DSPラジオ

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久しぶりに、ちゃんとしたバラックのラジオ紹介です。
DSPラジオという物で、デジタル シグナル プロセッサー という方式です。ゲルマニウムとか、スーパーヘテロダインとか、アナログ方式しか知らなかった私にはびっくり仰天の物でした。

冒頭の写真のこれは2015年の物で、私の3作目くらいのです。
実はこれ以前に私は2014年に初めてDSPラジオを作りました。『トランジスタ技術』という月刊誌8月号の記事でを見て、何んのことやら訳わからん状態でした。ラジオなのに同調回路がないのですから。バンド切り替えは抵抗でやるとか。
しかし、奮起して、そのIC を買ってきて、『トラ技』の回路図通り作りました。
スイッチON。なんも聞こえん。失敗。うーむ。
しかし、諦めず、そのIC Si48250 のデータシートと『トラ技』掲載の回路図をよーく見比べました。
あ ! 1ケ所違う。『トラ技』のプリントミスだ。技術の雑誌なのにこんなことあるんだと思いつつ、そのか所をデータシートの通りに配線し直しました。
聞こえました。ホッと喜び、飲み屋に走って、祝杯を挙げました。
なにしろ訳がわからない物に手を出して、音が出たんですから、ワクワクしました。

DSPについては今も訳わからん状態です。ダイレクトコンバージョンらしいですが、全体的には不明です。しかし、いくつも作って遊びました。
2作めからは itendo (アイテンドー) という店で売っている IC やモジュールを使いました。
冒頭の写真は 443 という型番のモジュールと、これ専用の基板を使いました。

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これは裏側です。
左の方のポリバリコンの背中に付いているのがモジュールです。
基本構成のDSPラジオなら、このバリコン付きモジュールにツマミと電池と、スピーカーと、AM 用にバーアンテナ、FM 用にはビニール線をちょっと付ければ、2バンドラジオが出来てしまうのです。このバリコン付きモジュール、当時、400円くらい でした。安い、簡単、聞こえる! 

今回紹介のは、この基本構成に、短波8バンドを加えて、ステレオ化したフル装備です。

さて、443は3つも買うことになりました。1つめはバリコンの容量を減らすため、羽を抜いたりして使って、いじりまわして、壊しました。
2つめはスピーカーの接続をいじって壊しました。このモジュール、音声増幅アンプまで内蔵しているのです。壊したあとで、スピーカーはBTL接続なのだとわかりました。

バリコンはLC の同調とは関係なく、容量を変化させて、IC内部の電圧を変えて選局しているらしいです。
Q=CV という公式を考えてみると、バリコンでも電圧は変わるのでしょう。
ちなみに、バリコンを使うのはこのモジュールくらいで、他のは大概、選局に可変抵抗を使ってます。

で、この443型モジュールは、FMの選局がクリチカルで、チューニングしずらいです。ツマミ回転角90度くらいの間に76MHz~86MHz、東京近郊の全局が密集していました。混信はないですが、ちょっと回わすと隣の局へ移ってしまいます。
で、私はバリコンの羽を抜いたのです。うまくいきましたが、AM にとっては逆に選局カバー範囲が狭くなってしまいました。

で、3作めには何か方法はないかと考えて、いじりまわして発見しました。
このモジュールとバリコンとの連結部と思われる所の、不自然に盛り上がったハンダ山を取り除くと、銅箔パターンに溝が切ってあり、そこはなぜかジャンパー機能だったのです。
案の定、ここにコンデサ (22PF) をかますと、バリコンと直列になり、容量変化が小さくなり、ツマミ回転角120度くらいまで、広がりました。
AMの時はバンド切替えスイッチと並列スイッチで、このコンデンサ挟み込みをスルーします。
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上の写真の、へばり着いた黒い塊の中にIC部があって、その右上にハンダの山を除いたら出てきた、パターンの切れめが見えます。そこに黄色と灰色の線を着けて、コンデンサとバンド切替えスイッチまで引っ張りました。
実際にはコンデンサに一時的に半固定コンデンサをつけて、調節しました。結局、当時、22Pに15 Pを並列にし、37PFとしました。
今は90MHz以上のワイドFMに対応させるなら、この C はあまり小さくしない方が良いでしょう。

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当時の手書き回路図です。
電源は単三2本で足りますが、電池ケースの手持ちが3本用なので3本です。5Vを越えなければOKでしょう。50mA流れます。(チューニング点灯のLEDこみで)
こういう物にしては結構流れます。

さて、SW(短波)はどうかというと、AM-FM をAMモードにした上で、AM のバンド設定を変えます。
そのために、モジュールのピン9~12番、4本をそれぞれアースするかどうかで、SW8バンドを選べます。
私は 16進ディップロータリー というスイッチを使ってみました。冒頭写真の真ん中辺りの白い小さいツマミがそれです。

SWは感度悪いです。一応受信は可能ですが期待はしない方が良いでしよう。
窓辺に張った3mのビニール線で、夜なら、アジアの強力短波放送は入りました。
昼は、上記ビニール線と、コンセントの保安アースを付けて、6MHz台のラジオニッケイ第1第2が入りました。
SWのアンテナ入力はAMのバーアンテナを外してそこに付けるようです。

FMの受信幅は7と8ピンのアースで決めます。両方アースで日本向きです。
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このモジュールのスピーカー出力は、BTL接続になっているようです。で、ステレオにしようと、2つスピーカーをつけて、単純にアースすると、アンプを壊します。電解コンデンサを通してアースします。
それで両スピーカーから音は出ますが、ステレオになっているかは怪しいです。片方のスピーカーの十一を逆にして、位相を反転しないとダメなようです。
私はスライド6 Pスイッチで、モノラルとステレオ切替えにしましたが、擬似ステレオかも知れません。
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ちなみに、写真の通り、左右のスピーカーが違うのは音を試すためでした。アイテンドーで、240円と250円のスピーカーです。音が違うのかと思ったら同じでした。

下の写真は、以前の記事に書いた、L金具の強引な使い方、トグルスイッチの板上固定です。
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次の写真は、電池BOXの板横固定です。アイテンドーの電池BOXはスイッチ付きで便利ですが、スイッチのある面の反対側が電池交換のためのふたになっているので、木ネジでの取り付けに知恵が必要です。
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始め電池BOX のスイッチだけ使っていましたが、ちょっと不便なので前面にトグルスイッチを立てた次第です。

最後の写真です。
最近、高周波注入機、SG を入手しました。真空管式の古式ゆかしい物です。これでも100MHz以上出ます。取手のデザインなど、お気に入りです。
これを使って、このDSPラジオの短波受信を調べました。感度は悪いですが21MHzまでちゃんと受信できてはいるようです。
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    完