DSPラジオ

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久しぶりに、ちゃんとしたバラックのラジオ紹介です。
DSPラジオという物で、デジタル シグナル プロセッサー という方式です。ゲルマニウムとか、スーパーヘテロダインとか、アナログ方式しか知らなかった私にはびっくり仰天の物でした。

冒頭の写真のこれは2015年の物で、私の3作目くらいのです。
実はこれ以前に私は2014年に初めてDSPラジオを作りました。『トランジスタ技術』という月刊誌8月号の記事でを見て、何んのことやら訳わからん状態でした。ラジオなのに同調回路がないのですから。バンド切り替えは抵抗でやるとか。
しかし、奮起して、そのIC を買ってきて、『トラ技』の回路図通り作りました。
スイッチON。なんも聞こえん。失敗。うーむ。
しかし、諦めず、そのIC Si48250 のデータシートと『トラ技』掲載の回路図をよーく見比べました。
あ ! 1ケ所違う。『トラ技』のプリントミスだ。技術の雑誌なのにこんなことあるんだと思いつつ、そのか所をデータシートの通りに配線し直しました。
聞こえました。ホッと喜び、飲み屋に走って、祝杯を挙げました。
なにしろ訳がわからない物に手を出して、音が出たんですから、ワクワクしました。

DSPについては今も訳わからん状態です。ダイレクトコンバージョンらしいですが、全体的には不明です。しかし、いくつも作って遊びました。
2作めからは itendo (アイテンドー) という店で売っている IC やモジュールを使いました。
冒頭の写真は 443 という型番のモジュールと、これ専用の基板を使いました。

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これは裏側です。
左の方のポリバリコンの背中に付いているのがモジュールです。
基本構成のDSPラジオなら、このバリコン付きモジュールにツマミと電池と、スピーカーと、AM 用にバーアンテナ、FM 用にはビニール線をちょっと付ければ、2バンドラジオが出来てしまうのです。このバリコン付きモジュール、当時、400円くらい でした。安い、簡単、聞こえる! 

今回紹介のは、この基本構成に、短波8バンドを加えて、ステレオ化したフル装備です。

さて、443は3つも買うことになりました。1つめはバリコンの容量を減らすため、羽を抜いたりして使って、いじりまわして、壊しました。
2つめはスピーカーの接続をいじって壊しました。このモジュール、音声増幅アンプまで内蔵しているのです。壊したあとで、スピーカーはBTL接続なのだとわかりました。

バリコンはLC の同調とは関係なく、容量を変化させて、IC内部の電圧を変えて選局しているらしいです。
Q=CV という公式を考えてみると、バリコンでも電圧は変わるのでしょう。
ちなみに、バリコンを使うのはこのモジュールくらいで、他のは大概、選局に可変抵抗を使ってます。

で、この443型モジュールは、FMの選局がクリチカルで、チューニングしずらいです。ツマミ回転角90度くらいの間に76MHz~86MHz、東京近郊の全局が密集していました。混信はないですが、ちょっと回わすと隣の局へ移ってしまいます。
で、私はバリコンの羽を抜いたのです。うまくいきましたが、AM にとっては逆に選局カバー範囲が狭くなってしまいました。

で、3作めには何か方法はないかと考えて、いじりまわして発見しました。
このモジュールとバリコンとの連結部と思われる所の、不自然に盛り上がったハンダ山を取り除くと、銅箔パターンに溝が切ってあり、そこはなぜかジャンパー機能だったのです。
案の定、ここにコンデサ (22PF) をかますと、バリコンと直列になり、容量変化が小さくなり、ツマミ回転角120度くらいまで、広がりました。
AMの時はバンド切替えスイッチと並列スイッチで、このコンデンサ挟み込みをスルーします。
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上の写真の、へばり着いた黒い塊の中にIC部があって、その右上にハンダの山を除いたら出てきた、パターンの切れめが見えます。そこに黄色と灰色の線を着けて、コンデンサとバンド切替えスイッチまで引っ張りました。
実際にはコンデンサに一時的に半固定コンデンサをつけて、調節しました。結局、当時、22Pに15 Pを並列にし、37PFとしました。
今は90MHz以上のワイドFMに対応させるなら、この C はあまり小さくしない方が良いでしょう。

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当時の手書き回路図です。
電源は単三2本で足りますが、電池ケースの手持ちが3本用なので3本です。5Vを越えなければOKでしょう。50mA流れます。(チューニング点灯のLEDこみで)
こういう物にしては結構流れます。

さて、SW(短波)はどうかというと、AM-FM をAMモードにした上で、AM のバンド設定を変えます。
そのために、モジュールのピン9~12番、4本をそれぞれアースするかどうかで、SW8バンドを選べます。
私は 16進ディップロータリー というスイッチを使ってみました。冒頭写真の真ん中辺りの白い小さいツマミがそれです。

SWは感度悪いです。一応受信は可能ですが期待はしない方が良いでしよう。
窓辺に張った3mのビニール線で、夜なら、アジアの強力短波放送は入りました。
昼は、上記ビニール線と、コンセントの保安アースを付けて、6MHz台のラジオニッケイ第1第2が入りました。
SWのアンテナ入力はAMのバーアンテナを外してそこに付けるようです。

FMの受信幅は7と8ピンのアースで決めます。両方アースで日本向きです。
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このモジュールのスピーカー出力は、BTL接続になっているようです。で、ステレオにしようと、2つスピーカーをつけて、単純にアースすると、アンプを壊します。電解コンデンサを通してアースします。
それで両スピーカーから音は出ますが、ステレオになっているかは怪しいです。片方のスピーカーの十一を逆にして、位相を反転しないとダメなようです。
私はスライド6 Pスイッチで、モノラルとステレオ切替えにしましたが、擬似ステレオかも知れません。
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ちなみに、写真の通り、左右のスピーカーが違うのは音を試すためでした。アイテンドーで、240円と250円のスピーカーです。音が違うのかと思ったら同じでした。

下の写真は、以前の記事に書いた、L金具の強引な使い方、トグルスイッチの板上固定です。
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次の写真は、電池BOXの板横固定です。アイテンドーの電池BOXはスイッチ付きで便利ですが、スイッチのある面の反対側が電池交換のためのふたになっているので、木ネジでの取り付けに知恵が必要です。
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始め電池BOX のスイッチだけ使っていましたが、ちょっと不便なので前面にトグルスイッチを立てた次第です。

最後の写真です。
最近、高周波注入機、SG を入手しました。真空管式の古式ゆかしい物です。これでも100MHz以上出ます。取手のデザインなど、お気に入りです。
これを使って、このDSPラジオの短波受信を調べました。感度は悪いですが21MHzまでちゃんと受信できてはいるようです。
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    完

片づけ妖精 2cmFMラジオ

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この絵は、整理整頓収納にすぐれた法力を持っている『片づけ妖精』の想像図です。

ラジオと何の関係があるかと言うと、私が整理整頓が苦手で、こんな妖精がいたらなあと常々思っているからです。
昨日、電子部品を探すために家中をひっかきまわしていました。すると、探している物ではない物が出てきて、こんな物があったんだ! と感心するやら呆れるやら。
出てきたのはこれです。
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このブログに登場したラジオキットの表紙です。秋葉原で買った時の値札も付いています。もっと早くこれがあると、知っていたら、先回の記事に載せたのに。も一。
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このパーツも一緒に出てきました。2cmFMラジオの選局用の小型ドライバーです。コイルのコアとコンデンサもありました。これらだけは残っていたのですね。

さて、本題に戻します。
皆さんは部品の収納などどうしていますか?
私はいきあたりばったり、とにかく何処かに突っ込んでしまいます。意を決して、それぞれの収納場所を定めて、それ用の容器を整えても、しばらくすると実行しないようになってしまいます。
めんどくさがり屋です。

で、ちょっとラジオを作ろうとしたり、ちょっと実験をしようとすると、製作の前に、家中探しまわって、1時間も2時間もかけて、部品をそろえなければなりません。
在庫を切らしてしまった3mmのナット、何処かに1個くらいあるだろうと、1個探すのに30分かかったこともあります。泣きたいくらいでした。L金具なんて、毎回、絶対、探すことになります。
そのくせ、47uの電解コンデンサなんて、探してもいないのに、家中のあっちこちから出てくるのですから。

で、こんな妖精がいたらなあと切望するのです。

ご主人様、お呼びでしょうか。
うん、あのね、これ片づけといて。
かしこまりました。
妖精が棒だか杖だか、ひと振りすると、そこら中に散らかったパーツが、自分で壁の収納㮶の小箱の中に飛んで行くという寸法なです。
あっという間に片づけ完了。

壁、二面三面にしつらえた棚のBOXにはパーツの名前と写真が貼ってあり、次に、探すのに手間がかかりません。妖精がみんなやってくれました。
抵抗なんか、金被だのカーボンだの種類別、当然、値別ワット数別にに整然と並んでいます。
彼女には電子部品の知識はありませんが、なにしろ魔法ですから。

今、彼女と言いましたが、ハリー・ポッターに出てくるトビーみたいのじゃ私はいやですから、冒頭の絵のようになります。

CDプレーヤー改造 後日譚

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彼は喜びのビールを飲んだ次の日、ふと思いあたって、使ったファーストリカバリダイオードのデータシートをダウンロードして見た。
筆者思うに、これでは逆であろう。普通、そのパーツを取りつける前に調べておくのが正しいエンジニアだ。
ま、しかし、彼は 1000V 3A というスペックだけは知っていた。それをこの電源に投入するのはかなりのオーバースペックだろうとは思っていた。この電源の平滑のコンデンサは3300uFの16Vだ。ということは電源電圧は6~12Vくらいだろう。「大は小を兼ねる」という金言を頭の中で何度も唱えていたが、ついに確かめようと素直になった。

ゲッ。電圧降下が MAX 1.7V だ。プレーヤーで使う電流がどれくらいかわからないが、気になるぜ。
これ、他のに替えてみる必要があるな。
思いたった彼はすぐ調べて 31DQ10 というショットキーバリアダイオードを見つけた。こっちは 100V 3A だ。電圧降下も 0.8V。
これだな。ショットキーバリアダイオードも試す価値はある。
彼は仕事場から秋葉原に飛んだ。閉店まぎわの海神無線に飛び込んで、このショットキーバリアダイオードの4本組を1袋買って帰った。波形もそろっているらしく、好都合だ。

翌日、ダイオードを取り換えた。
ダイオードの大きは同じである。『継ぎ木作戦』 2度めなので楽勝だ。基板を外す必要はない。
ギンポ現象』には気をつけた。

音、すばらしい。パワー感がアップした。中音の押し出しがアップした。ボーカル好きの彼にはうってつけだ。滑らかさもさらに研かれた。刺激感がなくなった分、高音が気持ち控えめになったようだが、全体的には、また一段、グレードが上がった。
彼はまた祝杯を上げた。
よーし、次はコンデンサオペアンプの交換だな。彼は片手にビール、宙をにらんでほくそ笑んだ。

だが、それはいつのことになるかわからない。

          - 完 一

CDプレーヤー改造 冒険活劇

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これは今現在のことです。

蓄音機1号はバラして、2号機への作り直し中なので、今はCD を真空管アンプと励磁型スピーカーで聴いています。
CDプレーヤーはデーンと鎮座するフルサイズの物を使ってました。音はいいのですが、狭い所にはちょっとじゃまでした。
そこで、先日、中古の小さいCDプレーヤーを入手しました。
有名メーカーのコンポセットのプレーヤーです。

音はあまり期待してませんでしたが、届いたその日の印象では「良し」でした。低音も伸びてるし、「使える」でした。
ところが2日目に聴くと、音のエッジが甘いなと思うようになりました。非常に大げさに言うと、モヤついている です。十分普通に聴ける音ですが、音にうるさい私には不満がムクムクと。

で、3日め。このプレーヤーの電源のダイオードを ファーストリカバリダイオード に取り換えることにしました。コンデンサや出力ICの交換より、簡単に出来そうだし、
このファーストリカバリダイオードは、去年、『板の上の単球アンプ』のあとで試してその音の変化は経験しているので、効果はきっとあるだろうと思ったのです。

さて メーカーもん に手を出した冒険活劇、どうなりますことやら、最後までお付き合い下さい。


彼は思いたったらすぐやる性分なので、秋葉原へ飛んで行き、海神無線に乗り込んだ。ファーストリカバリダイオードという現代最先端のダイオードを入手した。UF5408 というデカイダイオードだ。これを今入っているただのシリコンダイオードと交換し、音の悦楽に浸ろうというのだ。

さてブツを手に入れ早速作業開始だ。
余談だが、これが彼の愛用のハンダゴテ。
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マグナムとか、そういうんじゃない。40Wの、昔からの木の柄のコテである。彼に言わせれば、「プラスチックの柄じゃだめなんだよ。こう握ったときに温かみがないだろ」 である。熱くなるコテに温かみもくそもないだろと筆者は思うが。
彼はそのコテ先の銅にヤスリをかけた。気合いが入っている証拠である。

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CDプレーヤーの天板を開けた。中央上にブロックコンデンサの頭が2つ見える。デカイし、2つときたら、こいつが電源の平滑だ。
さらにその陰に黒い小さい円筒型の物が4つある。はは-ん、これがダイオードだな。コンデンサのそばに4つときたら、ブリッジ整流のそれだ。間違いねえ。
彼はすぐに気づくが、基板に白いプリントで、矢印型のダイオードマークがある。
ふん、ありがてえ。これならダイオードの極性も間違えっこねえや。

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さてどうやっつけるか。彼は考えた。
あと2時間で日没だ。早いとこケリつけて、飲みに行きてえな。祝杯を挙げるのだ。
で、彼の出した結論。一番手取り早い方法はだ、バラさずこのまま、基板の表からダイオードちょん切って、基板に残したリード線に新しいダイオードをくっつける。つまり、ダイオードの継ぎ木戦法だ。すりゃ、分解して基板の裏を出すだの、ハンダ吸い取ってダイオード引っこ抜くとか、しなくてすむ。へタすりゃパターンはがしちまうしな。

よしこれだ。と言って彼は4つのダイオードを端から切り取って行った。
やあ、しかし、このメーカーさんには感謝だな。こんなに広々スペース空けといてくれて。ラッキーだった。
それに1999年頃のブツなんで、リードつきのパーツだ。ラッキー。
これが今じゃ、米粒みてえなチップなんとかいう実装パーツだからな。いやんなる。20世紀はいい時代だったぜ。
と呟いているうちにダイオードは切り取った。そこから時間をかけて、短いが、ちょっと残こしたリードにヤスリをかけた。そして、ハンダメッキをする。
この戦法の成功率92% 楽勝だ。

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彼は先ず、磨いたコテ先の方にハンダメッキした。彼は道具にはこだわるプロフェッショナルであり、今の妙に加工されたコテ先では「ハンダの着き味」が悪いのであるそうだ。赤銅にハンダを馴染ませ、一気にスパッとやらねば気がすまない。

気合いを入れて、リード線にハンダメッキを着け始めた。2秒以内で、着ける。長く熱を加えるとろくなことにならない。
1本めのダイオードの切り取り跡のリードにメッキ成功。
2本めのリードの長く残っている方、おちゃのこサイサイ。
ところがこれと対になる短く残ったリードにメッキを着けようとしたときに悲劇が起こった‼
3 mmほど頭を出していたそのリードが、ハンダゴテをあてて1秒で、ヒョイと頭を引っ込めてしまったのである。基板の穴の中に隠れてしまった。
彼は青くなった。
ええ一?‼ いやんなる。
海底の砂地の穴に立っているギンポというドジョウのような魚が危険を察知して、チョロっと穴に引っ込んでしまったような風景だった。
裏でハンダが溶けたんだな。でもよ、だって、ほんの1秒だぜ? こんなのある? こういうことがないようにってさ、リードを寝かしておいたんだろうが。くっそ一。
リードの曲げ方がここだけ甘かったのである。斜めに立っていたのである。この後、彼はこれについて『ギンポ現象』と名付けた。

こうなったらどうしようもない。小さな穴をほじくれば、基板を壊すだろう。
シャーシから基板を外して裏返しにして、逃げたリードをひっつかまえて、八つ裂きにしてやる。

基板を外すのが大変だとわかっていたから、この戦法に出たのにさ。くそ一。
ネジ外したりあっちこっちのコネクター抜いたりキケンな作業だぜ。へタすりゃ壊す。
この成功率67%だ。日没に間に合うか。

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おお、ついに基板を外してひっくり返した。
しかし、電源基板と、メインの基板は分けて、独立させといてよ、メーカーさん。しかも、電源基板の上にメイン基板立ててくっつけるのやめてよも一。と彼はぼやいた。
基板を外すには、フロントのパネルまで絡んでいて外さねばならなかった。

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ちきしょ一、これだよ(赤い矢印の先) 手間かけさせやがって。
彼は逃げたリードをハンダゴテをあて引っこ抜いて、八つ裂きにはせず、ゴミ箱へ逃がしてやった。
その穴には新しくリード線をさして、表には十分伸ばしておいた。

大分遠まわりしたが、ゴールが見えてきた。
基板を外してというのはいずれ暇なときにやるつもりではいた。コンデンサを交換するとかになればそれはやらざるをえない。
今、外していろいろわかったが、新しいダイオードはリードが太すぎて基板に穴をあけるとパターン壊すのは予想がつく。もし、キチンと付け直すとしても、この継ぎ木の方法をとるだろう。で、遠まわりも無駄にはならなかった。

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彼はついにダイオードを付け換えた。戦いに勝利した。たぶん。
いくつものコネクタをさして、すべてを組みたて直した。
天板を載せる前に、電源を入れた。ホッとした。
爆発しない。煙出ない。焦げ臭くない。なんともない。電源はOk だ。
しかし、分解と組立てのどこかで、線を切ったり、コネクタの微細な爪を壊しているかも知れない。

天板もはめた。いよいよCD をかける。
トレイ出た。
データ読み込んだ。再生!
音出た。ウッハッハ。OK。OK。
音は締まりがかかって密度が濃くなった。「感じがする」のではなく、確かに良くなった。
1段ランクが上がったのは間違いねえ。と彼は思った。

彼は急いで飲み屋に走れメロスだった。日没に間に合った。ビールをあおった。苦難に勝利した男の喉を冷たいビールが洗って落ちる。
「いやね、今日はさ、ファーストリカバリダイオードをね」と彼は飲み屋のママに言わなかった。言っても仕方がない。
さらに祝杯を重ねるのだった。

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上が今までの普通のダイオード。下が今回交換したダイオード

いずれは改めて、作り直すでしょう。その時はコンデンサなども取り換えて、制振材も貼るつもりです。何度も基板を外すとどこか壊れますから、あと1回勝負です。

2cm角FMラジオにバリコン自作

桜も終わって新緑の季節となりました。
今、蓄音機2号を作っているところです。完成まではまだ時間はかかります。で、今はSP盤は聴かず、その代りCD を42アンプで聴いています。スピーカーはアルニコマグネット、さらに古くさかのぼって、フィールド型スピーカーにたどり着きました。電源は自作です。

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さて、以前の記事で、「2cm角FMラジオ」のことをちょっと書きましたが、その写真が出てきました。
このラジオキットは写真の中央に見える小さな四角い基板のみです。確かこれに外付けで単5の電池ホルダーがあったと思います。1mくらいのアンテナビニール線を付けてちゃんと放送が聞けました。

元々このラジオにはバリコンはなく、基板上のトリマーコンデンサーを小さなねじ回しで回わして選局するものでした。
それでは不便なので私はバリコンを自作して付けました。又、元々はマグネチックイヤホンで聴くのでしたが、そのままスピーカーに変更しました。鳴りました。

2006年ころのことでしたか。私は真空管プンプの部品などは持っていましたが、ラジオの自作からは何十年も離れていたのでバリコンなどは持っていなかったのですね。
で、薄い銅板2枚で作ったというわけです。
2枚の銅板は、1ヶ所をポリネジで絶縁しながら連結してあり、表側の銅板をペンなどで触って回すという超簡単で、ご立派なバリアブルコンデンサーです。
これでもFM放送3局くらいは選べました。

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写真を見ると、土台の板は蒲鉾板でした。焼き印の文字は、「小田原」「籠清」と読めます。
写真にICの型番は見えませんが、TA7792P であったと最近入手した資料でわかりました。音声増幅にトランジスタ1石使ってます。


その後すぐ改良して、バリコンらしく回転するものにしました。
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銅板2枚の固定羽の間に1枚の回転羽を入れた物です。
カセットテープのケースから取ったアクリル板がフレームになってます。
回転抽は3mmのネジで、ツマミはペットボトルコーラのキャップです。要所にスプリングワッシャーを入れて、バネにして、きつからずゆるからずにしています。
これで数局選べます。
実はこの自作バリコンだけ残っていて、容量を測ってみると、3PF~13PFまで変化しました。

スピーカーもタッパーに入れて、音もましになってます。
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アンテナはアルミ線で、適当なセンターローディングです。
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この後、このラジオはいじり過ぎて、基板もろともこわしてしまいました。
で、その後、同じICを使ったFMラジオを自作するのでした。

今、検索してみて分かりましたが、このキットの名称は正しくは、「2cmFMラジオ」でした。角の字はありません。その代わり「たてよこ2cm」というキャッチコピーが付いてました。科学教材社の製品だったようです。
「2cmFMラジオ」で検索すると、二三件出てきました。

42アンプとスピーカー

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前回、マグネチックピックアップの音を、超再生受信機の低周波増幅部と、バラックの鑑たるダンボールスピーカーで聞いて、祝杯をあおったというお話でした。
今回はその次に私が何をしたか、という巻です。

これ、UZ42 という古い真空管の、アンプです。五極管です。仕舞い込んだ荷物の中から、ようやく出しました。
私が20代の時に作ったモノラルアンプです。よくぞ捨てずに持っていましたというシロモノ。今から三十数年前の作です。バラックではありませんが、飾り気のない実験機です。

私は10代後半から20代前半は、オーディオといえばトランジスターだと思っていました。真空管は中学生の頃のジャンク遊びと、振り返りませんでした。時代もそんな雰囲気でした。
ところが、ある日、秋葉原を歩いていて、真空管アンプは実は音が良くて高級オーディオは真空管なのだと知って、なんだそれなら自分の得意分野だと、再度真空管を使い始めたのです。
これは再出発の1号機です。
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初段管は 6ZDH3A です。私はこの名前が妙に好きでして、長ったらしい名前は、特別な何かを秘めているような。
整流はダイオードの両波整流です。NFBもかかってます。この辺がまだ初心者です。
3 Wくらいの出力で、特に問題のないアンプです。
このアンプと、実験的に 6GA4 のアンプも作り、ステレオにして、試行的に聴いていました。五極管と三極管の違いとかですね。

上の写真に見えますが、トランスは今はなき TANGO です。OPTは U-608 です。懐かしいでしょう?
回路図はありませんが、ごく普通のシングルアンプです。
普通とは言え、NFB回路に、BASS増幅回路が直列になっているようです。VRとC で帰還させる周波数帯を調整して、見かけ上で低音を上げているようです。実際少しはアップしたように聞こえます。が、今思えば不要の物です。ちょっと便利ですが。

これら2本の真空管はおそらく戦前か、戦後すぐくらいの製造で、私が中学生の時、ジャンクラジオから取った物です。今でも使えるのですから、オドロキです。
この UZ42 というタマは私にとってちょっとした宝でした。普通、ラジオの出力管は 6ZP1 というのが使われていて、42には滅多に出逢いません。42の方が見かけもブリッと太く、出力も上なのです。
一方、P1 は少し小型で、名前の響きも弱々しいですね。ジャンクラジオの裏蓋を開けて P1 が挿さっていると、中学生の私はガッカリしたものです。

さて、バラックの鑑 と自賛しても、ダンボールのスピーカーでは、高級42アンプ が泣くので、すぐに板で作りました。
ま、バラックの板作りですが、音はダンボールより、良くなりました。
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板は半端材の寄せ集め。バッフルは集成材、使い回わしたネジ穴が残ってます。今回のために.円を切りぬきました。
ブンマワシというコンパスがないので、こうしました。
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画鋲と紙とサインペンです。回し挽きを使う時はこのくらい濃くハッキリした線じゃないとやれません。
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ハイ。泣く子も黙るフォステクスの 16cmスピーカーです。スピーカーが上下反対ですが、箱の上部が浅く作ってあるので、配線しやすいだろうと、反対に取り付けただけです。
後面開放型です。これだと低音ボンボンは望めませんが、音が軽々すっきりしています。アルニコ磁石だったらもっといいのですがね。
両わきの板は、パネコートという、合板です。フロア型蓄音機の製作にも使いました。
底板はMDFという、粉を固めたような板です。
これらはサイズがちょうどの半端材を集めたらこうなったというだけです。
本当はバッフルには正目の一枚板を使いたいところです。MDFは本当はスピーカーには使いたくないです。以前、MDFで五角柱のバスレフを渾身の怒力で作ったのに、聴いてみると、音が死んでいたのでガッカリしました。

さてさて
このスピーカーと42アンプでマグネチックピックアップの音を聴きました。
ピックアップの音はやはり セロ弾きのゴーシュ 的に鳴ってました。やっと断線を直したピックアップですが、もう一度、今度は針を支えるダンパーを直す必要がありそうです。
ゴムが劣化しているはずですから。
でもそれはまだ先のことになります。

このアンプとスピーカーにCDプレーヤーをつないだら、とても良い音で演奏できました。まろやかで、ツヤツヤした音です。

さて、前回の記事で、蓄音機の電動を試しにと書きましたが、その結果を書きませんでしたので、以下に追加しておきます。

「蓄音機の電動回転化 についてですが、確かに便利です。しかし、満足感に何かが足らなくなります。何でしょう。やはり儀式が必要なのでしょうか。
美味なる料理を前にして、人は舌なめずり という儀式をしますが、それがゼンマイを巻くという行為と同じなのかも知れません。」

マグネチックピックアップ

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これ、SPレコード専用の電動プレーヤーです。
前々回から手巻き蓄音機の話題を書いていますが、その1号機の改良型を作る計画でした。
今、その案を練って設計図を作っているところです。そんなさ中、以前から思っていたことに手を出したのです。
ちょっと長い冒険物語、お付き合い下さい。

蓄音機はすばらしい。味もある。けど、一面聴くたびにゼンマイ巻くの大変だから、電動モーターにしたらどうか。と以前から思っていました。
もちろん、
手で巻くところが、いいんじゃないか。ひとつの儀式さ。大切な歌を聴くんだから、ボタンひとつのピッじゃつまらんだろう。書道だって墨を静かにすって心を落ち着かせてから書くじゃないか。
貴重なSPレコードなんだから、心を込めて、ゼンマイを丁寧に巻いて、精神統一してから聴きたまえ。その方がありがたみもあるじゃないか。
という意見もあって、同感です。ま、私が蓄音機を聴く時はいつも酒に酔ってますけど。
竟見ごもっともですが、心の隅でずっと、モーターはどうかなと思ってました。


で、とにかく様子を見てみようと、モーターは動くがあとは不明という、筐体のないジャンクのプレーヤーを入手したのです。

さて、ジャンクプレーヤー、モーターはとりあえず回りました。スタートストップ機構がNG ですが、注油や整備すれば問題なしです。
これでSPレコード を電動で回すことは試せます。

しかし、今度はピックアップが気になりました。元々、ピックアップのことは必要としてませんでした。昔からのサウンドボックスを使うつもりですから。でもどうせなら試してみようと、点検し始めました。

デカイ。頭の部分は3cmX4cmくらいあって、アームと一体化してます。しかし、これ.何型のピックアップだろう。鉄針用だけど。
クリスタルピックアップだとすると、ロッシェル塩が風化して、溶けてるだろうな。はっきりしないが70年くらい昔の物だから。
もしかして、噂にきくマグネチックピックアップか? まだ見たことねえぞ。

で、まず、冒頭写真の右下に見えますが、クリスタルイヤホンを出力のシールド線につないで、針をセットしてコリコリやってみます。反応なし。もし、クリスタルピックアップなら、小さな音がイヤホンから聞こえるのです。クリスタルが、溶けたか壊れたか。
あるいはマグネチックか? だとすると、コイルと磁石だ。
じゃ、導通テストだ。導通なし。あれ?

で、デジタルテスターの交流mV計にして出力につないで、SPレコードをかけると、確かに演奏の強弱とシンクロして、5mV~10mVくらい出てます。
まさか、視代のMM型じゃないよな。
これはやはりクリスタルが劣化しながらも生きているということか? もし、クリスタルが健康なら、100mV以上の出力は出ているはずです。
風化したクリスタルは直せません。

でも、あきらめきれず、とにかく中を見るベしと思いました。
アームをひっくり返してもネジがありません。どうやって開けるの? よーく観察すると、金属ボディーが互いにカシメ合ってるとわかり、最初のカギとなる鉄板をハンマーで叩いてずらし、半分は力技で開けました。
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うわっ出た。マグネチックだ。実物は初めて見る。
馬蹄形の磁石、コイルがわかる。しかし、コイルが中で切れてたらおしまいだ。たぶんそうだ。
今日はわからないので、また今度ね。と、元に仕舞おうとして、気づきました。アース側のこれ、コイルのリードだろ、接続不良じゃねえの?
ジャーン、ちょっとつついたら、ハンダの山から、5mmほどのリード線が離れました。ワッ。当たり! これだ。
さっそくテスターで導通テスト。シールドのホットと、この切れている細いリード線、OKだ。導通あり。やった一!
もうこっちのもんだ。
下の写真の 白い矢印の先の、下からちょっと伸びたヒゲのような線です。そっとハンダ山から離しました。
これが原因、ほぼ確定です。
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原因は中途半端な断線という一番やっかいなヤツだったのです。
もうこっちのもん じゃなくて、これ直せる?
このコイルの銅線、糸より細いぜ。0.2mmくらい?
長さは5mmくらい。
下手につまんだり、どうかすると、切れる。
ハンダ付けをして、アース側に導通させれば直る。
でも、失敗したら取り返しつかない。
しかしなあ、いっちょ一やってみっか、となりました。

ピンセットを両手に持ち、左手でコイル線をつまみ、というより、支え、右のピンセットにちぎった紙ヤスリをつまみ、そっとコスリました。
研けたかどうか、あんまり小さ過ぎて、老眼ではよく見えません。
あまり何度もやれば線が切れたり、折れたりします。切れたらオジャン。
今の私にはこれを分解して、コイルを巻き直す気力も勇気もないのです。
なんか爆弾処理するスリルとサスペンスになってきました。

見えていないけど、数度こすって、感でよしと決めました。
いよいよハンダメッキします。一発勝負!やり直しはできません。やり直すと、ハンダのヤニが付いてまた研きからです。

ジャーン。ハンダ付きました。ここまで来れば、こっちのもんです(2回め)。
あとは別のハンダメッキしたリード線を使ってアース側と橋渡しを付けました。
下の写真は術後のものです。導通確認してアームに戻しました。
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ここまで来たら音が聴きたい。でも、アンプがない。引越し以後、アンプは仕舞いこんだまま。
そうだ、超再生ラジオのアンプ部を使おう。(以前このブログに登場してます) あれならすぐそこにある。
早速用意しました。
ーニヵ所ハンダ付けを外して、トランジスター1石と、D級小型アンプIC の増幅部に、マグネチックピックアップの出力を繋ぎました。
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レコードを用意して、さて、どうか。緊張の-瞬の次に、出た一!!
音出ました。手術成功です。
すごくパワー感のある音が もうもうと、出ています。音悪いです。歪んでます。
こともあろうに、レコードは『ハンガリー舞曲』です。108円のレコードでスレ音ザーザーします。
また音の悪いことの半分はこの超再生のせいです。1石のプリ部は抵抗とコンデンサーを省略して、歪み承知で作りましたから。

しかし、このピックアップも音はいいとは言えません。今の時点で音の評価はできませんが、ただ、いきおいのある音ということだけ言えそうです。
またイコライザーを通さなくても低音がブンブン出てるところがいいとこでしようか。
MM型とは違うところでしょう。

この音を聴いていて、宮澤賢治の『セロ弾きのゴーシュ』を連想しました。
あんなふうにゴーゴーと、いきおいのある音です。
すぐ次に、スピーカーを16cmの大きいフル レンジに変えました。アンプはそのまま超再生。
写真を見てください。
超再生の後ろにぼんやり立っているのがそれです。
バラックのかがみです。ダンボールで作り、ガムテープで、サランネットの代わりのアミ戸のアミを貼ってます。これで、以前、ゲルマラジオなども鳴らして、実験用として活躍してました。バラックの精神というかご本尊です。
これでもユニットは泣く子も黙る フォステクス です。しかも、16cmフルレンジ最高級の FF165WK です。
で、音はちょっと良くなりました。

ターンテーブルの回転トルクは十分にあるようです。

この夕べ、SPレコードをガーガー鳴らしながら、私が祝杯をあおっていたのは言うまでもありません。

蓄音機の電動回転化 についてですが、確かに便利です。しかし、満足感に何かが足らなくなります。何でしょう。やはり儀式が必要なのでしょうか。
美味なる料理を前にして、人は舌なめずり という儀式をしますが、それがゼンマイを巻くという行為と同じなのかも知れません。