銅箔テープループは凄かった


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 三たび、ループアンテナですが、胸躍る実験でした。
 前々回、小型ループアンテナで、ニッポン放送の送信所近くでゲルマラジオ受信のことを書きました。今回のはそのすぐ後日、同じく2019年、11月の実験記録です。
 結果が早く知りたくて、アンテナ製作中や受信実験中の写真をほとんど撮ってなく、冒頭の写真などは公開意図がなかったものです。図解中心の記事です。

 

 ニッポン放送受信の1辺30cmのひし型ループ製作以前に、実は、1辺50cm と 1mのループを2種類作っていました。そしてわかったことは、

ループアンテナは

『デカけりゃイイってもんだ』 

ということでした。
 1辺 1m にもなると相当感度が上がって、普段受信できない局が入ってきました。その代り、リッツ線の長さもバリコンの容量も大きく必要です。

 さて、ある日、
「ループってやつは共振のカが主だが、デカイ方がいいってことは、電線の面積もデカイ方がいいんじゃねえの? 電波を受け止めてるんだから。つまり、太いか広いかだ」と素人考えが浮かびました。
 そこで思いついたのが、
「銅箔テープで大型ループを作ったらどうだ!」 です。

 幸い、その時は苦労せず、10年前に買った、幅2cm、長さ30mの、未使用の銅箔テープが1巻き出てきました。
 銅の厚さはミクロン単位。高周波は表皮効果と呼ばれる性質で、導体の表面を伝わるものらしいので、薄くてもOKでしょう。
 裏紙を剥がすと接着できるテープシールになってます。
 
 この銅箔テープをダンボールを使った箱や平面に巻いて、以下の①~③図、3種類を実験しました。簡易的なゲルマラジオをつないで受信テストをしました。冒頭の写真は②、2番目に作った多卷きループです。

 


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 最初に作ったのがこれです。結果は凄かったです。コンクリートの室内に置き、アースもとらず、ゲルマラジオが聞こえました。しかも、今まで、ゲルマラジオでは受信できなかった局も入りました。

 関東地方には 810 KHzのAFN局 (昔のFEN)がありますが、その局が聞こえたのです。

 元々、私の所では AFN が感度悪いのです。この局は在日アメリカ軍のために放送していて、出力も民放やNHK の半分、50Kwで、指向性を持たせているらしく、私の所ではスーパーラジオでも感度が少し落ちるのです。それがゲルマラジオで、アースなしで、聞こえたのですから驚きました。


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 今回は多巻きループアンテナの結果が早く知りたくて、ゲルマラジオも超簡単回路です。イヤホン側に抵抗もトランスも使ってません。

 アンテナコイルもピックアップコイルを使わず、バリコン、ダイオードに直結です。


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 ハンダも使わず、配線はミノムシクリップコードです。バリコンは昔の5球スーパーの2連バリコンの並列です。800pF以上はあるようです。

 写真では赤いミノムシクリップが外れていますが、手描き矢印の先、ダイオードのリードに付けるものです。矢印の左に見える黒いのがロシア製のダイオードです。

 長さ30mの銅箔テープを巻きつけていくのは結構大変でした。根気です。所々、養生テープで、ダンボールに固定しました。後の平面ループ作成のことも考えていたので、後で剥がす予定です。銅箔テープの裏のシールはここでは使いませんでした。

 

 さて、銅箔テープループ1号の結果に満足したのも束の間、すぐあることを思い つきました。

 テープ間が 3 mmと狭いけど、電波が飛んで来る方向と反対側のテープには、電波が到達しにくいのでは? 前のテープが壁になってる。

 間隔を広くした方が、前面のテープのすき間から、裏側のテープにも電波が届くのでは?

 

  
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 早速2号に作り変えました。テープ間隔を2cmにすると、その分、箱を大きくしないと30mは巻ききれないので、ダンボールは2つ使って作りました。

 さて、1号をほどいてからが大変です。なにしろ30 mのテープですから、巻く前にヨレや切れに注意して伸ばします。玄関から台所を通って部屋までずーっとテープが床に這ってます。

 これをまた根気良く2号の箱に巻いていきます。

 さて、結果は?! 

 ガチョーン (死語?)

 あに、はからんや (何語だ?)

ダメでした。ゲルマラジオは聞こえましたが、感度は悪くなりました。

 どうも素人の発想はときとしてマトハズレなんでしょう。電波はバッタの大群のように、飛んで来るものではないですよね。瞬時に電界と磁界が反応して、それこそ波の動きのように発生を伝えていくんですね。

 だから、物質が隙間を通るみたいな発想はハズレだったのでしよう。あるいは他の要因で感度が下ったのでしょうか。

 

 ところで、電皮の成分は電界と磁界があるらしいですが、多巻きループにすると、そのアンテナは磁界アンテナになるようです。

 だから私のこの実験も、コンクリートの壁の中なのにラジオが受信できたのでしょう。

 箱の水平の向きや、垂直の傾きも試しましたが、図の向きが一番良かったです。指向性も普通の多巻きループと同じでした。

 後に考えたのですが、多巻きループは、

指向性方向の受けとめ面積と、ループの奥行き寸法も関係するのかも知れません。つまり、2号のダンボールは、指向性方向の奥行きを長くするべきだったのかも。

 

 さて、3号は平面に、四角い、蚊取線香のように貼り付けたものです。
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 テープの裏紙を剥がし、ダンボールに貼りました。

 さて、始めにギモン発生。

30 m を2 cm間隔で、四角い渦巻きにしたら、台紙となるダンボールの広さはどれくらいあればいいの?

あらかじめ分かってないと作業にならない。

 そこで、計算式を発明しました。


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   これです。何故こうなるのかは、紙面の都合で割愛。あくまで 2cm幅 のテープを 2cm間隔 での式です。

 n に 13 を代入すると、大体 30m になり、最大一辺が106cmになると出ました。ダンボールの台紙は1辺1m20cmくらいで作りました。

 テープの直角の曲がり角は、テープを切ったりせず、余分を摘まんで貼り合せてます。

 13周巻いて、大体計算式通りでした。これも根気の作業。

 紐をつけて天井からぶら下げました。

 

 さて、結果は?

 ガチョーン  (谷 啓 氏に敬意を表しつつ)

 ダメでした。

 聞こえるけど相当感度が落ちました。指向性もあるのかないのかよくわからい状況でした。

 

 部屋の中が、ラジオやスピーカーや蓄音機や、いろんなパーツで溢れているので、後日、この大型平面ループもバラして、涙をのんで捨てました。

 

 ともあれ、1号の結果は満足できるものでした。家の中が広ければ、時間がもっとあれば、『第2回 銅箔テープ大型多卷きループアンテナの実験祭』を開催したいのですがね。