76単段アンプ

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ナナロクという三極管、プレート電流が5mAしか流せない、電圧増幅管、1本だけでのアンプです。これは今年(2019)7月の製作です。
今回の眼目は、この球でスピーカーが鳴るのか
B電圧をAC100Vの倍電圧整流で取るぞ、爆発しないのか、です。
私が提唱する「L金具でボリューム留めよう」の極み、「L金具でヒューズホルダーも留めるぞ」も紹介します。
あと、電圧計で電流を監視する方法も紹介します。

30年くらい前、私が、やれ2A3だKT88だ と言っていたころ、このタマを2A3の電圧増幅に使ってアンプを作りました。この時の手持ちの球です。
最近、並四(ナミヨン)という昔のラジオの回路図を見て、この76という球が電カ増幅管として使われていたのだと知りました。(76を2本、電圧増幅と電カ増幅に使ってます)
じゃ、やってみっか というわけです。しかも、単球単段で。

結果、音出ました。スピーカー鳴りました。
12AU7という、最近、へッドフォンアンプ に使われ始めた球でさえプレート電流は10mA取れるというのに、
これは5mAですから。
CDプレーヤーをつなぎましたが、さすがに、普通のスピーカーだと、音は小さめです。
私は100dB近い、30cmのスピーカーで鳴らしました。

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アンプ土台は、ありあわせの木端(こっぱ)です。大きい板に部品を並べて楽々配線です。
真空管ソケットは30mm長のスペーサーに木ネジを通して板に固定しています。
真空管のヒーターには小型の6.3Vトランスを、平滑には贅沢にチョークを使っています。東栄トランスです。OPTも泣く子も黙る東栄トランスの人気のT-1200。本当は1次10kオーム欲しいところてすが、7Kオームで使用。
入力にもトランス。ST-14です。入力トランスで、絶縁しないと、電源トランスレスですから、AC100Vのホット側が、外部に接続するCDプレーヤーに流れる可能性があります。
それに単段アンプなので、トランスで入力電圧を上げておく必要もあります。
 
注意 
このバラックアンプは危険です。
100V や 280V が露出していす。
用心していても慣れてくると事故が起こります。
    

AC100Vの倍電圧整流も上手くいきました。初めて電源を入れるときは、オッカナビックリ、アンプの上にダンボールをかぶせてON。一一一何事もなし。電圧280V出ている。(球はまだ挿してない)理論通りな値に少し驚きました。

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真空管ソケットです。76はST管で、ピンはUYです。球の名も本当はUY-76というべきかも知れません。
(ST管には、他に UZ UX などがあります。)
今ではこういうソケットもなかなかないようです。

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今までにも紹介しましたが、L金具でのVR固定です。

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さてこれが太さ15mmのヒューズホルダーを固定する
発明技、「L金具2本使い」 です。f:id:aug417:20190901124327j:plain
冒頭の写真に見えますが、ネオンランプもL金具留めです。

さて、メーターの件。
私はアナログメーターが大好きです。
オリゴカードのように 大大、大好き です。巨大なアナログメーターを肩に担いでバスに乗ってもいいくらいです。
銀河鉄道999 漫画家の 松本零士氏もメーターが好きなのではあるまいかと推察していますが。氏の漫画のコックピットには無数のアナログメーターが描かれています。

さて、今から15年前、秋葉原の店頭で、投げ売りしていたメーターをいつか使うだろと、いくつか買っておきました。その1つに15 Vの直流電圧計がありました。
たぶん、無線機の電源を作ったら使おうと思っていたのでしよう。しかし、ずっと使わずじまい。

球のアンプで、カソードに電流計を入れ、プレート電流を監視するというのがありますが、
この電圧計で、5mAのプレート電流を監視しようと思いつきました。
15Vの文字盤を15mAとして直読するには、ある抵抗を通過する電流の両端電圧を測ればいいのだ。で、その抵抗値は、計算で、1000オー ムとくらあ。よーし。よく思いつきました。
ただし、アナログメーターは内部抵抗が無視できないので、計算に含むべしと。

で、76の場合、カソード抵抗が3Kオームくらいになるので、この抵抗を2分割してアナログメーターを約1Kオーム部分に並列すればよろしいのである。おおパチパチパチ。

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これが出来上がった後の検証です。
今5Vと、針が指しているアナログメーターにかかっている電圧を、デジタルテスターで測定しました。小数第1位まで合ってます。
電圧計の内部抵抗は15Kオームです。1kオームと82オームの抵抗直列にメーターを並列にすると、合計1Kオームの両端電圧を測ることになります。
ま、精度は目安です。温度などでも変化しますし。
そんなことより、メーターがついてるアンプのカッコよさに注目です。いいでしょ~?

電源スイッチを入れると、ネオンのパイロットランプが点きますが、すぐにはメーターは振れません。
10秒くらいしてヒーターがあたたまると、ジワーっと針が右へ昇っていきます。プレート電流が流れ始めたのです。5V、もとい、5mAを指して、止まります。
カッコいい~と、毎回感じ入ります。

出力は測定したところ、0.2Wくらいです。
アンプの音は、味つけはなく、三極管の爽やかさがあります。ただし、音量も小さく、パワー感もありませんから、オーディオアンプとしてお勧めできるものではありません。

この後、私が中学1年の時に作った並三ラジオをいつか再現しようと、10年前に買っておいた、マグネチックスピーカーをこの76アンプにつないで音を出してみました。鳴りました。
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昔、並四ラジオの76で、マグネチックスピーカーを鳴らしていたのは本当だったのだと、わかりました。
ちなみに私の並三は6ZP1でマグネチックスピーカーを鳴らしていました。実は8月に6ZP1の単段アンプも作りました。それはまたの記事でお目にかけます。