AMトランスミッター 周波数可変型 Vr.2


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 あけまして おめでとう ございます。本年(2023)も宜しくお願いいたします。

 

 周波数可変型のAM送信機 ついに音声増幅部を追加しての登場です。

 モジュールをシールドしました。

 これが決定版になりそうですが、当記事の前、『Vr.1 』や『予備実験編』も参照して下さい。

 

 
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 これがシールドする前の写真です。

 シールドは気になっていたのですが、上手い囲い方が思いつきませんでした。ところが、ひょいとひらめいて、試作。上手くいき、その効果も十分あるとわかりました。

 「サー」というノイズが8割減りました。シールドがなくても、さほど気になるノイズではありませんでしたが、やっぱりいくらか気になっていました。

 バーアンテナから磁界が発生しているはずで、ノイズはその影響だったのかも知れません。


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 これはシールドの試作。モジュールの 1ピン  2ピン に0.1uF のパスコンを横ざまに追加したあとだったので、無駄な空きがあります。アース線をボディーにつけてます。

 パスコン追加はチューニング時の発振止めです。


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 ひらめいたというのは、モジュール基板の下に幅4.5mmの溝があって、ここに銅板を、向こう側まで挿し込み、ベ口状に出した所に、囲いケースをのせて、ハンダ付けするという方法です。白い厚紙を入れてずれないように固定しています。


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 これは改良時です。四方を囲うとき、モジュール基板の  5ピン  6ピン  と銅板をハンダ付けしました。アースに落とすためです。


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 これに四角いキャップをかぶせれば、できあがり。f:id:aug417:20230104134551j:image

 銅板は、本作では0.2mm厚 ですが、試作では0.1mm厚でした。0.1mm厚の方が、工作が楽です。どちらもハサミで切れますが。




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 回路図です。

 何に苦心したかと言うと、音声増幅部 エミッタに100uFのコンデンサーを付けることです。これがなければ簡単でしたが、周波数特性が右肩上がりの、低音が出ないアンプになってしまいます。

 100uFを付けることで150Hzまでフラットで、100Hzで数dB落ちるくらいです。しかし、増幅率が上がりすぎ、歪が出ます。これをどう抑えるかでした。で、入力のVRを250Kと大きくしたのでした。ついでに入力には定番の簡易ミキサー 1K を付けました。

 2SC1815  GR は  2.3mA  流れています。Y  でもOKで、470  Ohm  を 390とか、少し小さくすれば同電流になります。

 トランス サンスイ ST-17A は  Vr.1  から変更せずに済みました。

 コイルの巻数は  55回に、減らしました。これによって、チューニングが、スッキリ反応するようになりました。フェライトコアは  12cm長。リッツ線は太いのを使ってます。

 

 モジュールの内部にはチップコンデンサ 0.1  uF があらかじめ付いていますが、チューニングの同調点近辺で寄生発振するので、さらに  0.1uF  を追加します。モジュールの  1ピン  2ピン  に、直に付けました。2ピンはモジュール基板内部で5ピンに連絡しており、アースに落ちます。

 なぜ、あるポイントで発振するかは不明。モジュール出力と、アンテナ側のインピーダンスの関係かと思われます。

 私はこの追加の  0.1uF を 高音のキレのために、0.047uF にしてありますが、発振のため、ノイズのためには、0.1uF の方が安全です。

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 モジユールは1cm角で、あまりに小さいので、コンデンサーが付けづらく、コンデンサーのリードを持ってハンダ付けしてから切りました。

 

 RFメーターや、その整流回路に変更はありません。前回の記事 V r.  1  を見て下さい。

 

 

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 変調波形です。1305KHz に1KHz。これによると、変調率は40%になります。VOL.の調節次第で、放送局の音声より大きくもなります。

 

 

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 これは変調なしの、搬送波1305KHz。モジュールの出力8ピンでの波形。


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 フェライトコイルの真中での、ピックアップコイルによる波形。サイン皮に近づきます。


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 バリコンの上下での波形。ほぼサイン波になっています。不思議です。

 


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 PCを使って、当機の電波を SDRラジオ で見たところです。2倍の高調波以外は見あたりません。1 KHzのサイン波をかけてます。1700KHzに赤い線が見えますが、受信ソフト HDSDR の仕様で、受信範囲の中心線です。

 

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 1305KHzを受信したところです。

 SDR受信機は自作で、前回の記事 Vr.1 に受信の様子などあります。

 


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 4ピン  1ピン  をつなぐと、Power  ON でLEDが光るようになります。LED  の消費電流は  1.2mA  でした。じゃあ、もったいないから、シールドのふたに穴をあけて、LEDの光をパイロツトランプにしようかと思いましたが、やめました。
 LEDを使うと、変調や出力が変わってしまうのでした。同じ入力設定では、波形に歪みが出ます。f:id:aug417:20230105135243j:image

 電源設定にかかわることなのかは不明です。使うか使わないか、どちらかに決めて、操作に慣れないといけないようです。

 

 チューニングについてです。受信ラジオの周波数を合わせつつ、当機のバリコンも回わします。

 RFメーターはなくても、耳だけで十分調整できますが、メーターがあるとわかり易いです。電波が出ているかどうかわかって、安心でき、パイロットランプの代りにもなります。

 

 初めのうちはテスターで、モジュールのみに流れる電流を監視しておきます。(音声増幅部は含まない) 2~2.5mA くらいが良いようです。2.5mAを超えると音が歪んでいきます。ただし、テスターの長いリードも影響するので、バリコン角と電流がつかめたら、外します。

 メーターのピークが良いとは限りません。ピークの1歩手前などが良いようです。慣れてくると、どのへんがいい音するのかわかってきます。

 高音の出方もバリコン調整で変わります。これはラジオ側も同じで、昔から、高音を出したい時は、ラジオのチューニングを、あえて少しずらしました。

 飛距離は受信ラジオによって違います。バーアンテナのラジオなら、4~6m。これが古いラジオで、ビニール線アンテナを使うものだと、すぐそばに置かないとだめなこともあるようです。あるいは、ビニール線を当機に近づけるとか。当機が、磁界アンテナなので、受信が電界アンテナだと設置に少し工夫が必要です。

 


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 狭い板なので、パーツ構成は上へ伸びて行きます。


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 板は バラックラジオの憲法 にのっとっています。かまぼこ板 です。狭いはずです。

 ちなみに、小田原の老舗店を訪れて、買いました。当ブログ    2019   12/27 『聖地  バラックなラジオ』参照のほど。

 


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 このラジオは 1947年製のアメリカの真空管5球スーパーです。ビニール線のアンテナ式です。隣に置くとビニール線なしでOK。

 それにしても真空管ラジオの音はなんとも味があります。スピーカーは小さくてもアルニコなので音に深みがあります。これで当時の歌を聴くと、もう本当にラジオでいいや、大げさなスピーカー装置はいらねえや、と思えてきます。

 このラジオ、アクリルの表示窓がゆがんで剥がれかかってます。いい具合の わびさび で気に入ってます。なにせ76年前のラジオですから。

 

 シールドの囲いの裾をもっと長くして、I Cソケットのピンの方まで囲えばもっと良いかとも思います。(ショートを恐れなければ)

 同じ電池を ひと月使ってますが、元、6.5から6.0Vに下ってます。単3でもけっこう もつようです。全消費電流 5mA以下ですから。単1や単2にするのもいいでしょう。

 

 長々、おつきあい、ありがとうございました。

 次はこのシリーズの初めの、クリスタルOSC超簡単 に戻って、まとめる予定です。変調率によっては、音声増幅を付けず、「ピュア」をねらいたいと思ってます。