SDRラジオのドングルでは、MW(中波)やSW(短波)が受信できません。
で、普通は UPコンバーター という、低い周波数の電波を100MHz以上に変換する物を、ドングルの前段に付けて、中波短波を受信するようです。
しかし、そのコンバーターは結構高価で、自作するには複雑で難しいです。
私は2015年、SDRを初めてやってみて、感動はしたものの、なんとかAM(MW)やSWを安く受信できないかなあと、ドングルの中身を観察していてました。そしてついに、すんげえことを発見しました!
それは、トランジスター(FET)1石の簡単なチューナーを、このドングルの前段に付ければ、AM、SW が受信できるということです。
2015年にこのチューナーを作って、試しただけで、その後はSDRからも遠ざかっていましたが、今回久しぶりにSDRラジオやこのチューナーを再開しての、記事です。
私はSDRやこのドングルの理屈は理解してないので、誤りもあるでしょうし、詳しい解説はできません。
こんなことやって、とにかく、AMが入りましたという、紹介記事です。
冒頭の写真が、バージョンも新しいのにUPした HDSDR v.2.81beta3 を今回、使ってAMラジオを受信している所です。
東京近辺のラジオ局がすべて見渡せます。今、TBSラジオを受信しているところです。全体的に普通に聞けますが、送信元の指向性で、ラジオ日本だけは微かに入る程度です。
アンテナはベランダの軒下に5 m のビニール線。コンセントの保安アース端子にアースも取っています。ゲルマラジオ並みの大げさなアンテナで、これが 難点のど飴 です。(古っ)
これが、簡易チューナーです。タッパーといい、雑な作りといい、立派なバラックです。
穴ポコは熱逃がし。黒の大きいツマミはチューニング、小さいツマミは、同調回路の Q を調整するVRです。スイッチは、AM(MW 中波)SWの切り替え。
2つのBNCジャックはアンテナで、1つはこのチューナーを通してAMSWを受信する時用。もう1つはチューナーをスルーして、元のドングルとして使う時用。
USBプラグはPCに挿し、I/Q信号をPCに送るもの。
中身です。
ドングルの基板と、私が作ったチューナー部の、FCZ基板が見えます。ポリバリコンがあります。アンテナコイルは2つ。SW 用は厚紙の空洞筒。1石のチューナー部の電源はUSBプラグから、ドングルと並用でPC の5 Vを頂戴。
一体どういう仕組みかと言うと、上手い説明はできませんが、次のごとし。
このドングルには2つのメインICがあり、R820T は電波受信部らしい。捉えた信号をRTL2832U に渡す。 RTL2832Uは 電波信号を I信号とかQ信号 に分解して、PCに渡す。PC のプログラムで、AM や FMの検波をするらしい。
とメボシをつけて、ドングルの基板をよーく見ていました。ジャン! そこで発見!
RTL2832Uのそばに、QP と白文字のある、丸いランド(銅)がある! これ、なんだ?
工場で、このランドに検査ピンを当てて、ICに信号注入して、チェックしたんじゃねえの、もしかして。テストポイント?
もう1つ同じランドがIC のすぐそばにある。NCって白文字、ノーコネクション? なんだかわからん。Oの字、欠けてる? 逆さから見ると ON? QN? (上の写真 赤矢印)
とにかく、ここにラジオの信号入れたらなんとかなるんじゃね? と、ものすごい素人考えを思いつきました。
で、2SK241 というFETを使って、同調と、増幅回路だけのAMチューナーを作りました。その出力を、このランドに当てました。
なんと、PC のHDSDR上にAMラジオが再現されました! うっそ~ 本当か? わが目も疑うばかり。しかし、本当です。事実です。こんなんあり?
私は、例えて言うなら、地図も持たない海賊が、無人島の砂の中から宝箱を堀り出したような気分でした。
チューナー部の回路図です。例によって、スマホでの手書き。
回路図 訂正版 10/27
第1稿で記載もれしていた、FETゲートと接地間に1Mオーム追加。
用心のために入れていた、出力接地からの C(0.1u)を削除しました。実験で、不要と判断。
緑の線はドングルです。上から見た図で、右端がUSBプラグ。
このチューナーの仕組では、必要とするのは、IC RTL2832Uのみで、受信部と思われる R820Tには一切触れず、スルーします。
ANT1にアンテナをつなぐと、この自作チューナーを使うことになります。
ANT2につなぐと、自作チューナーはスルーし、ドングル本来の使い方になります。
アンテナの同軸ジャックのアース側は、自作チューナーとドングルのアースにつなぎます。回路図では記入省略してます。
AMアンテナコイル 欠けて半端になったフェライトコア8cm長、径8mm位。70回くらい巻き。
SWアンテナコイル 径17mmくらいの紙筒、19回くらい巻き。これで短波の4 MHz~10MHzくらいまで受信。ただし、AM より更に感度悪い。
電源系にチョークコイルを使ってますが、PCからのノイズを断てるかもと、ありあわせのインダクター。今回、測ったら、電流は8mAくらい。抵抗では電圧降下が大きいとは思います。本来9Vは欲しいのに元が5Vですから。
ポリバリコンもありあわせの単連270PF。バリコンを回わすと、PCの画面、スペ クトラムの表示窓に同調ポイントが波頭のように左右 に走ります。例えるなら、サッカー試合の応援客席の万歳ウェーブのようです。Q を下げていても大体同調点は分かります。
さて、バリコンと並列のVRですが。これもありあわせの50K。使った感じ、20Kでも可と思いました。
何でこんな所に抵抗? 普通、同調回路は、そのQの高さを求めますが、あえて、Q を低くして、同調範囲を広げるためです。SDRでは、広範囲の周波数を一望するからです。Q を低くした私のチューナーが感度悪いのは、これがー因でしょう。
このVRがけっこう重要で、感度を下げた方が、フロアーノイズも下がり、却って聞き安いということもあります。
ドングルのUSBプラグは使いません。新たにUSBコードを付けて、PCまで延長しています。どこのご家庭にもある、プリンターなどの不要になったUSBコードをぶった切って使ってます。ここからチューナーへ5Vを延長してます。
ICの近くのランドにリード線をハンダ付けするのは決死の作業でした。写真では、なんのことはないようですが、実物は非常に小いです。
今回、ブログを書くのに、今売られているドングルの基板の写真をネットで見てみました。(アイテンドーのHP、カタログの黒いドングルの説明写真)
現在のは QPとかのランドが無いようなんです。ハッキリとは見えませんが。
このドングルを使うとなると、ICのピンに直接ハンダ付けか、別に何かそれらしいポイントを探りあてるか。更に細かい作業が、予想されます。
[後記]
青い方のドングルは、R820T2 が載っいて、尚且つ QP QN が使い易いようです。当ブログの次の記事で紹介してます。
さて、今回、私の2015年購入の、このドングルの QP NC(おそらくQN) ランドがどこにつながってるか、初めて、テスターで確認しました。
QPはICの4番ピン QNは5番ピン でした。これらのランドにはどこからも回路は来ていないようでした。
テスターのリードの先すら太過ぎて使えず、針を使って導通確認しました。それほどICのピン周りは細かいです。
HDSDRの設定変更もします。この写真では、V.2.81ですが、デバイスボタンを押して Q input に変更します。赤矢印。古いバージョンだと、周波数カウンターの右に I/Qなんとか ボタンがあるはずです。
SDRsharpでも出来ます。
上部左のギアのアイコンをクリックすると、出てくる窓のプルダウンリスト内
Direct sampling (Q branch) を選びます。
SW受信の画面です。昼の3時過ぎの受信。普段から私の所では、ラジオニッケイが弱く、私の所を電波がスキップしているのかもと思われますが、6MHz台の、ラジオニッケイ第1第2放送が、入り、ちゃんと聞こえました。
最近、ラジオニッケイの3.9MHzなどがなくなり、6MHzは放送時間が縮小されて、悲常に残念です。ラジオニッケイ第2放送は日本で唯一、音楽や歌を、くだらないお喋りやバカ笑いを入れずに、専門に流すラジオなのに残念です。ちかごはFM放送だってAMと同じ風潮ですからね。
7 MHzで、ハムの声、SSBがちらっと聞こえて、感動しました。よほど強い局だったのでしょう。アマチュア無線などは電波が弱いので、周波数に同調した専用のアンテナじゃなけりゃだめなのでしょうが。
この記事を書くに、ICのデータシートを見たらいいんじゃね? と今回思いつきました。で、ネット上にあって、見ると、QPなどはICの4 5 ピンで間違いはないようでした。
なんで2015年にデータシートのことを思いつかなかったのか。しかし、私が先にそれを見ていたら、きっと「わけわかんね」と投げ出していたことでしょう。ドングルの基板実物に食いついたからこそ、地図を持たない宝探し が出来たのでしょう。
まだSDRについては載せたいことがあるので、次回もSDR関係になりそうです。
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