これはミュー同調式ラジオです。普通、選局の同調回路にはコイルと可変コンデンサ(バリコン)を使いますが、これは、コンデンサの容量は固定で、コイルのインダクタンスを変化させます。
つまり、コイルの芯になっているフェライトコアの棒を出したり入れたりして放送局を選びます。
原始的で面白いですよ。
ラジオの心臓部には、三端子ラジオICの LA1050 を使い、音声増幅はトランジスター 2SC1815 1石です。ラジオICだけではクリスタルイヤホンしか鳴りませんが、トランスを使った1石アンプでスピーカーを鳴らしています。
単三電池1本でスピーカーが鳴り、電池は相当長保ちします。数日鳴らしっぱなしでもOKです。音量に不足は感じません。
アンテナ線は不要で、コンクリートの住宅でも入感します。
音量のVRはなし。もし、うるさいと思う時は、ラジオの向き(フェライトコアの向き)を変えて感度を下げます。
関東エリアの6局は混信もなく、受信できました。ミュー同調で、これだけ受信できるとは驚きです。
写真に見える、紙に手書きの「NNATQF」はNHK第1、NHK第2、AFN、TBS、文化放送(JOQR)、ニッポン放送(JOLF) のことで、この表示のし方は新発明かと、気にいっています。
電池ホルダーはレバー式のスイッチ付きで、小学生の教材みたいですが、これもお気に入りです。
スーパーヘテロダインでも再生式でもない、ストレートラジオです。言わば、ゲルマニウムラジオに高周波増幅と、低周波数増幅を付けただけのものです。
しかし、作ってみれば、いろいろ研究できて面白かったですよ。
IFTを使わないので高音が出て、音質も良いいです。
回路図
アンテナコイルがコアの中心にあるとき、同調周波数が一番低い。コアを抜いていくと、高くなります。ただし、コアは電波を拾う役めもあるので、抜ききってしまっては感度がかなり落ちます。
回路図中の、アンテナコイル1次側の基板アース (赤い線)は不要です。アースすると、感度は上がりますが、混信します。
アンテナコイルの巻数。
1cm径、18cm長のコアに、ゆるめに紙の筒の作り、0.3mmくらいのリッツ線を巻きました。
1次側は110回、2次側は40回くらい巻きました。
巻数は並列のコンデンサの容量やコアの長さなどによって要調整。
アンテナコイルの2次側巻数は1次側の、3分の1くらい。
コアを抜いていっても、最後まで1次と2次コイル両方にコアがかかわるように、2次側は1次コイルの端の上に重ねて巻きます。
出力トランスは、1.2K : 8 オーム の、サンスイST-32と同等品という物を使っています。
ラジオICは発振しやすいので、配線など注意。コイルのリード線を逆に接続し直すと発振が止まることもある。又、このICをフェライトコアの正面に置くと発振します。
写真、スピーカーが2つ付いてますが、並列のモノラルです。
三端子ラジオICは LMF501 LA1050 など。通販なら、今でも入手可能。
リッツ線は 秋葉原オヤイデ電気にあり、通販もあるでしょう。