ゲルマラジオの実験

f:id:aug417:20191023141348j:plain
ラジオネタで、ちゃんとしたバラックです。
今年(2019)10月初旬のことです。

ゲルマラジオ作りたくなる周期説 というのがあるかどうか知りませんが、どうもゲルマラジオてやつは、数年間隔で何度も作ることになりますねえ。

数年前、この写真のようなゲルマラジオを作りました。スピーカーを鳴らすことが目的で、成功しました。そのあと、短波受信にも成功しました。
見ての通り、フェライトバーと、右側のポリバリコンは厚紙でとめてます。フェライトのとめ方には苦労しがちですが、厚紙は楽です。

今回はSG(高周波注入機)があるので、数量的に実験をしてみました。
下は数年前と今回との総合的な回路図です。
f:id:aug417:20191023142517j:plain

数年前はアンテナ線(5~8m)と直列にVCを入れました。
アンテナ線は直線ですがコイルの成分と同じで L があります。C との直列共振回路で、必要な周波数だけを通します。いわばプリセレクターみたいなもんです。
これを付けると、感度が良くなったような変わらないような微妙な装置です。
ただ、短波には有効だった気がします。

それと、数年前はアンテナコイルと検波用コイルは付けず、同調コイルに直アンテナとダイオードでした。
これで、ベランダの軒にビニール線を張り、コンセントのアースで、ダイオードの先にOPTを付け、8オームのスピーカーが、小さめの音量でも普通に鳴りました。スピーカーは例の 泣く子も黙るフォステクスの16cmフルレンジで、92dB。
私の所は、あるAM放送局から22kmと近く、恵まれた環境ではあります。

f:id:aug417:20191023144502j:plain
さて今回はプリセレクターなるVC は外しました。
その代わり、アンテナコイル、検波コイルを設け、それぞれにタップを付け、コイルの巻数を3段回に選べる、重装備です。
コイルのタップでハッキリ感度が変わるとわかって、少し驚きでした。
電源不要で、電波エネルギーだけで音を聞くってんだから、極力、ロスのないようにってことで、ゲルマラジオには当然なのかも知れません。
リッツ線は径0.3mmです。
f:id:aug417:20191023145522j:plain
ついでに電灯線アンテナのプラグも作りました。100pFのコンデンサは絶対必要で、耐圧もできるだけ高い物です。コンセントのどちらかに挿します。
懐かしいと思われた方もいるでしょう。
ところが、これでは私の所では、思ったほど感度はなく、やはりビニール線をアンテナとして張る方が良かったです。
コイルタップは、中段の回数がベストでした。
写真にトランペットスピーカーが写ってます。極小さな音で鳴りました。
OPT は 素敵な東栄トランスの、真空管用の小さな物です。7,10,12Kがあり、10 Kオームが良かったです。

さて、やっと本題です。
ゲルマラジオのクリスタルイヤホンには並列に500Kオームくらいの抵抗が付いているのが昔からの定番です。
しかし、R がなくても鳴ります。で、なくてもいいんじゃネ?と思いますが、どうでしよう。
結論! あった方がちょっといいぞ です。
耳で聞いてもそのくらいわかるのですが、今回、レトロなSGで、調べました。ただし、正確さはなく、目安ていどです。

SG で1000KHzを発振し、1 KHzのピー音を変調かけ注入しました。
クリスタルイヤホンの両端にサンワの高級デジタルテスター付け、250 KHzまで測れるACレンジで、検波後の電圧を測りました。

Rなし 91mV
Rあり 114mV
 R は100K~1Mを試したうち、200Kオームがベストでした。これはダイオードやクリスタルイヤホンによって違うでしょう。

ま、2割くらい上がるってことでしょう。

実はこれよりさらに上がるのが ST-30 または
ET-30 という小型トランスです。
Rと同じ基準では測ってないので、耳の感じを書きますが、R なしより、5割くらいUPでした。
単卷きトランスとしての物の道理なのでしょう。

数年前、ダイオードを2個使って倍電圧で検波してみましたが、ほとんど音量は変わりませんでした。
電源の50や60Hzなら倍になるのでしようが、音声の信号は位相などからして、むずかしいのでしょう。
このトランスの方がハッキリ、UPします。
トランスのリード線、私が使った ET-30(秋葉原シオヤ電気) の場合、回路図中の上が緑色、真ん中が赤、下が黄色。私のはこれがベストでした。緑と黄色、逆にしても、ほぼ同じでしたが、わずかに電圧が下りました。

CMOS電池交換 SONY VGC-LN51JGB

f:id:aug417:20190927125722j:plain
今回は初めて、PC記事です。これは先日、2019年9月下旬の、奮闘劇です。ラジオでもバラックでもありませんが、おつきあい下さい。

SONYの一体型PCです。VAIO VGC-LN51JGB という型番です。CMOS (シーモス。マザーボードの電池) を交換しました。なんとか成功しました。

ハラハラドキドキの4時間の作業でした。いや~大変でした。タワー型と違い、一体型なので、裏蓋あけて、手を差し入れるなんてできません。重層的にパーツが密集しています。ひとつずつパーツをひっペがして、マザーボードにたどり着きます。

しかも、この型のPC、なんと、なんとなんと、電池がマザーボードの裏側にあるではありませんか ‼
マジか、こんなのアリか ‼

最近、PC の電源を抜いて、再びONにすると、時計狂っていました。画面の輝度設定が保存されずに100%になっていました。
こりゃ電池切れだなと察しがつきました。放っておくと、ONにしたときDOSの画面が出てくるようになります。

で、めんどうだな-と思いながらも、電池交換に着手です。
なぜ、いやだったかと言うと、以前、このPCのHDDを交換したときに、ついでに電池のありかを探しましたが、表面から見るだけでは、見つかりませんでした。きっと何かのパーツを外さないと出てこないんだ。と思っていました。

で、今回、ネットを探すと、これに近い型番のPC の電池交換の記事があって、電池はマザーボードの裏側にあると情報を得たのです。(この HPの方には感謝します)

マジか、自分のはネットの記事のPCとは、少しだけ型番が違うので、神様どうか私のはパーツを外せば見える所に電池がありますように と祈ってましたが
ダメでした。裏 でした。

f:id:aug417:20190927144717j:plain
これは、本体背中のカバーを外し、本体を支えるスタンドを外しHDDを抜いた時点の写真です。液晶画面の方を薄い座布団の上に伏せています。
赤い〇印の所の、基板の裏 に電池ホルダーがあるらしいです。
そこへたどり着くには多くの部品やカバーを外さなければなりません。

まず、中央の大きな鉄板(スタンドの受け)を外さなきゃならねえな。
本体左エリア、TV や光学ドライブ関係と、マザーボードをつなぐ、たぶんTV同軸と、何かのフラットケーブルがまず邪魔。(赤い矢印2つ) 鉄板にくっついています。
まずこれらを浮かせます。ところが、フラットケーブルが非常に薄いのにもかかわらず接着剤で鉄板にくっつけてあります。
バカヤロ~と、叫びながら慎重に剥がす。

f:id:aug417:20190927150444j:plain
ハイ大鉄板を外しました。
赤い矢印の方向、基板の下を覗き見るのですが、棒の先に付いた鏡、検査鏡 という道具を使いました。1500円くらいで、ホームセンターに売ってました。LEDライトも付いてます。ラジオのシャーシ裏とか、蓄音機の内部とか、頭を突っ込めない所を見るのに便利です。
f:id:aug417:20190927151401j:plain

それでも鏡全体を差し込めるスペースはないので、見るといっても、電池ホルダーを真横から見るだけでした。なんとか、これがホルダーだろうと、見当がついただけです。銀色に光る丸いボタン電池の姿は見えません。

なんで基板の 表 に付けねえんだよ~ 
電池なんて消耗品なんだからよ-、取り替える必要があるだろうよ~も一!
と、叫んで次に、進む。

基板を少しでも浮かせて、指を突っ込んで作業できれば やれるかも知れねえ。不安 不安。
やだな、やだなやだな-と、稲川淳ニ氏がロに出る。
多くのパーツを外して、基板を本体に押えているネジを見つけなければならない、これがやなのです。
そんなことしてると、PCぶっこわすかも知んねえぞ。

f:id:aug417:20190927152415j:plain
ファンは当然外し、プラスチックのカバーや薄い鉄板や、リード線、10以上のパーツを外しました。一段階ずつネジを小袋に入れて区別し、出来るだけメモも取りました。そうしないと、あとで組み立てられません。

電池取り換えるだけなのによ一、なんでここまでしなきゃなんねえのよ-、ソニーさんよ~。
もっとさあ、電池交換自分でする人や、PCを分解したり解造したりする人のこと考えて物作ってよ、も~!

結局、メモリーのある右側の方までネジを外したり、緩めたりして、基板を少し持ち上げるというか、めくり上げることができました。

木端を挟み込んで基板を上げたまま維持しました。
赤い矢印から作業できそうです。しかし、まだ、不安のドツボです。
これ、基板に無理な歪みがかかってるから、へタすりゃ、細い銅箔パターンがプチッて切れるかもよ。
それによお、電池外せたとしてもよ、新しく はめることできるのか?

鏡を使って、電池ホルダーを横から見ると、下の絵のように、ホルダーのふちのまん中にスイッチらしき物あって、これか?と、小型マイナスドライバーで押すと、ポトッっと電池が落ちました。
やった~! もうこっちのもんだゼー。
f:id:aug417:20190928100254j:plain

磁石の付いたドライバーで電池を回収しました。ボタン電池の向きを変えないように注意して。
今までの経験で見てきたボタン電池の向きと同じだ。十一の極性もわかったぞ。もうこっちのもんだ 2(ツー)と言ったって、
新しい電池を入れられるのか? また不安。

f:id:aug417:20190928100640j:plain
ビニール手袋をして、新しい電池 CR2032 を持ちます。
人差し指と中指をそろえて指先の腹の上に電池を載せ、ボードの下に挿し入れます。
見えてないのですから、感だけをたよりに、ホルダーに はめます!
パチッ! やった一! 一発成功 ‼
はまりました。何度も指で触って落ちてこないことを確認。
あとは組立て復元だ。

気はせくのですが、組立ての前に1つやることが。
ファンを外して見えた、換気ダクトに通じるフィルターの開口部に積もったホコリを歯プラシで取り除きました。
f:id:aug417:20190928102209j:plain

さて、いろいろ確認しつつやるので1時間以上かかって組立て戻しました。
さ、出来上がり。スイッチ入れるぞ。カチッ。
あれ? ブラック画面ちょっと長くね?
あ、出た、ナニ?‼ やっちゃったよ。
f:id:aug417:20190928102750j:plain
なんか、システムが読みこめなかった、開始できません みたいなメッセージ。

ヤバイよヤバイよ~ 今度は出川哲朗氏です。
顔面蒼白。
失敗か? どっか配線プチッか?
と、思いつつ、メッセージをよく見ると、待てば次に進む感じ。
少し待つとメッセージ変わって、
再起動すれば立ち上げられる可能性もある、ときた。
再起動 クリック。
わっ出た。やったやった。ちゃんとディスクトップ画面出た!
f:id:aug417:20190928103642j:plain
時計合わせて、シャットダウン。電源抜いて、また立ち上げても時刻に異常なし。画面輝度設定も守られてる。良し。

例によって、夕方4時半。暖簾が上がる前の飲み屋に駆け込んで、お気に入りのカウンター端っこに座わり、ビール2本たてつづけに飲みました。長い緊張状態で、喉がカラカラだったのです。
 おかみさんねえ、今日ね、PC の CMOS をさあ、
と言ってもしょうがないので、黙って喜びを噛みしめます。

最後に
文中でソニーさんには不平を連ねましたが、本当は、私はSONYの信奉者で、
初期のウォークマンはもとより、
PC のVAIOシリーズが気にいっており、ノートPC 98のVAIO、XPのVAIO。一体型では、XPのVAIOVistaVAIOWin7VAIO 使って来てます。

付記
前述の、電池交換後に立ち上げたら不吉なメッセージが出た件ですが、原因はよくわかりません。
CMOSをクリア」してしまったのではないと思われます。電池交換作業は二三分で済ませたつもりですし、BIOS設定の画面が出たのでもないので。
今までに、他のPC で電池交換したことはありますが、その時はどうだったか、忘れてしまいました。
ま、結果オーライとしておきましょう。

さて、ドライバーに付ける磁石の写真です。
これがないと、背中のカバーを外せません。ビスが細い穴に入っているからです。ビスを完全にゆるめても、取り上げられません。ピンセットでも無理です。
磁石の力でソッと引き上げます。何かと便利なグッズです。
f:id:aug417:20190928104959j:plain

76単段アンプ

f:id:aug417:20190901110100j:plain
ナナロクという三極管、プレート電流が5mAしか流せない、電圧増幅管、1本だけでのアンプです。これは今年(2019)7月の製作です。
今回の眼目は、この球でスピーカーが鳴るのか
B電圧をAC100Vの倍電圧整流で取るぞ、爆発しないのか、です。
私が提唱する「L金具でボリューム留めよう」の極み、「L金具でヒューズホルダーも留めるぞ」も紹介します。
あと、電圧計で電流を監視する方法も紹介します。

30年くらい前、私が、やれ2A3だKT88だ と言っていたころ、このタマを2A3の電圧増幅に使ってアンプを作りました。この時の手持ちの球です。
最近、並四(ナミヨン)という昔のラジオの回路図を見て、この76という球が電カ増幅管として使われていたのだと知りました。(76を2本、電圧増幅と電カ増幅に使ってます)
じゃ、やってみっか というわけです。しかも、単球単段で。

結果、音出ました。スピーカー鳴りました。
12AU7という、最近、へッドフォンアンプ に使われ始めた球でさえプレート電流は10mA取れるというのに、
これは5mAですから。
CDプレーヤーをつなぎましたが、さすがに、普通のスピーカーだと、音は小さめです。
私は100dB近い、30cmのスピーカーで鳴らしました。

f:id:aug417:20190902102046j:plain
アンプ土台は、ありあわせの木端(こっぱ)です。大きい板に部品を並べて楽々配線です。
真空管ソケットは30mm長のスペーサーに木ネジを通して板に固定しています。
真空管のヒーターには小型の6.3Vトランスを、平滑には贅沢にチョークを使っています。東栄トランスです。OPTも泣く子も黙る東栄トランスの人気のT-1200。本当は1次10kオーム欲しいところてすが、7Kオームで使用。
入力にもトランス。ST-14です。入力トランスで、絶縁しないと、電源トランスレスですから、AC100Vのホット側が、外部に接続するCDプレーヤーに流れる可能性があります。
それに単段アンプなので、トランスで入力電圧を上げておく必要もあります。
 
注意 
このバラックアンプは危険です。
100V や 280V が露出していす。
用心していても慣れてくると事故が起こります。
    

AC100Vの倍電圧整流も上手くいきました。初めて電源を入れるときは、オッカナビックリ、アンプの上にダンボールをかぶせてON。一一一何事もなし。電圧280V出ている。(球はまだ挿してない)理論通りな値に少し驚きました。

f:id:aug417:20190901123226j:plain
真空管ソケットです。76はST管で、ピンはUYです。球の名も本当はUY-76というべきかも知れません。
(ST管には、他に UZ UX などがあります。)
今ではこういうソケットもなかなかないようです。

f:id:aug417:20190901123646j:plain
今までにも紹介しましたが、L金具でのVR固定です。

f:id:aug417:20190901124008j:plain
さてこれが太さ15mmのヒューズホルダーを固定する
発明技、「L金具2本使い」 です。f:id:aug417:20190901124327j:plain
冒頭の写真に見えますが、ネオンランプもL金具留めです。

さて、メーターの件。
私はアナログメーターが大好きです。
オリゴカードのように 大大、大好き です。巨大なアナログメーターを肩に担いでバスに乗ってもいいくらいです。
銀河鉄道999 漫画家の 松本零士氏もメーターが好きなのではあるまいかと推察していますが。氏の漫画のコックピットには無数のアナログメーターが描かれています。

さて、今から15年前、秋葉原の店頭で、投げ売りしていたメーターをいつか使うだろと、いくつか買っておきました。その1つに15 Vの直流電圧計がありました。
たぶん、無線機の電源を作ったら使おうと思っていたのでしよう。しかし、ずっと使わずじまい。

球のアンプで、カソードに電流計を入れ、プレート電流を監視するというのがありますが、
この電圧計で、5mAのプレート電流を監視しようと思いつきました。
15Vの文字盤を15mAとして直読するには、ある抵抗を通過する電流の両端電圧を測ればいいのだ。で、その抵抗値は、計算で、1000オー ムとくらあ。よーし。よく思いつきました。
ただし、アナログメーターは内部抵抗が無視できないので、計算に含むべしと。

で、76の場合、カソード抵抗が3Kオームくらいになるので、この抵抗を2分割してアナログメーターを約1Kオーム部分に並列すればよろしいのである。おおパチパチパチ。

f:id:aug417:20190901132331j:plain
これが出来上がった後の検証です。
今5Vと、針が指しているアナログメーターにかかっている電圧を、デジタルテスターで測定しました。小数第1位まで合ってます。
電圧計の内部抵抗は15Kオームです。1kオームと82オームの抵抗直列にメーターを並列にすると、合計1Kオームの両端電圧を測ることになります。
ま、精度は目安です。温度などでも変化しますし。
そんなことより、メーターがついてるアンプのカッコよさに注目です。いいでしょ~?

電源スイッチを入れると、ネオンのパイロットランプが点きますが、すぐにはメーターは振れません。
10秒くらいしてヒーターがあたたまると、ジワーっと針が右へ昇っていきます。プレート電流が流れ始めたのです。5V、もとい、5mAを指して、止まります。
カッコいい~と、毎回感じ入ります。

出力は測定したところ、0.2Wくらいです。
アンプの音は、味つけはなく、三極管の爽やかさがあります。ただし、音量も小さく、パワー感もありませんから、オーディオアンプとしてお勧めできるものではありません。

この後、私が中学1年の時に作った並三ラジオをいつか再現しようと、10年前に買っておいた、マグネチックスピーカーをこの76アンプにつないで音を出してみました。鳴りました。
f:id:aug417:20190902104151j:plain
昔、並四ラジオの76で、マグネチックスピーカーを鳴らしていたのは本当だったのだと、わかりました。
ちなみに私の並三は6ZP1でマグネチックスピーカーを鳴らしていました。実は8月に6ZP1の単段アンプも作りました。それはまたの記事でお目にかけます。

2SA100 科学教材社

f:id:aug417:20190811103845j:plain
これは新種のイカではありません。
2SA100 という型番のトランジスターです。

時候では今や残暑ですが、
猛暑お見舞い申し上げます。

さてちょっとした驚き事があったのでそれを書きます。写真のトランジスターを入手したというだけのことですが、あまりに懐かしいことなので。

私が小学生のとき、初めて作ったラジオがゲルマニウムラジオでした。科学教材社 のキットでした。
子供の科学』だったか『初歩のラジオ』だったか、それの巻末に載っていた科学教材社の広告を見て、通信販売で買ったのでした。
その時の私は、まだジャンクラジオやガラクタテレビから部品を外して作るなどという知恵も知識もなくて、広告を見ては、あれこれのキットに憧れていたのです。

ゲルマニウムラジオキットが、ちゃんとした小包みの形で、小学生だった私の手に届けられたことは大変な喜びでした。
次は1石レフレックスのキットを作り、その次は1球再生ラジオのキットをりました。
そのうちにジャンクのパーツで自分で考えて作りはじめます。

さて、そんな少年のころ、2石レフレックスに憧れていて、作りたいと思っていたのになぜか、作らずに過ごしてしまいました。
そのことを数年前に思いだし、2石レフレックスラジオを作りたいと発起し、トランジスターの2SA100を探しましたが、あるわけありません。古典的真空管はあっても、ゲルマニウムトランジスターがあろうはずもないのです。シリコントランジスターやFETでさえ多くが生産終了になっている時代です。

で、やっと、ヤフーショッピングで、見つけましたが、在庫なし。
ところが、それから半年たって、すっかり忘れていたのに、入荷したというメールが来ました。すぐに注文して届いたのがこれです。
f:id:aug417:20190811112152j:plain

封筒の中にトランジスター 松下の2SA100 が1つ入っていました。
科学教材社の販売だったことも忘れていました。
それより、科学教材社から何かが届くって、少年のあの日以来だぞ。うわあーすげえ っていう私の驚きがおわかりでしょうか?

科学教材社の社名ロゴも昔のまま? 神田って、昔もこんな赤い神田郵便局の消印が小包みに貼ってあったぞ。
私はあたかも50年前の郵便が今届いたような感動を覚えました。

2SA100は小指の爪くらいの、今では「大きな」トランジスターです。金属の円筒に三本脚です。後世の黒い小さなシリコントランジスターとは存在感が違います。少年の憧れでした。当時、いろんな製作記事に登場していたと思います。
f:id:aug417:20190811113700j:plain

いずれは2石レフレックスラジオを復元しようと、考えているところです。
あるいは、この2SA100は、あまりに貴重なので、真綿で包み、桐の箱に納めて、家宝にしておこうかと考えているところです。

今日このごろ

f:id:aug417:20190730135143j:plain

関東地方は昨日、梅雨明けでした。急に暑くなりました。いかがお過ごしでしょうか。
私は昨日、秋葉原ラジオセンター1階の、私の好きな 東栄トランス の店に行きました。
真空管ヒーター用に6Vの小さなトランスを買いました。そしたら店の人が団扇をくれました。なんだか不思議と嬉しかったので、今回はそういうのんひりした記事です。

秋葉原ラジオセンターのあの雰囲気、中東のバザールのようです。小さな店が密集して、細い通路に人がいっぱいで、歩くにも苦労したのは50年前。
店の人はほとんど愛想が悪く、中学生だった私はおっかなびっくりパーツを買っていました。
それが今では人が少なくなって、歩きやすくなって、フィギアだとかそんな店も出来て,外人も歩っていて、店の人は団扇をくれるという、時代になったのです。感慨深いことです。

平成25年まではラジオストアが並設されていました。私はストアもセンターも同一視してきましたので、ストアが閉店するとニュースを聞いた時、とてもショックでした。しかし、閉店するのはストアの方だけだとわかりました。それにしてもストアが閉店してしまったことはとても残念です。
f:id:aug417:20190730140803j:plain
団扇の裏面です。ラジオセンターで買える物の名が全部書かれているそうです。金魚に風鈴で、この面の絵だけは涼しげですね。
ラジオセンターに限らず昔からの電気関係の店には頑張って続けていって欲しいですね。
今の若い人、秋葉原は電気の街なんだぞ ってこと知っているのでしょうか。

f:id:aug417:20190730141733j:plain
昨日買った抵抗とコンデンサです。
抵抗はカラーコード表記です。カラーコード、まあ、読めますが、自信がないので、必ずテスターで測ってから使ってます。小さな物はしょうがないとしても、1 Wクラスから上は数字で印刷してくれませんかねえ。

コンデンサ、ブロック型は数字表記で助かりますが、
小さい物で、103とか、472とか、困ります。私は時々、紙に「0」を書き並べて、ゼロの数を数えて、何ピコだの、何マイクロだのと判断しています。あと、ナノっていうのやめてくれませんかねえ。例えば、10ナノって結局何ピコなの? って考えてしまいます。

写真の左下に見えるオレンジ色のはフィルムコンデンサです。オレンジドロップという有名な物らしいです。私は買ってから知りました。
最近はあまりそういうことに拘ってないので知らなかったわけです。しかし、今作っている球のアンプにつけて、試してみるのも楽しみです。

私は最近、76(ナナロク) や 71A(ナナイチエー)という昔の球でアンプを作って試しています。

蓄音機の自作はどうなってるの? と聞こえてきますが、6月の時点で作業は一時休止してます。
このブログの今年(2019)1月2日の記事に自作蓄音機1号を載せました。YouTubeに演奏の動画もUPしています。ソプラノ、シャンソンサッチモ と3題UP しまして、今でも見られます。下記はソプラノ版です。

https://youtu.be/trgyKjA4RBg

それを3月にバラして、今、2号機に作り変えている途中です。

今の様子が下の写真です。
f:id:aug417:20190730143549j:plain
蓄音機の本体は殆んど出来ています。
一番下はSPレコードを縦に入れるラックです。前面は4枚の引き戸を作りました。あえて盤を縦に入れるのは、出したいレコードが探しやすいからです。
大型ホーンは少し上向きの仰角をつける設計です。
一番上はプレーヤー部です。プレーヤーの蓋はまだ作っていません。それが一番苦労しそうです。
今、プレーヤーのアームのことを考えていて、1号機とは別の物にしようかと迷っています。
細部の作り込みや、塗装のことを思えばまだまだ先は長いと気づきました。出来上がるのは冬のことになりそうです。

そんな今日このごろです。

DSPラジオ

f:id:aug417:20190706113319j:plain
久しぶりに、ちゃんとしたバラックのラジオ紹介です。
DSPラジオという物で、デジタル シグナル プロセッサー という方式です。ゲルマニウムとか、スーパーヘテロダインとか、アナログ方式しか知らなかった私にはびっくり仰天の物でした。

冒頭の写真のこれは2015年の物で、私の3作目くらいのです。
実はこれ以前に私は2014年に初めてDSPラジオを作りました。『トランジスタ技術』という月刊誌8月号の記事でを見て、何んのことやら訳わからん状態でした。ラジオなのに同調回路がないのですから。バンド切り替えは抵抗でやるとか。
しかし、奮起して、そのIC を買ってきて、『トラ技』の回路図通り作りました。
スイッチON。なんも聞こえん。失敗。うーむ。
しかし、諦めず、そのIC Si48250 のデータシートと『トラ技』掲載の回路図をよーく見比べました。
あ ! 1ケ所違う。『トラ技』のプリントミスだ。技術の雑誌なのにこんなことあるんだと思いつつ、そのか所をデータシートの通りに配線し直しました。
聞こえました。ホッと喜び、飲み屋に走って、祝杯を挙げました。
なにしろ訳がわからない物に手を出して、音が出たんですから、ワクワクしました。

DSPについては今も訳わからん状態です。ダイレクトコンバージョンらしいですが、全体的には不明です。しかし、いくつも作って遊びました。
2作めからは itendo (アイテンドー) という店で売っている IC やモジュールを使いました。
冒頭の写真は 443 という型番のモジュールと、これ専用の基板を使いました。

f:id:aug417:20190706113700j:plain
これは裏側です。
左の方のポリバリコンの背中に付いているのがモジュールです。
基本構成のDSPラジオなら、このバリコン付きモジュールにツマミと電池と、スピーカーと、AM 用にバーアンテナ、FM 用にはビニール線をちょっと付ければ、2バンドラジオが出来てしまうのです。このバリコン付きモジュール、当時、400円くらい でした。安い、簡単、聞こえる! 

今回紹介のは、この基本構成に、短波8バンドを加えて、ステレオ化したフル装備です。

さて、443は3つも買うことになりました。1つめはバリコンの容量を減らすため、羽を抜いたりして使って、いじりまわして、壊しました。
2つめはスピーカーの接続をいじって壊しました。このモジュール、音声増幅アンプまで内蔵しているのです。壊したあとで、スピーカーはBTL接続なのだとわかりました。

バリコンはLC の同調とは関係なく、容量を変化させて、IC内部の電圧を変えて選局しているらしいです。
Q=CV という公式を考えてみると、バリコンでも電圧は変わるのでしょう。
ちなみに、バリコンを使うのはこのモジュールくらいで、他のは大概、選局に可変抵抗を使ってます。

で、この443型モジュールは、FMの選局がクリチカルで、チューニングしずらいです。ツマミ回転角90度くらいの間に76MHz~86MHz、東京近郊の全局が密集していました。混信はないですが、ちょっと回わすと隣の局へ移ってしまいます。
で、私はバリコンの羽を抜いたのです。うまくいきましたが、AM にとっては逆に選局カバー範囲が狭くなってしまいました。

で、3作めには何か方法はないかと考えて、いじりまわして発見しました。
このモジュールとバリコンとの連結部と思われる所の、不自然に盛り上がったハンダ山を取り除くと、銅箔パターンに溝が切ってあり、そこはなぜかジャンパー機能だったのです。
案の定、ここにコンデサ (22PF) をかますと、バリコンと直列になり、容量変化が小さくなり、ツマミ回転角120度くらいまで、広がりました。
AMの時はバンド切替えスイッチと並列スイッチで、このコンデンサ挟み込みをスルーします。
f:id:aug417:20190706132102j:plain
上の写真の、へばり着いた黒い塊の中にIC部があって、その右上にハンダの山を除いたら出てきた、パターンの切れめが見えます。そこに黄色と灰色の線を着けて、コンデンサとバンド切替えスイッチまで引っ張りました。
実際にはコンデンサに一時的に半固定コンデンサをつけて、調節しました。結局、当時、22Pに15 Pを並列にし、37PFとしました。
今は90MHz以上のワイドFMに対応させるなら、この C はあまり小さくしない方が良いでしょう。

f:id:aug417:20190706135100j:plain
当時の手書き回路図です。
電源は単三2本で足りますが、電池ケースの手持ちが3本用なので3本です。5Vを越えなければOKでしょう。50mA流れます。(チューニング点灯のLEDこみで)
こういう物にしては結構流れます。

さて、SW(短波)はどうかというと、AM-FM をAMモードにした上で、AM のバンド設定を変えます。
そのために、モジュールのピン9~12番、4本をそれぞれアースするかどうかで、SW8バンドを選べます。
私は 16進ディップロータリー というスイッチを使ってみました。冒頭写真の真ん中辺りの白い小さいツマミがそれです。

SWは感度悪いです。一応受信は可能ですが期待はしない方が良いでしよう。
窓辺に張った3mのビニール線で、夜なら、アジアの強力短波放送は入りました。
昼は、上記ビニール線と、コンセントの保安アースを付けて、6MHz台のラジオニッケイ第1第2が入りました。
SWのアンテナ入力はAMのバーアンテナを外してそこに付けるようです。

FMの受信幅は7と8ピンのアースで決めます。両方アースで日本向きです。
f:id:aug417:20190706144024j:plain

このモジュールのスピーカー出力は、BTL接続になっているようです。で、ステレオにしようと、2つスピーカーをつけて、単純にアースすると、アンプを壊します。電解コンデンサを通してアースします。
それで両スピーカーから音は出ますが、ステレオになっているかは怪しいです。片方のスピーカーの十一を逆にして、位相を反転しないとダメなようです。
私はスライド6 Pスイッチで、モノラルとステレオ切替えにしましたが、擬似ステレオかも知れません。
f:id:aug417:20190706144931j:plain
ちなみに、写真の通り、左右のスピーカーが違うのは音を試すためでした。アイテンドーで、240円と250円のスピーカーです。音が違うのかと思ったら同じでした。

下の写真は、以前の記事に書いた、L金具の強引な使い方、トグルスイッチの板上固定です。
f:id:aug417:20190706145823j:plain

次の写真は、電池BOXの板横固定です。アイテンドーの電池BOXはスイッチ付きで便利ですが、スイッチのある面の反対側が電池交換のためのふたになっているので、木ネジでの取り付けに知恵が必要です。
f:id:aug417:20190706150424j:plain
始め電池BOX のスイッチだけ使っていましたが、ちょっと不便なので前面にトグルスイッチを立てた次第です。

最後の写真です。
最近、高周波注入機、SG を入手しました。真空管式の古式ゆかしい物です。これでも100MHz以上出ます。取手のデザインなど、お気に入りです。
これを使って、このDSPラジオの短波受信を調べました。感度は悪いですが21MHzまでちゃんと受信できてはいるようです。
f:id:aug417:20190706151154j:plain

    完

片づけ妖精 2cmFMラジオ


この絵は、整理整頓収納にすぐれた法力を持っている『片づけ妖精』の想像図です。

ラジオと何の関係があるかと言うと、私が整理整頓が苦手で、こんな妖精がいたらなあと常々思っているからです。
昨日、電子部品を探すために家中をひっかきまわしていました。すると、探している物ではない物が出てきて、こんな物があったんだ! と感心するやら呆れるやら。
出てきたのはこれです。

このブログに登場したラジオキットの表紙です。秋葉原で買った時の値札も付いています。もっと早くこれがあると、知っていたら、先回の記事に載せたのに。も一。

このパーツも一緒に出てきました。2cmFMラジオの選局用の小型ドライバーです。コイルのコアとコンデンサもありました。これらだけは残っていたのですね。

さて、本題に戻します。
皆さんは部品の収納などどうしていますか?
私はいきあたりばったり、とにかく何処かに突っ込んでしまいます。意を決して、それぞれの収納場所を定めて、それ用の容器を整えても、しばらくすると実行しないようになってしまいます。
めんどくさがり屋です。

で、ちょっとラジオを作ろうとしたり、ちょっと実験をしようとすると、製作の前に、家中探しまわって、1時間も2時間もかけて、部品をそろえなければなりません。
在庫を切らしてしまった3mmのナット、何処かに1個くらいあるだろうと、1個探すのに30分かかったこともあります。泣きたいくらいでした。L金具なんて、毎回、絶対、探すことになります。
そのくせ、47uの電解コンデンサなんて、探してもいないのに、家中のあっちこちから出てくるのですから。

で、こんな妖精がいたらなあと切望するのです。

「ご主人様、お呼びでしょうか」
「うん、あのね、これ片づけといて」
「かしこまりました」
妖精が棒だか杖だか、ひと振りすると、そこら中に散らかったパーツが、自分で壁の収納棚の小箱の中に飛んで行くという寸法なです。
あっという間に片づけ完了。

壁、二面三面にしつらえた棚のBOXにはパーツの名前と写真が貼ってあり、次に、探すのに手間がかかりません。妖精がみんなやってくれました。
抵抗なんか、金被だのカーボンだの種類別、当然、値別ワット数別にに整然と並んでいます。
彼女には電子部品の知識はありませんが、なにしろ魔法ですから。

今、彼女と言いましたが、ハリー・ポッターに出てくるトビーみたいのじゃ私はいやですから、冒頭の絵のようになります。