電信の思い出


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電信の思い出話です。

ところで、例の記念切手は写真のように小さな額に入れました。100均ってなんでもあるんですねえ。

 

さて、電信級の免許を取った中学生の私は、人生最大の緊張感の中で、電信での交信をしました。ただ、初めての交信については緊張したとしか覚えていません。

それから何回めかの交信のことは覚えています。

初心者は、決まりきった定形の内容で交信します。相手の電波の強さの報告とか、こちらの住んでる場所とか、自分の名前とか、こちらのお天気のことを打ちます。スタンプQSOというやつです。

で、いろいろな略語があって.信号のことは「S」 場所のことは「QTH」 こちら は「HR」と、大体ー文字から三文字打てば伝わるのです。これは世界共通です。代表は「SOS」で、誰でも知ってますね。

映画では『丘の上のポニョ』その他いくつかの映画には電信の場面が出てきます。

 

で、それから何回めかの交信のことです。まだかなり緊張しています。

HR WX IS FINE と、私は打ちました。交信相手は日本国内の人ですが遠くの人です。「こちらの天気は晴れです」と打ったのです。「WX」は天気のことです。

相手の人は

HR WX IS AME と、打ってきました。私の頭の中は、しばし真っ白になりました。

AME ってなんだ?? なんの略? 知らねえど。なんだあ? 

あっ! 雨かあ。ローマ字読みで アメ だあ! な~んだあ。

私はてっきり、FINE とか RAIN とか CLOUD と返事が来ると思ってました。普通、英文電信の時は 全体的に英語を使いますから。

 

こんな思い出です。この時から私の頭は少し柔らかくなりました。

 


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これは電健です。エレキーと言って、電気的に半自動的に トン ツー を打たせるキーです。パドルとも呼びます。大概のキーは台座が四角ですが、これは丸い鉄でできてます。カツミという日本のメーカー製です。

写真の赤いところを指で挟んで、左右に振ります。例えば左のパドルを押すと、ツーツーツーツーと、長点が出続け、右を押すとトトトトトと、短点が出続けます。そのためには特別な機械か、これが使える送信機を使います。そちらにスピード調整機能はあります。

馴れれば楽です。3:1の正確な信号を簡単に出せます。横振り方式です。

前々回の記事の電健紹介で、あえて、縦振り と書いたのは、このような横振りがあるからです。

 

もちろん、縦振りの方が古く、初期の頃からと思われます。私などは始めはこれしか知りませんでした。

電信を「打つ」と言いますが、ご存じでしょうが、縦振りキーをボカボカ打つ訳ではありません。シーソーになっている横木のツマミの上に、人差し指、中指を揃えて載せ、親指を横から添えます。指先を上下させるのではなく、手首を少し下げます。これでキーは動作します。力は要りません。手のひらの内側には卵を握った形にするのだと教科書には出ていました。

 

ちなみに電信には 和文 もあって日本独自のイロハ のトンツー信号があります。

 

さて、「さよなら」の意味で通信の最後に「73」と打ちます。(相手が女性だと、88)

では

ツーツートトト トトトツーツー

(ツーツーツートト ツーツーツートト)