マグネチックループアンテ


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 久々にアンテナの紹介です。

 これは「マグネチックループアンテ」という、ちょっと変わったアンテナです。MLAと略すこともあります。

 写真のこれは、アマチュア無線の144MHz帯で送信も出来る物です。製作は2006年ころだったかな、と思います。

 支えになるのが1cm角の木です。木でいいのかって思われるでしょうが、濡れてなければ大丈夫のようです。

 移動運用時に、この木(長さ36cm)をグラスファイバーの釣竿の先にゴムベルトでくくり付けて使います。

 この構造だと、作るのに面倒がなくて、簡単です。ループの真下にBNCジャックがあって、ここに同軸を挿します。

 

 メインエレメントは、直径が 18.5 cm です。幅  2cm 、厚さ 1mm のアルミ帯です。

    マグネチックループアンテの直径は波長の 1/10~1/20 が良いと言われており、その小ささが一番のメリットです。

 内側の小ループは給電用で、メインループ直径の 1/5 位が良いとされています。

 

 で、飛ぶのかよ? と、これが一番の関心事でしょうが、結論、

「ダイポールよりちょっと劣るが、普通に使える」というのが私の経験的答えです。

 ただ、同調範囲は狭く、コンデンサ部に高電圧が発生し、キケンであり、大出力はかけづらいというのが難点です。

 しかし、写真のアンテナで、145MHzのFM帯で、100KHzの幅は SWR1.2 以内に入っていたと記憶しています。不便なく使えました。出力は5wでやっていましたが10wくらいまで試したことがあります。

 メインループは大きい方が同調帯域が広く取れます。しかし、大き過ぎると、磁界アンテナではなくなるらしいです。


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 給電ループの直径は 4 cm で、銅線の太さは1.6 mm です。BNC ジャックはメインループと、木に留めるための L 型のアルミ片を貫いています。この L 材はタッピングビスで木に留めています。

 


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 このアンテナのキモとなる、天頂にあるコンデンサ一部です。アルミ帯を 2.5 cm 下に曲げ、向かい合わせにしています。これでコンデンサ一の出来上がり!

 ポリネジを使い、間にはテフロンのワッシャーが3枚入っています。これがミソで絶縁しながら、円形を綴じて固定しています。

 間隔はネジの所で 2 mm、下端で 3.2 mm。微妙に開いています。

 この開き具合いが SWR 調整 の第1のカギです。(高電圧が発生! 触れる時は電波OFF)

 

 このコンデンサ一部が、MLAの悩ませ所で、同調周波数を移動するためにバリコンを使ったり、高電圧に耐るために同軸をコンデンサ一にしたり、いろいろな人が工夫しています。

 私は写真のこの形にする前は、初めコンデンサ一部は、円弧の左右の腕が天頂で上下に重なるだけの形でした。コンデンサ一としてはOK ですが、形が対称でないのでやめ した。

 次は、折り曲げ部が、タマネギの茎ように上に向いた形で作りました。調整し易い。コンデンサ一としてもOKです。しかし、まさに凸起物となり、物にぶつかり易い。で、下向きに直したというわけです。

 

 SWR 調整の第2のカギは、給電ループの直径です。このループ銅線は少し長めにしておいて、カットアンドなんとかです。ちょっとずつ切っていきます。

 コンデンサ一部の開き具合いと、これを交互にやってみます。もし、SWR が 3 くらいになったら、もうこっちのもんです。成功したも同然。あとは根気良く追い込んでいきます。

 第3のカギは、メインループを偏形させます。最後の微調整として、ループを真円ではなく、左右から押した形にしてみます。または天地を押してみます。要するにループ自体の微小な静電容量を変えてみるということでしょうか。

 

 実は 144 MHz 用のこれは MLAの最後に作った物で、唯一今でも残っている物です。

 初めは 430 MHz 用の MLAを作りました。直径 6 cm くらいです。メインループはハサミでも切れる薄い銅板でした。小さいので気軽にいくつも作って実験しました。ループ帯の幅を広げると帯域が広くなり、直径と同じくらいの物、土管のようなMLAまでも作りました。


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 これが430MHzのMLAです。写真は移動運用した時に友人が撮ってくれたものです。

 小さいので、支えの木は要らず、給電同軸の首を釣り竿にゴムで締めてOKです。

 コンデンサー部は、前述した、私の初期型です。天頂で左右が重なっているだけです。幅が広いので、重なり代はわずかです。

 初めは3mmのアルミワイヤーをループにし、圧着端子を左右に付けて、重ねたり、向き合わせたりしてコンデンサ一としていました。

 430 MHz なんて、元々、小さいアンテで済むのですがね。ただ、ダイポールにしても八木にしても垂直偏波の場合、同軸ケーブルをアンテエレメントから離すために、横に腕木を出したりしなければなりません。その点、MLAの垂直偏波の場合は有利です。

 

 50 MHz 用のMLAも作りました。直径は60 cm にしました。SSB帯は水平偏波なので、ループも水平にしました。。

 

 MLAには指向性も少しあって、ループ平面が指す方向です。ダイポールほどは切れなかったと記憶してますが、ヌル点(一番感度の悪い方向)ははっきり分かりました。

 

 MLAのもう1つのメリットは、受信ノイズが少ないことです。確かにそのようでした。磁界ループアンテナなので、電界由来のノイズには強いようです。