真空管 12A の電源トランスレスの単段アンプです。出力も小さく、あまりー般的内容ではありませんがご覧ください。
上の写真では音出しテストのため、普通のダイナミックスピーカーを使ってますが、このアンプ、実はマグネチックスピーカーを鳴らすために試作しました。2023年2月ころの製作です。
現代のダイナミックスピーカー以前は、OPT(アウトプットトランス)を使わない、駆動方式の違う、マグネチックスピーカーでした。その前は、アヒルのように首の曲がっているラッパホーンのスピーカーでした。100年前の話です。
あまり良い音とは言えない、このマグネチックスピーカーが、私はなぜか好きなのです。
上の写真が今回のマグネチックスピーカーです。スピーカーはキャビネットに収まっていて、古風で立派です。サランネットが欠損していたので、私が着けました。
Rola という、アメリカのメーカー製です。高ーラジオなどの筐体に入っている16cmくらいのマグネチックスピーカーはよく見かけますが、これはコーンの実直径が25cmもあって、珍しいと言えます。マグネチックにしては音が柔らかく、お気に入りです。このスピーカーを鳴らす為にこのアンプを作りました。
アースは全てアースラインで結んでいます。ヒーターは5Vトランスを使ってます。入力トランスの入力側はアースを取らず、アンプと絶縁しています。
冒頭の写真では、入力トランスが東栄トランスの 600ーCTー50K を使ってますが、周波数特性の関係で、巻線比は小さいですが、サンスイのST-17Aにしました。
AC100vの半波倍電圧整流です。整流後は280vあります。初め、音質のために、チョークトランスを使いましたが、B電圧が高過ぎ、やむなく、抵抗に変更しました。
12Aのフィラメントには、初め、手抜きして、中点をとらずに片側にバイアス抵抗を付けましたが、やっぱりハムが出たので、50オームを使い中点から取りました。
出力テストのために小型OPTをのせ、接続にクリップを使い、本命のマグネチックスピーカーと切り替えするようにしました。
10x20cmの狭い板に載せるので、私にしては珍しく、配置はよく考えて決めました。この写真のときは、まだチョークトランスをのせてますが、後にチョークのスペースのかわりにOPTをのせました。下の写真が、それです。
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スペーサーと20~40mm長くらいのタッピングビスを使ってます。
中央手前がACコード押さえ。L型金具を切って自作。ヒューズホルダも板から浮かせています。この木端がたまたまあったので使いましたが、狭く、キュークツです。
さて、このマグネチックスピーカーから出てきた音は柔らかく、周りの空気に浸透して広がって来ました。12A の音とも言えると思います。
テーブルの上にのせて、二アフィールドで聴くなら不足ない程度の音量でした。酒のつまみにもなる、味のある音でした。ただし、プリアンプのVOLはほぼMAXです。このアンプは0.1wも出てないと思いますが、スピーカーの能率にも依るでしょう。
ラインアンプがあれば申し分ないでしょうが、とにかく早く、12Aの音、このマグネチックスピーカーの音を聴きたかったのです。
小型OPTと8オームのダミーを使っての測定です。100Hzあたりが少々へこんで見えますが、エクセルが不連続のデータで曲線を描いたときの副作用だと思われます。
このあと、今度はナス管の 245 の音が聴きたくなって、それも作りました。245単段アンプの紹介もまたいづれ。