CD(DVD)も、FDも使える。これは良し。USB はポートがメチャメチャに壊れている。これは致命的。このPCが直ったとしても、データのやりとりがCDに限られる。

 モニター、ちゃんと映るけど、画面フレームにヒビ割れがある。やだな~。

(下の写真、ヒンジ(蝶番)の左に割れ)

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 PC、Bの方は、簡単。HDDが無い。ドライブ、CD もFD も死んでる。USBポートは一応見た目、まとも。BIOS は生きてる。ただし!モニターが死んでる。非常に暗い。BIOS はなんとかかすかに見えた。

 

 さあ、あなたなら、どーする~?

別のHDD はあって、OSのインストールCD もあります。(それ早く言えって)

 私はこうしました。PC、Bを母体とし、そこへ Aから CD、FDドライブと、モニターを 移植換装。HDD は手持ちの昔の物を入れ、OSを新たにクリーンインストール

 モニターを外して、また別の方へ付けるなんて初めてやりました。ハラハラドキドキでした。

 なんとか出来て、成功しました。ただし! OS を入れる前に

Fディスク という、すでに忘れ去られた作業が必要です。お客さん、これ Win98 ですぜ。

 もうすっかり忘れてたもんねえ。できるだろうか、という不安。

 DOS(ドス) だもんねえ~ DOS恐いよなあ~ DOSのこと知ってりゃ恐くないんだろうけどなあ。Fディスクなんて、同じ所行ったり来たりの、やな思い出しかないよなあ。

 とぼやきつつ、
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 お! ほんとに「お」と、叫びました。なんとか Fディスク 始まりました。


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 ここまで来れば、こっちのもんです。

あとはOS入れっぞ!

 が、その前に、BIOS いじって、ブートの順位をFDからCDにしなくちゃ。

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 この BIOS は オート にするのが正解でした。 

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 とあ一! きたきた。

もうこっちのもんだ 2(ツー)


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 と、ここまできて安心爆発

こっちのもんだ  3(スリー)


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 じゃ~ん!

 ついに98出ました。ただし! 画面は小さいままです。USBダメでした。音も出ません。たぶんドライバーが入ってないのが原因。当たり前?


 ほんでもって次。Me にグレードUP。

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 やれうれし。Windows Me にしたら、画面が普通になりました。USBメモリも認識しました。Win Me 内蔵の各ドライバーが入ったのですね。ただ、音が出ません。

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 こんなん出ました。

音だけは、このPCに合ったドライバーが必要らしい。

 急いでネット経由で、ダウンロードしたドライバーを入れました。しかし、なんか変。ドライバー入らない。よく調べると、このドライバーのファイル、分割ファイルになってました。古い!

 気がせく中、どうにか分割ファイルを結合して、ドライバー入れました。音出ました。これで合体の作業完了です!

 世間では、Win Me のことが悪く言われていたようですが、PCカードのドライバーもMeには入っていたようで、PCカードも認識しました。Win 98 よりはいいのではと思います。

 

 さて、すぐに祝杯をあげながら、大喜びで、このPCで、音楽CDを聴きました。結構いい音です。

 ただ、目の前のタンコブ。モニターのフレームのヒビ割れはそのままあります。 PC、Aの方からモニター全体を外して、母体であるB に換装したのですから、ヒビ割れもそのままです。

 これが気になります。で、後日、意を決して、モニター分解、フレームだけB の物に交換という一生に一度であろう、未知の作業に挑戦しました。それは次回に載せます。次回は近々UPします。

 

 

  

 

 

直線型 ミュー同調 実験

 
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 今回は、ふと思いついて、やってみた実験です。

 上の写真はこのブログの最初の方に登場したミュー同調ラジオですが、、チューニングを改良して、よく見れば目盛板の所が変わっています。

 ミュー同調やこのラジオそのものについてはそちらの記事を参照して下さい。

 

 直線型ってなんだ? 

 これは正しい呼称かどうかわかりません。ラジオのダイヤルで、高い方の周波数になると目盛りの間隔が詰まっていて、低い方は広々空いている、というのをご存じでしょう。このアンバランスを解消するために、昔、直線型バリコンというのが作られました。回転羽の形が押し潰された半円形で、軸は中心にはなくて片寄ってました。

 羽が入っている所から少し回すと、大きく C が変化します。回すに従って、C の変化量が小さくなっていきます。ですから、ラジオの目盛り間隔が、低い方と高い方で極端な違いはないようになるというものです。

 

 先日、ふと閃きました。ミュー同調式でも、コイルの巻き方をうまいことやれば、目盛り間隔が均等化されるんじゃね一の? これ発明だぞ。すぐやってみっペ。

 えーと、コアが入ってる辺りは L の変化量を大きくするんだから、コイルをうんと巻いとく。で、コアが抜けるに従って、L の変化量が小さくするためには、だんだんとコイルをまばらに卷いとく。そうすりゃ、低い方ではコアをちょっと抜くと周波数が上がって、高い方じゃコアをうんと技かなきゃ周波数が高くならんから、目盛りの間隔は同じようになる。

 おお!素晴らしいアイディアだ。

 

 下が結果の写真です。冒頭写真の拡大。


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どうです? 大目に見れば大体、均等化に近い感じでしょ。

下の写真は改良前の目盛板です。NHK第1と第2の間が極端に広いです。

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 ここに至るまでにはコイルを4回巻き直しました。目盛均等化にするのは簡単じゃなかったですねえ。苦節2時間かかりました。意外に難しく、奥が深いって感じました。

  N N A T Q F という文字は、東京近郊で聞ける中波ラジオの目盛りで、局名を自分がわかり易いように勝手に省略しました。ニッポン放送は L にすべきだったかなと思います。


   NHK第1 594KHz

   NHK第2 693KHz

  AFN     810KHz

  TBS   954KHz

文化放送      1134KHz JOQR

ニッポン放送 1242KHz JOLF

 

  各局大体100KHzくらいの間隔です。なのに同調周波数つまり共振周波数の変化は直線的じゃない。なんでだ? 

 ま、そういう自然現象なんだろ。だから共振周波数の式の中にはルートが入ってる。つまりエックス2乗曲線の逆みたいなもんだろ。

 な~るへそ!(死語っ)

 
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これが労作、あてずっぽ-巻きの四度めの正直のコイルです。

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 前作のコイルをほどいて使ってます。赤い印は前作のもので関係ありません。筒も前作の物。クリアファイルを切って丸めてます。

 左側4分の1くらいは二段重ねに巻いてます。始めー重に少し巻いて、巻き始めまで直線で戻り、その上に重さねて二段目を巻きました。

 あとは、普通の密巻き、右半分くらいからスキマ開け巻きになってます。

 これ以前の試行錯誤では左の方、グルグルたんこぶ巻きにしてました。これはNGでした。量を巻いてはいるものの、断面、円周の外側はコアから離れるので、巻いたわりには L が増えないのです。

 

 実際にはこのコイルの右4分の1くらいのところに、検波コイルを重ねて巻いてます。

 

 さて、忘れてました。冒頭の写真に、青い小さなセラミックコンデンサがおんぶ姿で見えてますが、最終コイルの時は、元の同調コンデンサ 100pF に加えて 47pF を並列にプラスしました。

 これもひと役かってそうで、コアの位置に関わることかも知れません。47pFはたまたますぐに出てきたのでこれを使いました。

 

 下は初期の回路図です。
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 後ろ姿です。右端に電池ボックスに付いているスイッチレバーが見えます。私のお気に入りです。

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銅箔テープループは凄かった


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 三たび、ループアンテナですが、胸躍る実験でした。
 前々回、小型ループアンテナで、ニッポン放送の送信所近くでゲルマラジオ受信のことを書きました。今回のはそのすぐ後日、同じく2019年、11月の実験記録です。
 結果が早く知りたくて、アンテナ製作中や受信実験中の写真をほとんど撮ってなく、冒頭の写真などは公開意図がなかったものです。図解中心の記事です。

 

 ニッポン放送受信の1辺30cmのひし型ループ製作以前に、実は、1辺50cm と 1mのループを2種類作っていました。そしてわかったことは、

ループアンテナは

『デカけりゃイイってもんだ』 

ということでした。
 1辺 1m にもなると相当感度が上がって、普段受信できない局が入ってきました。その代り、リッツ線の長さもバリコンの容量も大きく必要です。

 さて、ある日、
「ループってやつは共振のカが主だが、デカイ方がいいってことは、電線の面積もデカイ方がいいんじゃねえの? 電波を受け止めてるんだから。つまり、太いか広いかだ」と素人考えが浮かびました。
 そこで思いついたのが、
「銅箔テープで大型ループを作ったらどうだ!」 です。

 幸い、その時は苦労せず、10年前に買った、幅2cm、長さ30mの、未使用の銅箔テープが1巻き出てきました。
 銅の厚さはミクロン単位。高周波は表皮効果と呼ばれる性質で、導体の表面を伝わるものらしいので、薄くてもOKでしょう。
 裏紙を剥がすと接着できるテープシールになってます。
 
 この銅箔テープをダンボールを使った箱や平面に巻いて、以下の①~③図、3種類を実験しました。簡易的なゲルマラジオをつないで受信テストをしました。冒頭の写真は②、2番目に作った多卷きループです。

 


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 最初に作ったのがこれです。結果は凄かったです。コンクリートの室内に置き、アースもとらず、ゲルマラジオが聞こえました。しかも、今まで、ゲルマラジオでは受信できなかった局も入りました。

 関東地方には 810 KHzのAFN局 (昔のFEN)がありますが、その局が聞こえたのです。

 元々、私の所では AFN が感度悪いのです。この局は在日アメリカ軍のために放送していて、出力も民放やNHK の半分、50Kwで、指向性を持たせているらしく、私の所ではスーパーラジオでも感度が少し落ちるのです。それがゲルマラジオで、アースなしで、聞こえたのですから驚きました。


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 今回は多巻きループアンテナの結果が早く知りたくて、ゲルマラジオも超簡単回路です。イヤホン側に抵抗もトランスも使ってません。

 アンテナコイルもピックアップコイルを使わず、バリコン、ダイオードに直結です。


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 ハンダも使わず、配線はミノムシクリップコードです。バリコンは昔の5球スーパーの2連バリコンの並列です。800pF以上はあるようです。

 写真では赤いミノムシクリップが外れていますが、手描き矢印の先、ダイオードのリードに付けるものです。矢印の左に見える黒いのがロシア製のダイオードです。

 長さ30mの銅箔テープを巻きつけていくのは結構大変でした。根気です。所々、養生テープで、ダンボールに固定しました。後の平面ループ作成のことも考えていたので、後で剥がす予定です。銅箔テープの裏のシールはここでは使いませんでした。

 

 さて、銅箔テープループ1号の結果に満足したのも束の間、すぐあることを思い つきました。

 テープ間が 3 mmと狭いけど、電波が飛んで来る方向と反対側のテープには、電波が到達しにくいのでは? 前のテープが壁になってる。

 間隔を広くした方が、前面のテープのすき間から、裏側のテープにも電波が届くのでは?

 

  
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 早速2号に作り変えました。テープ間隔を2cmにすると、その分、箱を大きくしないと30mは巻ききれないので、ダンボールは2つ使って作りました。

 さて、1号をほどいてからが大変です。なにしろ30 mのテープですから、巻く前にヨレや切れに注意して伸ばします。玄関から台所を通って部屋までずーっとテープが床に這ってます。

 これをまた根気良く2号の箱に巻いていきます。

 さて、結果は?! 

 ガチョーン (死語?)

 あに、はからんや (何語だ?)

ダメでした。ゲルマラジオは聞こえましたが、感度は悪くなりました。

 どうも素人の発想はときとしてマトハズレなんでしょう。電波はバッタの大群のように、飛んで来るものではないですよね。瞬時に電界と磁界が反応して、それこそ波の動きのように発生を伝えていくんですね。

 だから、物質が隙間を通るみたいな発想はハズレだったのでしよう。あるいは他の要因で感度が下ったのでしょうか。

 

 ところで、電皮の成分は電界と磁界があるらしいですが、多巻きループにすると、そのアンテナは磁界アンテナになるようです。

 だから私のこの実験も、コンクリートの壁の中なのにラジオが受信できたのでしょう。

 箱の水平の向きや、垂直の傾きも試しましたが、図の向きが一番良かったです。指向性も普通の多巻きループと同じでした。

 後に考えたのですが、多巻きループは、

指向性方向の受けとめ面積と、ループの奥行き寸法も関係するのかも知れません。つまり、2号のダンボールは、指向性方向の奥行きを長くするべきだったのかも。

 

 さて、3号は平面に、四角い、蚊取線香のように貼り付けたものです。
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 テープの裏紙を剥がし、ダンボールに貼りました。

 さて、始めにギモン発生。

30 m を2 cm間隔で、四角い渦巻きにしたら、台紙となるダンボールの広さはどれくらいあればいいの?

あらかじめ分かってないと作業にならない。

 そこで、計算式を発明しました。


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   これです。何故こうなるのかは、紙面の都合で割愛。あくまで 2cm幅 のテープを 2cm間隔 での式です。

 n に 13 を代入すると、大体 30m になり、最大一辺が106cmになると出ました。ダンボールの台紙は1辺1m20cmくらいで作りました。

 テープの直角の曲がり角は、テープを切ったりせず、余分を摘まんで貼り合せてます。

 13周巻いて、大体計算式通りでした。これも根気の作業。

 紐をつけて天井からぶら下げました。

 

 さて、結果は?

 ガチョーン  (谷 啓 氏に敬意を表しつつ)

 ダメでした。

 聞こえるけど相当感度が落ちました。指向性もあるのかないのかよくわからい状況でした。

 

 部屋の中が、ラジオやスピーカーや蓄音機や、いろんなパーツで溢れているので、後日、この大型平面ループもバラして、涙をのんで捨てました。

 

 ともあれ、1号の結果は満足できるものでした。家の中が広ければ、時間がもっとあれば、『第2回 銅箔テープ大型多卷きループアンテナの実験祭』を開催したいのですがね。

 

探し物妖精 ~ ループアンテナ幻想 ~


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 最近、また部屋の中の探し物で苦労した。それは、例の『片づけ妖精』が現われる以前に、どこかへ仕舞いこんだ物で、2日間も探したのに出てこなかった。3日めにはマジ泣きたいくらいだった。

 「おっかしいなあ。どこやっちゃったんだ? ぜ一ったいあるはずなんだよ」
と呟いたとき、

「ご主人様、お呼びでしょうか」
と、見たことない少女が、フワッと現われた。
「や、別に呼んでないけど」
「え、そうですかあ? では失礼し・・・」と、消えそうになった。
「あ、ちょっと待った。君、なに?」
「探し物妖精ですよ、ご存じのとおり」
「え、あ、うん、そうだったね。ちょっとね、今、探し物してたんだ」

 「では、わたしの横に立って、その物のことを強く念じて下さい」
彼女は部屋の真ん中に立った。私はその横に立った。 
 
 私がその物のことを念じれば、その波動が隠れているそいつに反射して返って来る。それを彼女の魔法の杖が捉えるという仕組みだ。
 その杖には指向性があって、彼女の前後に存在する物の波動は受信するが、真横の波は受信しないのである。
 だから私が横に立って念じる場合、杖の邪魔にはならないのである。もし、彼女の前後で念じれば、その念波が直接杖に入ってしまい、探し物の反射波が捉えられないことになってしまう。
 
 よく見ると、杖の頭のひし形は、金の糸が隙間をとって数回巻かれたものであった。その下には蝶の羽の形をした銀の薄い板が、ゆっくり開いたり閉じたりしている。さすが妖精の道具だ、金と銀か。石突きはサファイヤじゃないか。しゃれてるな。お、ひし形の真ん中には透き通った十字があるぞ。え? クリスタル? 水晶か。
 

 ん? あっ、金の糸がループで、蝶の羽は可変コンデンサーじゃねえの。全くループアンテナだ! 

 しかも金は銅なんかより抵抗がずっと小さいから、このループ、Q が高いってこったぞ! 感度がいいというわけだ。真ん中の十字も水晶だかんね、発振とか共振の助けになってるかも。いとも、うベなり。感心この上なし。
 思念なんて、蚊の屁よりも微かなのに、さすが共振の力だな。それに、ループアンテナなんだから指向性があるのも当然だ。
 とするとだな、思念てのは電磁波なのか? うーむ。

 

 「ご主人様、何をぼんやりしてるんですか? ちゃんと念じて下さい」

「あ、すまん」

私たちは、部屋の真ん中で、3回くらい回った。彼女は杖を傾けたりとか、いろいろしていた。
「あっ、上の方です。わかりました! それは、押入れの上です」
私は天袋を開けて見た。
「そこの奥の箱の中の、箱の中です」
私は言われた通り探ってみた。

あった! 1度は調べた所だが、まだよく見てなかったんだ。
「ありがと。君のおかげだ。なんかお礼をしなくちゃね」
「ご褒美ですね」
なんて謙虚なんだと感心した。
「で、何がいい?」
「じゃ、人間界のワインを下さい。赤いのがいいです」
「え? 君、未成年でしょ」
「いいえ、わたし、10万17才です」

 私は冷蔵庫にあった、スペインの、安いけど美味い、『王様の涙』というワインをひと瓶、持たせてやった。
彼女は、ニコッと微笑んでフワッと消えた。

放送塔近くで ゲルマラジオ がんがん


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2019年10月下旬、ニッポン放送AMの送信アンテナ所のそばへ行って、ゲルマラジオでスピーカーをガンガン鳴らしました。

ゲルマラジオはイヤホンで、かそけく聞くのが常ですが、たまにはスピーカーをガンガン鳴らすと、スカッと欲求不満が解消します。

私は今まで、AM では NHK文化放送、ラジオ日本 の送信アンテナ所の近くでゲルマラジオなど鳴らしてきました。埼玉と神奈川です。

ニッポン放送AMは千葉県木更津です。

上の写真が送信所の門前です。アンテナは2本立っているようです。ということは、電波に指向性をつけているようです。おそらく東京方面狙いでしょうか。

私の家は指向性の狙いから外れた方角なので、ニッポン放送は、他局に比べて電波が少し弱いです。

 


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さて、送信アンテナから300mくらい離れた川の土手に、よき所を見つけ、ゲルマラジオをセットしました。

アンテナはバラック風なループアンテナです。一辺が28cmくらいの小型です。十字の部分が台座にネジ留めなので、組立て式で、移動使用に向いてます。

四辺の角のワイヤー受けはダンボールと厚紙です。リッツ線10mに3mくらいビニール線を足してます。ピックアップコイルは省いて、同調コイルのみ。

バリコンは400pF、二連の片方。

スピーカーは、小型のトランペットスピーカーです。音は悪いが能率は高いという、シロモノ。中華製で、104dBと謳ってますが、16cmスピーカーよりはちょっと良いというくらい。ただ軽いので移動によろし。8オーム。接続には真空管ラジオ用などの出力トランスを使いますが、今回は送信アンテナのそばなのでトランスなしでも鳴りました。

また、ループアンテナではなく、普通にフェライトコアに巻いた同調コイルに数mのビニール線でもガンガン鳴りました。

この時、ラジオは来年のオリンピックの話題をやってました。おしゃべりの中で、昔の(1964年の東京?) オリンピック関係の歌を流してました。

スマホで録音しました。縦横比を直したら、カクカク動画になってしまいましたが、YouTube にUPしました。行ってトランペットスピーカーの音を聞いてみて下さい。

URLを最下部に貼っておきます。

 

この日は、JR久留里線に乗っての、田園の中をのどかに行く小さな旅となりました。


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ニッポン放送の ベリカード(受信証明書)です。いつ、どんな電波状況で、受信したかと、受信報告書を送ると、ラジオ局がくれる記念カードです。

このカードの右上写真は木更津のAMアンテナです。川のそばの田畑の中に立ってます。左下はFM のアンテナのようで、スカイツリーでしょう。

ラジオ放送の電波を捕まえて、カードを集めたりするのをBCLと言います。1970年代から流行りました。私も少年時代にはカードを集めましたが、幾つになっても、カードを貰うとちょっと嬉しいもんです。

 

更にカードの件。

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ワイドFM放送が、始まる前の、ニッポン放送の「試験放送」のベリカードです。これ珍しいでしょ?

アンテナの写真も貴重です。これを見ると、双ループのスタックだということがわかって、水平偏波なんだな、とわかります。

ベリカードの図柄で、アンテナの写真も何も載ってないのがよくあります。観光の絵ハガキみたいで、これはちょっとあれですね、ものたらんです。

やはりアンテナやスタジオ機材の写真も使って欲しいですね。

そこいくとニッポン放送は、正しいです。

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カードの裏面です。

電波受信状況は55555の満点だったのですね。ワイドFMは2015年に試験放送やってたんだと、あらためてわかりました。

 

YouTube ゲルマラジオにトランペットSP

https://youtu.be/EUWPD0mLP2g

チャンネルデバイダー (LPF)


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今回は チャンデバ と言っては大げさですが、ローパスフィルターです。2019年9月の製作です。結構実用的で、今も満足して使っています。

 

私はオーディオに興味を持った十代のころから、一貫して、フルレンジ一発党で来ました。2ウェイ3ウェイには興味なく、フルレンジ一発の潔さに拘ってきました。

それが、去年、ついに節を屈して、2ウエイに手を出しました。

フルレンジだけだと、もうちょっと低音出ないかなあ、と思うのは常で、そこへ去年、30cmスピーカーで、ビンテージ物なので後面開放型の箱で、軽々と低音を出せるスピーカーを入手して、いよいよ2ウェイに触手が伸びたという訳なのです。

私はモノラル再生しかやらないので、2ウェイにしても大した手間でもありません。アンプもスピーカーも2つでいいのです。ステレオと同じ規模で済みます。

 

普通のチャンデバは増幅部を持った本式回路ですが、私のは、パッシブ型で、簡易的です。しかし、サブウーハーを鳴らすに十分使えてます。

アンプの出力側にネットワークを入れて、高音低音のスピーカーを分けて鳴らすという、アンプ1台で済ませる手もありますが、音量のバランスが取りずらいので、高低のアンプ2 台使用の、チャンデバ方式にしました。


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上図のチャンデバは普通、帰還回路で増幅の大小をコントロールして、周波数を分けます。

一方、ローパス回路は、低音だけを通過させ、高音はカットするものです。結構単純です。

RとCの回路より、LとCの回路の方が損失が少ないと 思い、私はこれにしました。計算式を並記してますが、L には内部抵抗も自己静電容量もあって、本当は単純ではありません。

キモは周波数のどのポイントからカットを始めるかです。このポイントをカットオフ周波数(Fc)と言います。基準より3dB落ちる所です。


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これが回路図です。入力にCDプレーヤーを直接つないで、モノラルにします。300オームで、フルレンジ側に渡すのとLPF側に渡すのを分けています。このR は高低チャンネルが互いに影響しないようにするために、入れてあります。R の値はFcにも影響し、値によってはFc手前のフラット部が山を持ったりもします。

次のキモは L です。サンスイのトランス ST-53 A というのを見つけました。1次側は使わず、2次側のインダクタンスが2種類あるのでこれを活かし、Fcを高め低めと選べるようにしました。これ便利です。

L値 を1つに固定し、C だけ切り替えというのも実験しましたが、減衰加減がうまくいきませんでした。希望する減衰カーブを作るにはL も C も変化させて組ませる必要がありました。


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次のキモはシャーシに100均の缶を使ったことにあります。ブリキで出来ているようです。キリで簡単に穴をこじ開けられます。アルミシャーシではこうは簡単にいきません。ただブリキはバリを取ろうとすれば面倒です。適当に妥協しときます。

また、RCAピンのジャックは使わず、古い赤白コード、ぶった切りの回路に直ハンダ付けです。これで大部手間が省けます。

コンデンサーは高級フィルムコンデンサーで、500円~1000円くらいで、目がとび出るくらい高級ですね。試しにとて、MONACOR Mundorf PARCAudio と3メーカーですが、今もこのまんまです。本当は1メーカーで揃えるべきでしょうね。


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これは上図LCフィルターの、Fc計算式にL と Cの実際の値を代入したときの手計算です。

L値はLCRメーターで実測したものですが、目安程度のものです。

一9乗のルートを開くために、指数をうまいこと変えています。また、分母の10の-4乗は分子に10の4乗をのせるのと同等です。

指数計算があるので、今回は老婆心ながら、省かず全部載せました。ルートだけ電卓使用です。

これだと、Fcを低い方に設定したときは、大ざっぱに言って、180Hzくらいだと出ました。

因みにこのトランスの直流抵抗は、16オームと32オームですが、計算には入れてません。トランス手前の300オームもこのくらいなら無視しても計算結果は大して変わらないようです。

100~400Hz間を細かく測ってませんが、実測と、計算値、さほど大きくは外れてないようです。

インターネット上にはRLCを入力すれば計算してくれる便利なツールもあります。


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下の写真はバラックの71Aアンプ(左)と、以前に登場した42アンプ(右)です。

71Aで20cmのフルレンジスピーカー、フィリップスのヴィンテージ物で、励磁型を鳴らしていました。このスピーカーが私のフルレンジ一発の旅の終着点で、これ以上の物はないように思いました。後面開放型でした。(現在はYL音響のホーンスピーカーですが)

42でウーハーとして、ジェンセンのF-12を鳴らしてます。なんという贅沢でしょう。後面開放ボックス、励磁型スピーカーです。


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さりげなくカッコつけておいてあるCD は、ジャズヴォーカル Monica Lewis  です。

ジャズヴォーカルとシャンソンは低めの声なので、Fcポイントを低い方にして使ってます。たまたま100Hzに3dBの山があって、ジャズのウッドベースが気前良く鳴ります。

ソプラノは声が高いのでFcポイントを高い方にして、ソプラノの低い方を補ってゆったりと歌わせています。

ウーハーの音量調整が出来、Fcの切り替えも出来ると、聴いた感じもスムーズにフルレンジとつながって満足できます。

電信の思い出


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電信の思い出話です。

ところで、例の記念切手は写真のように小さな額に入れました。100均ってなんでもあるんですねえ。

 

さて、電信級の免許を取った中学生の私は、人生最大の緊張感の中で、電信での交信をしました。ただ、初めての交信については緊張したとしか覚えていません。

それから何回めかの交信のことは覚えています。

初心者は、決まりきった定形の内容で交信します。相手の電波の強さの報告とか、こちらの住んでる場所とか、自分の名前とか、こちらのお天気のことを打ちます。スタンプQSOというやつです。

で、いろいろな略語があって.信号のことは「S」 場所のことは「QTH」 こちら は「HR」と、大体ー文字から三文字打てば伝わるのです。これは世界共通です。代表は「SOS」で、誰でも知ってますね。

映画では『丘の上のポニョ』その他いくつかの映画には電信の場面が出てきます。

 

で、それから何回めかの交信のことです。まだかなり緊張しています。

HR WX IS FINE と、私は打ちました。交信相手は日本国内の人ですが遠くの人です。「こちらの天気は晴れです」と打ったのです。「WX」は天気のことです。

相手の人は

HR WX IS AME と、打ってきました。私の頭の中は、しばし真っ白になりました。

AME ってなんだ?? なんの略? 知らねえど。なんだあ? 

あっ! 雨かあ。ローマ字読みで アメ だあ! な~んだあ。

私はてっきり、FINE とか RAIN とか CLOUD と返事が来ると思ってました。普通、英文電信の時は 全体的に英語を使いますから。

 

こんな思い出です。この時から私の頭は少し柔らかくなりました。

 


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これは電健です。エレキーと言って、電気的に半自動的に トン ツー を打たせるキーです。パドルとも呼びます。大概のキーは台座が四角ですが、これは丸い鉄でできてます。カツミという日本のメーカー製です。

写真の赤いところを指で挟んで、左右に振ります。例えば左のパドルを押すと、ツーツーツーツーと、長点が出続け、右を押すとトトトトトと、短点が出続けます。そのためには特別な機械か、これが使える送信機を使います。そちらにスピード調整機能はあります。

馴れれば楽です。3:1の正確な信号を簡単に出せます。横振り方式です。

前々回の記事の電健紹介で、あえて、縦振り と書いたのは、このような横振りがあるからです。

 

もちろん、縦振りの方が古く、初期の頃からと思われます。私などは始めはこれしか知りませんでした。

電信を「打つ」と言いますが、ご存じでしょうが、縦振りキーをボカボカ打つ訳ではありません。シーソーになっている横木のツマミの上に、人差し指、中指を揃えて載せ、親指を横から添えます。指先を上下させるのではなく、手首を少し下げます。これでキーは動作します。力は要りません。手のひらの内側には卵を握った形にするのだと教科書には出ていました。

 

ちなみに電信には 和文 もあって日本独自のイロハ のトンツー信号があります。

 

さて、「さよなら」の意味で通信の最後に「73」と打ちます。(相手が女性だと、88)

では

ツーツートトト トトトツーツー

(ツーツーツートト ツーツーツートト)