チャンネルデバイダー (LPF)


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今回は チャンデバ と言っては大げさですが、ローパスフィルターです。2019年9月の製作です。結構実用的で、今も満足して使っています。

 

私はオーディオに興味を持った十代のころから、一貫して、フルレンジ一発党で来ました。2ウェイ3ウェイには興味なく、フルレンジ一発の潔さに拘ってきました。

それが、去年、ついに節を屈して、2ウエイに手を出しました。

フルレンジだけだと、もうちょっと低音出ないかなあ、と思うのは常で、そこへ去年、30cmスピーカーで、ビンテージ物なので後面開放型の箱で、軽々と低音を出せるスピーカーを入手して、いよいよ2ウェイに触手が伸びたという訳なのです。

私はモノラル再生しかやらないので、2ウェイにしても大した手間でもありません。アンプもスピーカーも2つでいいのです。ステレオと同じ規模で済みます。

 

普通のチャンデバは増幅部を持った本式回路ですが、私のは、パッシブ型で、簡易的です。しかし、サブウーハーを鳴らすに十分使えてます。

アンプの出力側にネットワークを入れて、高音低音のスピーカーを分けて鳴らすという、アンプ1台で済ませる手もありますが、音量のバランスが取りずらいので、高低のアンプ2 台使用の、チャンデバ方式にしました。


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上図のチャンデバは普通、帰還回路で増幅の大小をコントロールして、周波数を分けます。

一方、ローパス回路は、低音だけを通過させ、高音はカットするものです。結構単純です。

RとCの回路より、LとCの回路の方が損失が少ないと 思い、私はこれにしました。計算式を並記してますが、L には内部抵抗も自己静電容量もあって、本当は単純ではありません。

キモは周波数のどのポイントからカットを始めるかです。このポイントをカットオフ周波数(Fc)と言います。基準より3dB落ちる所です。


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これが回路図です。入力にCDプレーヤーを直接つないで、モノラルにします。300オームで、フルレンジ側に渡すのとLPF側に渡すのを分けています。このR は高低チャンネルが互いに影響しないようにするために、入れてあります。R の値はFcにも影響し、値によってはFc手前のフラット部が山を持ったりもします。

次のキモは L です。サンスイのトランス ST-53 A というのを見つけました。1次側は使わず、2次側のインダクタンスが2種類あるのでこれを活かし、Fcを高め低めと選べるようにしました。これ便利です。

L値 を1つに固定し、C だけ切り替えというのも実験しましたが、減衰加減がうまくいきませんでした。希望する減衰カーブを作るにはL も C も変化させて組ませる必要がありました。


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次のキモはシャーシに100均の缶を使ったことにあります。ブリキで出来ているようです。キリで簡単に穴をこじ開けられます。アルミシャーシではこうは簡単にいきません。ただブリキはバリを取ろうとすれば面倒です。適当に妥協しときます。

また、RCAピンのジャックは使わず、古い赤白コード、ぶった切りの回路に直ハンダ付けです。これで大部手間が省けます。

コンデンサーは高級フィルムコンデンサーで、500円~1000円くらいで、目がとび出るくらい高級ですね。試しにとて、MONACOR Mundorf PARCAudio と3メーカーですが、今もこのまんまです。本当は1メーカーで揃えるべきでしょうね。


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これは上図LCフィルターの、Fc計算式にL と Cの実際の値を代入したときの手計算です。

L値はLCRメーターで実測したものですが、目安程度のものです。

一9乗のルートを開くために、指数をうまいこと変えています。また、分母の10の-4乗は分子に10の4乗をのせるのと同等です。

指数計算があるので、今回は老婆心ながら、省かず全部載せました。ルートだけ電卓使用です。

これだと、Fcを低い方に設定したときは、大ざっぱに言って、180Hzくらいだと出ました。

因みにこのトランスの直流抵抗は、16オームと32オームですが、計算には入れてません。トランス手前の300オームもこのくらいなら無視しても計算結果は大して変わらないようです。

100~400Hz間を細かく測ってませんが、実測と、計算値、さほど大きくは外れてないようです。

インターネット上にはRLCを入力すれば計算してくれる便利なツールもあります。


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下の写真はバラックの71Aアンプ(左)と、以前に登場した42アンプ(右)です。

71Aで20cmのフルレンジスピーカー、フィリップスのヴィンテージ物で、励磁型を鳴らしていました。このスピーカーが私のフルレンジ一発の旅の終着点で、これ以上の物はないように思いました。後面開放型でした。(現在はYL音響のホーンスピーカーですが)

42でウーハーとして、ジェンセンのF-12を鳴らしてます。なんという贅沢でしょう。後面開放ボックス、励磁型スピーカーです。


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さりげなくカッコつけておいてあるCD は、ジャズヴォーカル Monica Lewis  です。

ジャズヴォーカルとシャンソンは低めの声なので、Fcポイントを低い方にして使ってます。たまたま100Hzに3dBの山があって、ジャズのウッドベースが気前良く鳴ります。

ソプラノは声が高いのでFcポイントを高い方にして、ソプラノの低い方を補ってゆったりと歌わせています。

ウーハーの音量調整が出来、Fcの切り替えも出来ると、聴いた感じもスムーズにフルレンジとつながって満足できます。