三端子ラジオIC 4 バリコン羽抜き


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 バリコンの羽を抜きました。三端子ICのラジオ まだやってます。

 まだやってるの~? って聞こえてきそうですが、私、けっこうツキツメル タイプでして。

 

 このシリーズ  前回の「3 」 までは、200pFと20pFの二連小型バリコンの200pFだけを使っていました。200pFは短波にはちょうど良いのですが、AM  には少し不足でした。(AMはMWとすべきですが、パッと見、AMの方がわかりやすいので) 

 そこでポリバリコンでいいからAM用の二連をと、探しましたが、手持ちがなかったので、昔の5球スーパー用のデッカイ、二連バリコンを使うことにしました。

 ここから実験を、あの手この手とやりました。

 まず思いつきました。36OpF二連を、直列にすれば、180pFで、短波用にちょうどいいじゃん。AM用に並列にすれば720pFで、同調回路のQがぐんと上がる。(前回記事参照) こりゃすげえわ。

 で、まず、バリコン直列の実験。上手くいきました。短波受信できました。次に並列。AM、上手くいきました。AM周波数高域専用の同調回路はありませんが、Qが高いので、OKでした。

 次にスイッチでそれぞれを切り替えることを考えました。その回路図がこれです。f:id:aug417:20250527171924j:image

 書いてしまえばなんでもありませんが、2つのバリコン、3つのコイルを6Pスイッチ2つで切替え、つなぎ合わせるのは、パズルでした。考えを回路図にするのに5時間かかりました。

 三端子ICまわりの回路は前回までと同じです。今回は同調回路のみの変更です。

 回路図にはバリコン350pと書いてありますが、実測では360 pFでした。

 

 簡単に作れる短波ラジオが始まりだったのに、ここまでやる? と思いましたが、回路図どおり、やってみました。

 すると、短波もAMもー応OKなのでしたが、どうもノイズが大きくて、使い物にはちょっとでした。もちろん、バリコンアース側、共通になるローター軸はツマミと絶縁されており、バリコンのボディーは樹脂板に取りつけ、台板から絶縁しました。

 それでも、特に直列の場合、スイッチを使い、複雑な配線をひきまわすのは、不調のー因と思われました。

 また、バリコンに固定コンデンサーを並列にしたり、直列にしたりも試しましたが、選局範囲が狭くなったり、使い物になりませんでした。

 

 次に試したのは、AM用に二連の並列と、短波用にバリコンの片方の単独使用でした。f:id:aug417:20250529130810j:image

 360pFでは短波には大きすぎですが、6MHzのラジオニッケイは入りました。しかし、同調ツマミの位置が大分、右回わり寄りになってしまって、ちと不満です。しかし、ノイズはバリコン直列よりは大分ましでした。

 で、基本的にはこの回路の採用です。SW(短波)のときは、片方のバリコンのみ、360pF。AMのときは並列で720pF。AMのアンテナコイルはピックアップコイル式。

 

 しかし、しばらく経つと、どうしても短波のダイヤル針が右よりなのが「気に入らねえ」のでした。やっぱ360はでかすぎだよなあ。

 で、ある日、「よし、バリコンの羽を抜くべえ」「抜けるか抜けないか、やってみなくちゃわからねえ」と意を決し、実行しました。



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 じゃん! できました。二連の片方の羽の枚数を半分にしました。これで180pFと、短波にはちょうど良し。

 バリコンの羽を抜くという手を、昔、噂ではきいたことがありました。しかし、どうやって抜くのか知りませんでした。

 が、私のやり方で成功したので、ここに大公開します。

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 まず、羽同志を連結固定している、べークライトの板を切りました。ハンドルーターに丸刃ノコギリです。カッターやニッパーや、ごく目の細いノコギリでもできるかもしれません。


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 プライヤーで、端の1枚を掴んで木端を枕に(テコの支点)して、ひっこ抜きます。あまり力は要りませんでした。もちろん、バリコンのボディーは羽に気をつけて手で押さえます。

 プライヤーで掴んで真っ直ぐ上に引っぱるだけでも抜けました。物によるでしょうが、軸のカシメはあまりキツクないようです。


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 12枚中6枚抜きました。


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 ちなみに、私がよく使うハンドルーターです。ホームセンターで買いました。

 当ブログ『DSPラジオ』2019  7/6 にポリバリコンの羽を抜いた(外した)ということを書きましたが、エアバリコンの方が大きくて作業が楽です。ポリバリコンは、羽を減らして使っていると、すぐ壊れました。薄いポリフィルムが、内部でひっかかったりしたのでしょう。

 

 さて今回の回路図です。

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 羽を抜いて、「親子バリコン」となりました。

AMもSWも単独使用で、並列などにはしていません。AM用に高周波域専用チューニングコイルをつけています。

 それにしても、なんじゃこりゃあ的回路図です。同調回路だけなのに、このややこしさ。

 6Pスイッチ2つ使い、SW AM の切替え、AMの全周波数帯か、高域帯のみ、の切替えです。

 さらにー点新しいことが盛り込まれています。図の、まん中辺、「S1b」(スイッチ1のb) です。

 これは、SW受信時、AMの放送がわずかに混信してくるのを防ぐ新発明です。SW時は、AMのアンテナコイル バリコンをアースに落してしまいます。ただ、この径路にはICへのバイアス電圧がかかっているので、コンデンサーを挟んでのアースとなります。

 これけっこう効きます。この混信しやすい、三端子ICだけのことだと思われますが。

 一方、AMのとき、SW用のアンテナ線が、AMの強力放送(文化放送)の混信を招いてしまいます。で、アンテナを切り離したりもしましたが、スイッチの静電容量もあって、防ぎきれません。アースに落とすという手法が確実でした。

 AMのコイルですが、初期は、同調コイルとピックアップコイルを完全独立させていましたが、アースを共通にしても害はないと、実験でわかったので、共通にしました。これでスイッチが1つ省かれ、それを、前述のアンテナアースにまわせたのでした。

 そして、さらにAM全域コイルのピックアップを、コイル途中にタップをとる方式にしました。この方が、選択度は少し落ちるものの、その分、感度が上がったからです。選択度とのバランスがちょうど良いのでした。

 AMの高域コイルはピックアップコイルなしの感度優先、バリコン直結型です。この方が感度が良く、バリコンが360pFなので、同調回路としてのQが、今までのよりは高く、ピックアップコイル式にしなくて済んだからです。

 


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 バリコンのホコリよけカバーに、これを使いました。台所で使う、容器で、100均です。ふたとスプーンは不要で、透明容器のみ使いました。二連バリコンの大きさを覆うに、ディスプレイ用のケースには、ちょうど良い大きさのがなく、台板上でのサイズ制約もあり、あまり大きな物はNGで、結局この容器になりました。

 とっ手はエンビパイプ用のノコギリで切り落しました。アクリルではない、これらの樹脂は、目のこまかいノコギリで切れます。ハンダゴテで穴もあきます。

 十数年前、私は塩ビ管でスピーカーボックスを作ることに、夢中になっていまして、ノコギリはそのときから持ってます。目がこまかいので、細い角材切りなど、多用途に使えす。


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 これも同じような樹脂です。100均の台所用品の棚板のー部。今回、ボリュームとトグルスイッチのパネルにしました。リーマーで楽々穴を広げられます。これをアルミのL字板などで作ると大変です。シールドが不要ならば、私は樹脂を多用すると思います。向こうが見えて、バラックに向いてます。


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 ペットボトルのキャップと台板の間には、タッピングネジに、4mm用の、大きいナットを挟んであり、回転がスムーズになるようにしています。キャップと板の間に隙間があるのが、写真で分かります。

 手前に、ネジ頭の白いツマミが見えますが、SWのアンテナターミナルです。この柱も樹脂です。


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 チューニングつまみの右横からバリコンの足もとを写した写真です。

 バリコンは樹脂板に本体を固定して、その樹脂板と台板の間には、黒いゴムを挟んであります。

 ゴムを入れたのは、バリコン、二連を直列にしないので、絶縁は気にしなくて良いのですが、バーニアダイヤルとの連結に遊びが必要だからです。連結が厳密にー直線にできれば、あそびは不要です。また、バリコンとバーニアダイヤルのジョイントにも、ゆがみを吸収する機能はあります。上の写真の上部に、茶色の半円形がありますが、これがべークライト製のジョイントのー部です。

 念のため、ゴム足を付け、ガッチリ固定してしまうのをさけています。


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 これがそのゴムです。硬さがちょうど良かったのです。カッターで切って使いました。

 ちなみに、バリコンがでかくなって、台板の橫幅が足りなくなり、同じ木材を貼って6mmほど幅を増しました。これも写真に写ってます。

 

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 スピーカーボツックスの背面です。せっかくのアルニコスピーカーなので、背板も昔のラジオのように穴あきにしました。この板も、100均です。この穴にS字の金具を挿して、物をぶら下げるパンチングボードです。背面を適度に塞ぐと、完全開放より、少し低音が増します。


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 飽きずにご覧いただいて、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

ループアンテナ 大型

 
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   これは、大型の多巻ループアンテナです。2016年ころの製作です。1辺が80cmの、正方形ループです。(写真では、縦長のひし型に見えますが。)

 800KHz~7MHzくらいを受信できます。送信は出来ません。

 前回の記事、東京マーチス などこのアンテナで受信していました。ベランダに仮に立て、受信機と同軸ケーブルで結び、アンテナの同調周波数はリモートコントロールしました。

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 これが同調周波数のコントローラーです。使いまわしのタッパーで不要な穴も開いています。

 

 私は常々思っていますが。その周波数に同調しているアンテナは強い、無敵だと。このアンテナはアンテナ自体がコイル Lであり、並列させたCで、同調させています。その遠隔制御のためにCはバリキャップ(可変容量ダイオード。又の名、バラクダイオード)を使っています。

 私の経験では、受信についてはこの形式のアンテナがー番感度が良かったです。増幅はしていません。同調させているだけなのですが。

 リッツ線むき出しなので、雨風に耐えられず、常設はできません。使うときだけ出してベランダに仮どめしていました。


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 回路図です。当時の回路図もメモもなく、今回、現物を見て書きました。

 図中右端の「to RX」は受信機に繋ぎます。電源はハムのリグの電源13.5v(ちょっと古いトランス式)を使いました。同軸に電圧を 重畳(ちょうじょう)します。高周波と同じ線を流れるので、心配でしたが、意外に上手くいきました。

 スイッチング電源は使ったことがありませんが、ノイズが乗らないか少々心配です。電流は殆んど食わないので、1.5v  8本 や 9v電池  でも可能だと思います。

 

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 アンテナ側にあるバリキャップです。 1SV149 はAM用です。1vで435p F、8vで19.9pF と変化するようです。型番表記面を正面にして立て、左がアノード、右がカソード。データシートはネットにあります。

 老婆心ながら、FM用は秋月電子にはありますが、AM用の 1SV149 はネットを探さないとないかも知れません。

 

 Cは直流を遮り、高周波だけ通し、LとRは直流を通し、高周波を遮るためのものです。この相反する物の組み合わせで、このアンテナ回路は成り立っています。

 Cの値は特に根拠はなく、全て0.1uFくらい で良いと思います。コントローラー側の0.015uF はなぜこれにしたのか、思い出せません。ありあわせの物を使ったのだと思います。

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 前に挙げた、コントローラーの内部です。 5.2K ohm はバリキャップへの供給電圧最大値の調整のためだと思います。現物合わせでカットアンドトライしたのだと思います。上の写真の上辺左にあるのが5.2K です。赤い電源ラインに空中配線してます。

 ほとんどのパーツ、リード線は切らず、とっかえひっかえしたままです。問題なければそのまんま、私はものぐさなのですね。

 緑色の豆みたいなのがチョークコイルです。

 


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 ループアンテナの下にある、同調コントロール部です。BNCジャックが付いてます。

 アンテナ側の同調ループは、購入時のリッツ線が 1巻10m(前々回の記事に写真あり) だったので、全部使っても4回しか巻けません。しかし、ネライはAM後半~短波前半だったのでこれで良しです。リッツ線をハンダでつなぐことはしたくなかったのですね。秋葉原オヤイデ にはもっと長いリッツ線もあったかと思いますが、追求しませんでした。

 ピックアップコイルは1回巻きです。同調コイル4回の1/3だとすると、1.33回巻きが理想ですが、構造上、簡単に済ませた1回巻きです。

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 黄色い何かの樹脂板を使い、ハサミで切って、2枚張り合わせて、リッツ線の受けにしています。溝を切ったこの時はまだ、何回巻くとか計算していなかったのですね、ラフな製作です。

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 リッツ線の巻き始めと終わりは、穴に からげ て固定しています。

 リッツ線を巻いただけなのに、案外、しっかりしていて、ちょっとやそっとでは、線が外れたり緩んだりはしないようです。

 リッツ線の間隔は5mmです。

 

 私は、このようなループアンテナを、大中小、3つ作りました。

 大がこれで、中は1辺5Ocm。部屋の中で、カメラの三脚に立てて実験してました。同調は手回しのバリコンでした。

 今回のこの大型ループも、受信周波数が絞られているなら、リモートコントロールなどせず、バリコン手回しか、固定コンデンサーとトリマーコンデンサーで調節して固定しておく手もあり、その方が簡単です。

 小は 1辺28cm。当ブログ

『放送塔近くでゲルマラジオがんがん』2020  09  12 に登場しています。放送塔の近くへ出かけて使ったのでした。

 多巻きループには、指向性があって、このアンテナは左右の腕木方向が感度良いです。

 

 ループアンテナは「デカけりゃいいっていうもん」 だと思いますが、その性能の高さは抜群です。

 

 

 

東京マーチス 他 QSL


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 これは 東京マーチス の受信証です。東京マーチスとは東京湾を航行する船の、安全のために、海上のさまざまな情報を放送する、海上保安庁の放送です。

 私の所では、他に、名古屋港 伊勢湾 関門海峡 が受信できました。2016年9月のことです。

 今年(2025)7月でこの海上保安庁の放送は終わってしまうと、ネットに出ています。カードはすでに今年1月で終了したそうです。

 

周波数は 日本語1665KHz 

     英語2019KHz 

出力は10W

 (関門のみ、1651KHz 50W)

 

放送時間は 日本語 毎時 00 30分

 (伊勢湾のみ 日本語 毎時 15 45

        英語 毎時 15 45

名古屋と別の時間にしてあるようです)

 

 AM受信で可能ですが、私は少し感度のまさる、LSB(SSB)で受信してました。


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 受信報告書は ラジオ放送のと同じように、受信日時 周波数 その他各項目、SINPO、放送の内容 を書きました。

 受信機は アイコム IC746 アンテナは自作の大型ループアンテナ。なにしろ放送出力はたったの10Wですから、無線機レベルの性能が必要でした。

 東京マーチス は昼に直接波を受信しました。それなので、近いとは言え(50km)、大型ループが必要となりました。

 夜中は、名古屋 その他遠方を電離層反射波で受信しました。
      


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 名古屋 「ハーバーレーダー」です。

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 名古屋の放送は、周波数 時間 が他と同じで、私の所ではかぶってしまうので、しかたなく、2019KHzの英語放送を必死に聞いて、内容は完全ではないものの、受信報告書を出しました。

 すると、Q S Lと同封で、その時の放送内容の日本語訳が届きました。


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 伊勢湾マーチスは 伊良湖(いらご)水道 も含んでカバー範囲が広いようです。湾奥の名古屋とエリアを分旦しているのかも知れません。

 


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 関門海峡マーチスです。

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 電離層反射とは言え、よくまあ、こんな遠くが受信できたと思っていました。門司にはまだ行ったことがなく、この海峡を見てみたいと思います。


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 関門から同封されたキャラクターシールです。もったいないので、使っていません。f:id:aug417:20250412082309j:image

 男の子は「うみまる」ですが、女の子の名前は忘れました。今は終了している、灯台放送 でもQSLと共にこの2人のキャラクター紹介があったと思います。

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 放送内容は海上の、波の高さや風、気象のこと、何時にどこの大型船が入港するとか、その他注意事項です。

 ある時、東京湾マーチスを聞いていると、なんメートルかの大きな丸太が湾のどこそこを漂流しているから注意するように、と言っていました。私は、巨大な丸太が、チャプチャプ、波の上に浮かんでいる様子を思い描いていました。

 

 これらの放送が7月で終ってしまうのは、かえすがえすも残念です。

 またいずれ、今度は「灯台放送」もUPしたいと思います。

 

 次回この受信に使った自作の 大型ループアンテナを なるべく早く紹介します。

 

 

 
  

三端子ラジオIC 3 中波高域バンド追加


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 これは SBSラジオ(静岡放送 1404KHz 10kw) のベリ力ードです。私の住んでいる千葉県では、普通は受信できません。ところが、この三端子ラジオIC 自作ラジオ のフェライトバーを14cmと長くしたら、偶然入感しました。

 19時ちょうど、混信で入ってくる文化放送 と RFラジオ日本 との谷間が、ふと静かになって、19時の時報の次に、「SBSラジオです」とアナウンス。同局ワイドFMの周波数案内など聞こえました。

 「SBSってどこだ?」と調べて、びっくりこきました。スーパーヘテロダインだって、この局は入らねえぞと、天にも昇りました。

 私自身、富士山の写真撮りに凝ったこともあって、このカードは嬉しいものでした。


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 これがその受信機です。

 今回、コイルを巻き直しました。前回までは、MW(中波AM)用のフェライトコアは5cmと短く、 1422KHzの RFラジオ日本 が混信の中でちらと聞こえた という程度でした。

 今回、14cmにして、SBSラジオが受信できた後、それならばと、更に改造しました。中波の 高域専用バンド を加えたのです。1400KHzより上を完全受信するために、普通の中波コイルの隣に巻き数の少ない、中波ハイバンドコイルを作りました。

 これによって、私の所ではバックになり、受信しづらい 1422KHzの「RFラジオ日本」が感度良く、混信もほとんど無く入るようになりました。

 そして、札幌の STVラジオ(1440KHz 50KW) が夜なら常時受信できるようになりました。

 これがその今回のベリカードです。

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 1970年ころ、少年だった私は家にあった、トランジスタのレコードプレーヤーの内蔵ラジオで、STVをとらえ、べリカードをもらいました。その時の絵柄は緑の木の見上げ越しに赤い鉄塔がそびえる写真に、STVという文字が載ったハガキでした。たぶん札幌大通公園と放送アンテナ搭だったのでしょう。おぼろげな記憶です。

 

 さて今回はこんなのんびりした話ではなく、ラジオの選局、同調回路の「Q」(キュー、クオリティー、性能の高さ) のことが眼目です。ちょっとややこしい話ですが、おつきあいください。

 

 私は長らくラジオや受信機を作ってきましたが、コイルのQのことしか考えていませんでした。コイルのQを上げれば、感度も上がり、選択度も上がるだろうと。

 ところが、今回の製作の中で、共振回路としてのQ を考えなければいかん と気づいたのです。

 以下は私の推測の範囲を越えておらず、確証あることではありませんが。

 

■コイルのQの計算式は

 2πLf/R 

 です。ある周波数において、コイルのQを高くするなら、Lを上げればいい。ならばとて、巻き数を多くすると導体の抵抗Rが微少ながらも増えて、Qは低くなってしまう。

 Lは大きい方が良い?

■そこで両極端な実験 

 短波6MHzでやってみました。

 Lを40uHと大きくし、バリコンを小さく、20pFので実験。感度も選択度も悪く、使い物になりませんでした。コイルのQは高いはずなのに。

 

 次に コイルを4uHに減らし、バリコンは200pFので。

 かろうじて、なんとか、ラジオニッケイ受信できました。Cは170pFくらいになります。しかし、かなり感度が落ちる。でも、バリコンのCが小さ過ぎるよりはマシ。

 

 つまり、Cがでかい方がいいってことか? だけど、そのためにLを下げすぎてコイル単体のQ落としすぎるのもNGってことか。

 

 中波でもやってみました。

 バリコンを2連並列の、700pFに増し、コイルを普通350uHくらいなものを、100uHに減らしてみました。

 結果、600KHzあたりのNHK第1、は問題なく入り、1422KHzの RFラジオ日本 もなんとか普通に入りました。とりあえずバリコン700pFくらいまでならOKの様子。

 

 さらに中波で。

 1422KHzのために。コイル30uH、バリコン400pFの物で。バリコンの羽、全入りあたり(400pFくらい)で RFラジオ日本 が文化放送の混信もあまりなく、良く入りました。これはC増大が吉ということでしょう。

 

■ で、なんでだろ~ となり、コイル単独ではなく、共振回路としてのQに思いあたりました。つまり、LとCの関係です。(LC並列。Rはとりあえず無視)

 

「LCR並列共振」「Q」でネットを探すと、これの計算サイトがあるのを発見しました。勇んで数値を入れ、計算してみました。で、分かったこと

■Cが大きいほど 並列共振回のQ は高くなる です。

 これで、昔からぼんやり思っていた謎 

「ラジオはなんで周波数の低い方が感度がいいのだろう? 600KHzや700KHzあたりのNHK第1第2はどんなラジオでもがんがん入るし、まだ日没前、日も高いのに、700Hz上あたりで、大陸の放送が入るし」 

が解けました。

 バリコンのCだな! バリコンの容量が大きい方がいいのだ! と考えました。

 

 しかし、実験の結果、共振周波数のためにLを小さくして、コイルのQを落としすぎるのもNG。

 

■結論 

  バリコンのCは大きめが良い(共振のQ)

  コイル単体のQもなるべく大きく(L値を大きく)

 

ということになりました。つまり相い反するLとCの折中案となります。

 

 で、今回は 1400KHz以上の受信感度を上げるために、専用のコイルを追加したという訳です。で、中波全城受信と、高域専用受信の、中波2バンド、短波合わせて3バンドになったのです。

 

 改良したコイル部分の回路図。複雑になります。f:id:aug417:20250305161550j:image

 6Pのスライドスイッチを2つ使いました。スイッチをMWにし、なお、全域か高域かと、選びます。ロータリースイッチを使うのは大げさ過ぎるし、今回は実験だからとて、こうなりました。

 バリコンの下のCは、また 0.01uFに戻しました。

 

 SWコイル 12uH

 MW 高域コイル 61uH

 MW 全域コイル 358uH

 
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 私がいつも使っているリッツ線です。0.08x20 オヤイデで買っています。かなり太いのでRが小さいでしょう。ハンダゴテの熱で銅線1本1本の被服は剥がれて、そのままハンダ付けできます。

 

 中波の、全域コイルと高域コイルは、1つにして、タップを付けたら無駄がないと思って、やってみると、高城用の巻き数の少ないコイルタップのあとの、残りのコイルがアンテナとなってしまうのか、あの文化放送が混信してくるのでした。

 また、残りのコイルをショートして なきもの としたら、とやってみると、混信どころか、完全にNGでした。高城用のコイルのL値がひどく減少してしまいました。

 フェライトコアに巻いた2つのコイルの関係には特殊なものがあるようです。(トランスと似ているかも)

 それで、非効率ですが、2つのコイルを独立させ、両切りにして切替えするようにしたのです。

 

 短波用のアンテナの付け方がヘンですが、スライドスイッチの端子間の静電容量によって、アンテナ線が中波での混信を増すのでは、と考えたからです。

 

 ラジオ全体の消費電流 6mA(普通の音量で)。三端子IC 0.5mA でした。 単3 1つで相当長もちします。

 


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 今回、タマゴラグの使い方を発明しました。小さいスライドスイッチの固定に、ラグ板の穴を利用しました。


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 6Pの平ラグの端子を全て使ってしまって、どうしてもあと1つ端子が欲しくなって、ラグ板のネジ穴にタマゴラグを付けて使いました。これはグッドでした。こういうのを「奥の手」というのではないでしょうか? 

 ラグ板は、もう片方の穴だけを使って、スペーサーとタッビングネジで、台板に留めています。

 

 
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 これは1970年ころの、ラジオ関東(現在 RFラジオ日本) のベリカードの記憶です。今、私がスマホで書きました。本物はすでにありませんが、写真ではなく絵だったような気がします。局もアンテナも横浜が近いのです。

 ちなみにアンテナは川崎にあって、数年前、見に行きました。馬糞の臭いのするのどかさでした。

 今回も新たに、受信報告書を、切手を添えて出しましたが、ベリカードは来ませんでしたので、この絵です。

    

 ベリカードはラジオ局だけでなく、例えば東京湾海上情報を放送している「東京マーチス」なども発行しています。それが、今年の7月だったでしょうか? 放送自体廃止になるようです。

 ■追記 

 今、急ぎ調べましたが、放送は7月まで、ベリカード発行は今年(2025)1/31の放送分で、すでに終了したそうです。なんてこった! 残念至極!

 

 次回はそのカードと私が受信したやり方をUPする予定でいました。たぶん予定通り紹介します。

 三端子ラジオIC はもうー度改造しますが、それはまたの機会に。

 

 ■ 三端子ラジオIC TA7642 を試してみました。結構使えると思われます。今回のフェライト14cm、中波全域回路で試しました。

 LA1050 より混信とノイズが少し多い感じがしました。それは裏返すと、RF増幅度は高いのかも知れません。

 中波の RFラジオ日本 は混信のせいで入りませんでした。短波の6MHzラジオニッケイはなんとか入りました。

 ともあれ、LA1050も含めて、IC内部のAGC の関係もあると思われます。

 入手はしやすいようです。アイテンドーにもあるようです。LA1050とは異る脚の接続に注意です。

 

三端子ラジオIC 2 2バンド


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 三端子IC LA1050 を使ったラジオ、短波と中波(AM) の2バンドに作り変えました。とりあえず、問題なく聞けます。

 とりあえず、と言うのは、中波の文化放送(1134KHz)が、1200KHzから上の周波数に少し混信してくるのが難点だからです。

 短波の ニッケイの第1と第2 混信は、わずかにありますが、前回より、ほんの少し改善しました。

 それより何より、アッと驚くタメゴロ~ 的な、コペルニクス的、変更。短波受信時の接地アースが要らなくなりました。

 短波コイルの王道 空芯コイル をやめて、フェライトコアにしたら、接地アースが不要になりました。アンテナのビニール線は使います。

 短波受信、初期の実験で初めにフェライトコアを使ったら、どこも文化放送だらけになってしまい、それで、やっぱり王道の、、、 となったのですが、今回、工夫をして敢えてフェライトコアを使ってみたら、成功となりました。


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 真ん中に立っている短いフェライトが短波のコイルです。フェライトを使ったのは、コイルのQを高くするのが目的です。

 長いとフェライトがアンテナになって、文化放送を拾ってしまうので、4.2cmと短くしました。フェライトを叩いて おっかき ました。私の所では、中波は水平偏波で来ているようなので、水平にせず、垂直にしました。それもこれもみんな ニックキ文化放送のせいです。

 このコイルのQは LCRメーター(100KHz測定) で 284くらいありました。前回のガラスびん では 40くらいでした。

 これによってアース不要で、短波のラジオニッケイや、NHK短波など受信できるようになったのです。

 ちなみにフェライトを立てている白いのは、目薬のキャップを半分に切ったものです。1cm径のフェライトがちょうどはまる内径でした。

 

 中波のコイルは、既製品の AR55GT というコイルです。当ブログの『AMトランスミッター 周波数可変Vr.1』 に比較のために出したコイルです。

 コアの長さ5cm 径8mmくらい。350uH。DCRが 5  ohmもあって、Qが低いです。感度も低そうです。

 しかし、これでもさすがに中波、東京圏のラジオ局、全て入ります。なんとコンディションが良かったのか、昼に RFラジオ日本(1422KHz) が入ったときがありました。しかし、これも文化放送に邪魔されました。ちなみに、RFラジオ日本 は、指向性のある送信アンテナで、私の所ではバックになり、普通のスーパーラジオでも感度がかなり落ちます。

 ニッポン放送は、コアの向きを90度回わせば、送信所に向き、普通に入ります。このとき、混信する文化放送の方向がアンテナのヌル点(感が落ちる方向)になるので幸です。

 
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 キリンの宣伝ではありません。キャップと比べれば本体の細さ小ささが分かるでしょう。今回の中波用フェライトコアのために探しました。

 台の板にキャップをビス留めで、ボトルの底をつまんで、水平に回転できます。フェライトはコアと90度交差で指向性が前後にあるので、電波方向を選ぶには、90度  回わせば足ります。

 

 先ず、ボトルの口からコイルの筒を入れ、側面の穴からコアをさ挿して、ボトルの中でコイルの筒に通しました。びんの中に帆船の模型を作るような気持ちでした。

 中波用のコアは三端子IC回路から離さないと発振するので、高く上げています。


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 ボトルの底に穴を切りましたが、不要でした。

 

 音声アンプ(板上左端)を前回とは変えました。今回のは2SC1815と2SA1015のコンプリメンタリで、シャンテック電子さん のキットの回路をまねしてます。

 初段に電圧増幅のTrを1石、私が増設しました。さすがにプッシュプルなので、前回の単純2段シングルアンプより安定しているし、音量も少しUPしています。本来は3~9vのアンプのようですが、1.5vでも動くということで飛びつきました。


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 今回のLA1050です。今では流通はないようです。後発ジェネリックで、同等のIC(本体にロットNoだけプリントされていて、小さい)がありますが、同じように使えました。

 他にLMF501TとかTA7642とかあるようです。

 似た名前の。UTC7642は私の場合だめでした。しかし、ある人のHPに出ていた、Trを1石 前段にエミッタフォロアーを付けるというのを、1.5vでやってみました。感度は少し劣りますが、中波のラジオ受信できました。

 脚の接続が、LA1050とは違っているので、要注意です。



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 回路図です。音声アンプのコンプリメンタリのところ、遠慮して、ー部は書いていません。シャンテック電子 さんのHP、『2石アンプ』を見て下さい。回路図のPDFがあります。

 私は、シャンテック電子さんで、MW用のポリバリコン、平たいツマミ付きを購入したことがあります。

 高周波(RF)部の、バリコンの下のCは、よく見かける回路では、0.01uF とあります。これを 0.001 にすると、短波の選択度が少し良くなりましたが、中波の選択度は逆に悪くなりました。で、まん中とって、0.0047uFという訳です。

 電源ラインに100uFが2つぶらさがってますが、実験中、AF RF を独立させてテストしていた名残です。100uF1つでOKだと思われます。

 

 SW(短波)のコイルは実測 8.4uHくらい。Qは284ありました。MW(中波)は350uHくらいでした。Qは65くらいでした。

 6Pのスライドスイッチで切替えです。初めのころは、短波に中波の昆信が入るかと恐れていて、コイルのホット側とコールド側を両方、切るようにしていました。しかし、不要とわかりました。

 で、6Pスイッチの片方で、短波だけに使うアンテナを、中波のときは切れるようにしました。中波のときアンテナ線が付いていると、ひどい混信になるからです。


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 これが今回の大発明です。バーニアダイヤルに針を付けました。

 2バンドになることだし、目盛盤が欲しいと、考えました。はじめ、ダイヤルの 0~10までの目盛板に数字を書いた小さなシールを貼ろうかと、あるいはこの金属板に針金の針を「ハンダ付けしちまおうか」と、考えていました。しかし、復元したくなったときに困る。

 そこで、黒いツマミの下の隙間から中を覗いて ひらめきました。ネジ頭が見えるぞ、これが使えそうだ!と。黒いツマミは横からのネジで普通にとめてあるだけでした。

 針は0.1mm厚のりんせい銅で、ハサミで切って作りました。

 文字盤はPCのフォトエディターで作り、写真用紙に印刷しました。


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 スピーカーボックスに、サランネットを張りました。コイズミ無線で ジャ-

ジーネット とかいう物です。蓄音機を修理したときの、余り布です。

 VOLのツマミ、前回のは品よくグレーでしたが、背景に埋もれてしまうので、赤にしました。バラックにはこんなチープなツマミも可でしょう。120円の安物です。(千石の楽器用品にて)

 ところが、ツマミの穴径が、6.35mmというやつでした。日本の、6mm径のVR抽にはゆるゆるです。そこでサランラップを数回抽に巻いて、ツマミを挿しました。サランラップはこういう微小な隙間埋めに使えます。蓄音機のサウンドボックスとアームの結合なんかにも私は使っています。

 

 この 三端子ラジオIC、去年(2024年)の11月から作り始めて、いろいろやって、今、4ヶ月めに入りました。実はまだこれを直したいと考えています。

 次は中波の上の方、RFラジオ日本 の完全受信をめざしたいと思います。上手くいったらまたUPします。

三端子ラジオIC 1 短波 受信



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 私の心の中の、ラジオ製作計画では、今ごろは(2024年12月) ST菅の並三ラジオを作るはずでした。ところが、10月下旬、ギランバレーからそろそろ回復し、さあ並三だ、並三で短波は聞けるかなあ、と考えていたとき、ふと思いついてしまったのです。

三端子のラジオICで短波は無理かなあ、と。

 

 有名な LA1050。中波用のICだから無理だろうなあ。と思いつつ、実験を始めました。

 

 初めは、このブログの初期の記事、

2018  8/13『ミュー同調式ラジオ』

2018  8/21『ミュー同調ラジオ2』

2020  12/15『直線型ミュー同調ラジオ』

2度改良したラジオの、LA1050 のラジオの基板とスピーカーを流用して実験してました。

 

 ICのRF入力には12cmフェライトバーに、ビニール線を10回くらい巻いた物、およそ8uH。二連エアバリコン430pFの片方。

 アンテナはベランダの、垂直な雨といの塩ビパイプにからめたり、軒下にぶらさげた、いいかげんなビニール線、2m。室内引きこみ2m合わせて4m長。

 全くNGでした。計算では短波6MHzあたりにチューニングできるはずでした。ところが、中波の文化放送1134KHzが全面に強く入って来て、バリコンをまわしてもどこでも入って来ます。短波どころではありません。

 私の所は、関東のいくつもある中波放送局の中で、なぜか文化放送が強力に入ります。それはゲルマラジオの実験などで知っていました。



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 そこで、フェライトバーをやめ、短波の王道の 空芯コイル にしました。すると、6MHzのラジオニッケイが小さくスピーカーから聞こえました! まるで初めてゲルマラジオが聴こえた時のような新鮮な感動がありました。

 「なんだ、聞こえるじゃん!」てな感じ。

 アンテナやアース(家庭コンセントの保安アース) の付け方や、コイルの構成で、文化放送が少し混信するときがありました。しかし、いじりまわして、だんだんと解ってきて、中波放送の混信はなくなりました。

 

 コイルは、アンテナコイルと同調コイルを分ける王道に決着。アンテナ線やアースに2つめのバリコンをはさんだりもしましたが、結局不要となりました。

 一方、ラジオニッケイの第1と第2は少し混信します。これは今でも解決しません。

 6.055MHz と 6.115MHz では近すぎて、おそらく、ICの能力限界だと思っています。中波は局間、100KHz は離れてるのに、ニッケイときたら、たったの60KHzですもんねえ。

 ま、しかし、6MHzのニッケイは昼でも入感します。

 

 高い方では、夜、13.6MHzあたりのアジアの放送が入ります。これには少々驚きました。

 低い方は、夜に、17~0時の、3.925MHzのラジオニッケイ第1 根室送信所10kw の電波 が聞こえます。これは近接局がないので、混信なしです。というより、千葉県長柄で、19~23時は第2  3.945MHz 10 Kw が近接して出ているはずですが、全く聞こえず、混信になりません。短波の面白いところです。



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 高周波の実験は済み、音声増幅に取りかかりました。こっちの方が10倍時間がかかりました。中波ならトランジスタ1つで(トランス使用)SPは不足なく鳴りますが、短波となると、さすがにICの音声出力が弱く、トランジスタ1つでは小さな音しか出ず、実用にはなりません。

 そこで、「2段にすっぺえ」と軽く考えて、2つの 2SC1815  (Y)  (GR) を単純に、しかも、前段後段とも自己バイアス回路でつなぎました。

 これがNG。ー応、ラジオニッケイなど、聞こえるのですが、VOL  max  ではヘンな発振をしたり、歪んだり。

 電源1.5v 電池1本にこだわらなければ、AFアンプ部に高い電圧を与えられますが、三端子ICが1.5v用なのであまりやりたくない。電源回路を複雑にすれば両立もできますが、それではせっかくの 

簡単なICラジオの 魂  がぼやけてしまう。で、1.5vと単純アンプにこだわっていたわけです。

 

 しかし、AFアンプを 使い物にするために、節を屈して、前段のトランジスタを、電流帰環バイアス に変更しました。これはRとCが増えるので、ー番やりたくなかったかったのです。

 これ以前は、回路にチョークコイルを入れたり、パスコンを増したりして、効果のない遠廻わりをしてました。

 電流帰環バイアス への変更だけで、使い物になり ました。変な発振は消え、VOLmaxでも歪まなくなりました。前段トランジスタのエミッタのRの調整で増幅度がコントロールできるようになったからでしょう。


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 RF部はよくある普通の回路。

 AF部はどこにもなさそうな回路。OPTはサンスイのST-32相当の物で手持ちがあり、使ったまで。これがなければ別の回路になっていたはずです。AFアンプ、2段シングルは位相のこともあって発振しやすいと思われます。

 

 OPTに並列のC 0.047uF は初め0.1uFでした。初期の実験で、発振を止めるために付けました。しかし、F特性を測ったら、耳では感じなくても、やはり高域が減衰していました。10KHzで―4dB。 で、0.047に変更しました。これで、10KHzで  ー0.75dB。発振にはあまり関係ないかも知れません。

 

 エミッタの50オームは本当は100オームにすべきですが、ICの短波の出力が小さいので、増幅度を無理をして上げています。SPが小させいもあって、VOLmaxで実用音量です。

 並行して中波も試していましたが、中波ではICの出力が高く、VOLmaxでは歪むので、少し絞ります。

 



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 バラックは作っていて楽しいです。

 アンテナコイルは アリナミン の薬瓶です。この小瓶はもったいなくて拾てられず、いつかコイルに使いたいと思っていました。キャップを板にタッピングネジ留めしてます。

 コイルはリッツ線。周波数的に、短波に効果あるかどうか。瓶に、縦に2ヶ所貼った両面テープにくっつけています。ガラスのままでは滑るので。

 瓶の直径は30mm。ちなみに、昔あった、べークのプラグインコイルボビンも30mmくらいでした。

 アンテナコイルは6回、密着巻き。同調コイルは18回、疎巻き。適当にリッツ線同志の間を1本分くらい空けました。コイルの見かけの長さも直径と同じ30mmくらい。およそ9uH。

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 瓶のコレクション

 


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 エアーバリコンは非常に小型なので、ギャップも狭く、ゴミ埃よけにカバー必須と心得ました。Seria セリアという100均 にちょうど良いのがありました。

 透明ですが、アクリルではなく、ミニルーターで穴開け楽、丸刃で切り取り可能な樹脂です。本来底部もあって、飾りケースにする物のようです。

 

 実験の初め、バーニアダイヤルではなく、大きめのツマミでやっていましたが、バーニアにしてみると、その良さがよく実感できました。チューニングが大変しやすい。

 ダイヤルのパネルは、0.5mm厚のアルミ。大型ハサミでも切れます。曲線切り楽。ヤスリをかけて、つや消しにしています。

 スイッチとVR は L金具に付けました。閉店してしまった シオヤ電気で買った物。閉店の1年くらい前だったか、このL金具、製造終了となってしまい、残念でした。優れたパーツなのに。

 L金具のことは、当ブログ  

2019 2/2 『蓄音機とL金具』にあります。

 



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 カンは350ml。

 ラジオの板は横16cm。下のスピーカーボックスを作った余り板。

 だ円SP、コーンの 長径9cm 短径6cm くらい。アル二コ磁石。小さいので、能率はあまり良くない。

 スピーカーボックスは、横17、縦14cm。後面開放。板は100均のSeriaで。1 cm厚。一応、桐の集成材。軽く、柔らか。ネジや まわし挽き 使いが楽。

 バッフル板は、後ろに傾斜させてます。テーブルの上で聴くためにです。

 

 懐かしい 平ラグ を使っての製作は楽しかったです。パーツの とっかえひっかえ が楽です。

 平ラグは、昔、『初歩のラジオ』で、よく使われていました。

 ところで、『初ラ』では、1970年当時、冬になると、記事の見出しに、

「こたつの上でラジオを作ろう」と文字が踊り、少年が、みかんの載った炬燵で、一人でハンダゴテを持っているイラストが付いていました。

 楽しそうだけど、実際、うちじゃ、炬燵は1つしかないし、親兄弟がこたつに入っているのだから、ハンダゴテやラジオペンチなんか広げて、やってられないよなあと私は思っていました。

 

 6MHzのラジオニッケイの混信ですが、第1放送が堅苦しい、径済や株式の話をしているとき、第2放送の音楽、和洋のポップスが少し聞こえる程度です。ものは聞きようで、BGMとしてとらえれば不快ではありません。

 逆に、第2放送を聞いている時には、第1放送が少し聞こえます。しかし、第1の静かな内容にくらべ、歌は音が大きいので、混信として、あまり気になるものではありません。

 と、負け惜しみを述べましたが、三端子ラジオIC で短波が聞こえるというだけで、私は嬉しがっています。



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 夜、バリコンを回わして、上の方の局を探ります。大陸の大出力の局が聴こえます。で、その周波数を知るために、前回登上した、SONYトランジスタラジオで、チューニングをとります。

 あ、9メガが聴こえてるんだ! とか お、13メガが入ってる! と、調べるのが楽しいです。酒のつまみになります。

 

 次回はこの板の上に、中波用のコイルも載せ、2バンドラジオが完成したら、UPする予定です。

 

 
 

 

短波礼賛

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 つれづれなる男ありけり。日の傾きはじめ、酒を飲むに、レコード、CDを聴くは少し重く、めんどうに感じたれば、たまには短波でも聞かんとて、ソニーなるトランジスタラジオをば、いだし、聞きにけり。

 ニッケイの第1は競馬の中継をしており、男、興味はなけれど、懐かしとて、しばし聞く。ニッケイとては競馬と株なり。少年のころの、5球スーパーの短波バンドこそ思いいづれ
 
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 さありて、ニッケイの第2にて、和と洋のひと昔前の歌を流しておれば、うれしとて、酒の菜といたせり。
 ややあって、フェージング起きぬ。これを聞きて、男

「やっぱ短波だよな~」と口にせり。
 これは短波の弱点を責めるにあらず、却ってフェージングを短波の風情たるもの、それを良しとし、短波の美徳とまで誉めたるものなり。
 男は放送の中身より、音声の消えゆく様、また戻るを楽しみたり。
 男は己れを、天のゆらぎに耳そばだてる夜の崖の上のー匹の狼と思いなしたり。


 短波は電離層なる天の見えぬ雲のゆらぎをよく受けまとうか、昼とても、フェージングよくあり。遠く、雷のノイズ、不明なるノイズ、これも面白し。
 また昔は、ピロピロピーだのジャミングだの、謎の電波が飛び交うこそ面白けれ。

 

 男、少しダイヤルをずらす。7メガのトンツーがかすれ聞こえたり。コールサインをば読み取っておれども、すぐに飽いたり。
 
 菜の花より桜にとまらんとて、ダイヤルをさらに回したり。9メガ台にて、NHKの海外向け日本語放送に、初めて出逢いたり。
 かつて探せども、ここにあるを知らず。やっとめぐり逢えたと、うれしがる。
 のちに知る。NHKのこれはベリカードを国内にては発行せずと。少し残念。
 また、のちに知る。この放送は、季節、時刻によりて、周波数が変わるとかや。いかにも短波なり。
 数日のちに、再び同じ目盛りあたりを探せど出逢えず。
 よもや、ー期ー会たらんか。

 

 冒頭の写真にある、ラジオの目盛りの「NSB」とは何ぞと調べたるに、Nihon Short Broadcasting のことと、あり。
 さればうべなり。男の少年のころは 「ニホン短波」とぞ呼びなしたる。
 2004年卯月に「ラジオNIKKEI」となりにしとかや。