超再生FM ワイド対応

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「超再生」の文字を見ると、まるで恋文を見るようにトキメイテしまいます。好きなんですねえ。トランジスタ(FET) 1石でFM を聞いてしまうというのがなんともアクロバット的で、ウルトラC(死語)で、やめられないのです。
これは今現在(2019 12月)進行中の作品です。
 今回はFMの単バンドですが、ワイドFMの受信が出来るようにしました。前回の2バンド超再生を作った時はまだワイドFMがなかった時代でした。関東で私が受信可能なのは 93.0MHzのニッポン放送が一番上で、これが入るようにしました。下は78MHzのベイFMです。

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バラックの1級品的 その場しのぎ作り です。
始めはクリスタルイヤホンで聞いたので、5cm X 12cmのカマボコ板1枚で十分だったのです。そのあとAFアンプICを付け、そうすると、発振に悩まされ、その発振を監視するために電源に電流計を入れて、と、こうなりました。軍艦の大砲のように船体から外へはみ出してます。
ちなみにカマボコ板は、小田原 籠清(かごせい)の 由緒正しい板です。
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何度も使いまわして、穴だらけですが、カマボコ板様は「余は本望であるぞ」と呟いておられます。

正面の生基板パネルも以前何かに使った物で、小さすぎですが、FM 用ポリバリコンを付ける穴が開けてあったので使いました。
ボリュームを付けるスペースがねえじゃねえの
と一瞬ためらいましたが、
必殺 L金具伸ばして横出し技 が決まりました。
この時、生基板のちょうどいい所にビス用の穴も開いていました。ラッキー! 
バラック工作好きな人なら 共感 あるある でしょう。こういう時って妙に嬉しいですよね。

f:id:aug417:20191215093103j:plain電流計は、なんと1969年の物で(文字盤に小さく記されています)、100u(マイクロ)Aです。
50年前当時は高感度メーターは高価でしたが、少年だった私は、自作送信機の電波確認のために無理して買ったのでした。その後これだけは手離せず持っていて、今回これが生き帰ったので、満足しています。

今回、本当は100mAの電流計が必要なのですが、それが手元に無くて、分流器を考えて作り、100ミリを100マイクロ文字盤で直読しています。電流計の内部抵抗が900オームです。問題なく、理論通り正しく動作しています。
普通、ラジオや受信機のメーターは Sメーター(信号強度)でしょうよ。電源の電流監視ってなあー と苦笑しながら、役立ってるので、メーターマニアとしてはご満悦なのです。

超再生は、元々自身が発振しているのですから、増幅率の高い音声アンプを付けるとすぐ不要な発振を起こします。
ボボボボ とか ブーとか、モーターボーチング と呼ばれた耳に聞こえるのもありますし、耳には聞こえない高い周波数の回りこんだ発振もあります。その時、電源電流が異常に増えます。
このIC は電圧増幅率が40dBもあって、クリスタルイヤホンが鳴る程度の音声を、16cmスピーカーが十分鳴るほどに増幅します。なので、発振もします。
しかも遮蔽を施さないバラックは奇生発振を好みます。

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コイル病 の私は手巻き自立コイルを眺めていたいので、敢えてコイルはむき出しです。少しはボディーエフェクトがあります。
コイル径30mmです。
アンテナコイルと、同調コイルの間隔は大事です。あまり接近すると、発振しません。

回路図です。初稿から変更しました。
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赤字は変更した所です。
図左下の20KVRから右への回路に1uFのC をはさみました。実験段階で、このCがなくても可だったので、部品が少ない方が良いとて、入れていませんでした。
以前の記事、2バンド超再生 にはこの Cを入れてありましたが。このCがあった方が安定します。

図下方の音声用10Kボリュームの左の0.0047uは発振止めです。0.001くらいから発振止めとして使えます。ローパスフィルターの形になっていますので、あまり値を増すと、高音に影響します。R が4.7Kの組合わせで、PCのシミュレーションでは、10KHzくらいが3dB落ちポイントです。

同所の、元10Kだった固定抵抗は4.7Kにしました。シミュレーションではこれが10Kだと、音圧が6dB下ってしまうとわかったので。4.7Kで3dB落ちです。耳で聞く音量は大して差がないのですが、心持ちのためです。

このC、0.0047はもし発振したらの話です。

クリスタルイヤホンで聞くだけなら、このCとAFアンプは不要です。4.7Kの固定抵抗の後にイヤホンを付けます。
まずはクリスタルイヤホンで聞くのがおすすめです。
「おっ、聞こえる!」という、ゲルマラジオのような感動があります。
クリスタルイヤホンの音量はゲルマラジオより少し大きいです。

受信に成功すれば、音声も音楽も了解度良く、聞き取れます。ただし、わずかなノイズや歪みはあります。超再生の検波ですから。

普通の超再生は、受信調整のためのボリュームは1個です。
この超再生も、ワイドFMが不要なら、図の左下の20K(B)のボリュームは、10~15Kくらいの固定抵抗に替えられます。
今回は広範囲の周波数をカバーするために、ここもVRにしました。受信周波数の高低で、2つのVR を調整します。
『世界一めんどくせえラジオ』です。

VR は良い物を使うべきです。
私は、始め、古い物を使ってましたが、発振はするはガリオームガリガリだしで、結局、2個とも手持ちの新品にしました。
ところが50Kの2連しかなく、並列にして使ってます。
写真左のVRアメリカ製の物らしく、軸の径が 6.1mmあって、日本のツマミが入らず、エレキアンプの何かに使うのでしょう、鳥の嘴のように尖った変なツマミ(チキンヘッドというそうで)しかはまりませんでした。この形、微調整しずらいです。切替えSW用なのでしょう。

バリコンはFM 用の2連の片方。25p前後。ツマミ180度いっぱいに受信できるように、20pの固定コンデンサーを直列にしています。
ポリバリコンの背中の小さいトリマーコンデンサーは重用です。受信周波数範囲の調整は、まずこれを回わします。それでだめならコイルを調整します。横に広げると受信周波数は高く、縮めると低くなります。
軸はツマミを付けるために、ベークのスペーサーで延長しています。金属だと、ツマミを触った時のエフェクトがけっこうあります。

アンテナは1mくらいのビニール線です。
状況によっては、同じく1mのビニール線をもう1本使い、これを本体アースに付けてアンテナ線とは反対側に伸ばします。ダイポールアンテナの形になり、感度が良くなります。水平か垂直か、あるいは開いたVの字にします。
コンセントにアース端子があれば、本体をアースすればボディーエフェクトが減ります。
ただし、これらは状況によって、変わり、アースがない方が良いこともあります。

私は上記のVの字ダイポールの先端がミノムシクリップなので、スチール製のカーテンレールに付けました。クリップ間の幅は1.5mくらい。
アンテナ線が逆三角形を描いた形になります。窓はFMの放送塔の方を向いてます。
これはデルタループと言って、結構良いです。カーテンレールは木部にネジ留めされてますが。使えました。
三角形の周長が3.5mで、85MHzの1波長分です。

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これは今回の、回路修整時の写真ですソース側のVRが今までは右側のL ラグに無理矢理ハンダ付けされて、ツマミが斜めだったものを、今回、L金具伸ばして横出し技 を再び使って、パネル右に整えました。
操作しやすくなりました。
冒頭の写真と比べれば、わかります。

私の作ったこれの電源電流は、
小さめな音量で10mA
中くらいの音量で20mA
大きめの音量で30mA です。
50mAを超えると、異常発振と考えられます。

電流の消費はほとんどAF(音声)アンプ ICです。
受信部の 2SK192A は どのような発振状態でも 0.35mA しか食いません。

バラックはお気楽です。気のままやっつけていきます。
超再生は飽きません。いじり出すと何週間も遊べます。
このブログもまだまだ超再生ネタを出しそうです。